汚濁

「S」

episode.『04月03日(水)』



電車に揺られる30分間。

窓の景色を眺めて過ごすこの時間が、私は嫌いじゃない。

雲ひとつない空に、輝く海。

反対側には山があって、春夏秋冬の景色を味わえる。

いろんな色で溢れた街々が、別世界のように思える。

黒く染まっていた心が、その色さえ失っている。

私には世界が眩しくて仕方がないよ。





綺麗な人を見かけた時、自然と頬が緩んでしまう。

でもそれは、下心なんかじゃなくて、きっと誰か好きな人がいるから、こんなにも輝いている。

私はこの人と、友達以上の関係にはなれないだろうなと完結する。

だからいつでも、逃げられる体制を取っている。

別れが、辛くならないように。

          

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