汚濁
episode.『11月19日(月)』
物静かな部屋。凄く落ち着く。
いろんなもの取っ払って、時間を忘れさせてくれる。
不毛かもしれないけど、この時間が嫌いじゃない。
ふとした瞬間に蘇るあの頃の思い出が、溢れ出してくるから。
嬉しくて、悲しくて。寂しくて、切なくて。
ただなんとなく笑みを溢す。
まるで、死に行く人間みたいだ。
※
念には念を。
そうやって保険を掛け続けるのは、何もかもを見限っているから。
願っても叶わない。期待しても裏切られる。
だったらもう、諦めるしかないじゃないか。
でも、何でだろうな。
それでも確かに、諦めきれないものがある。
捨てきれない何かがある。
それが、今の私を突き動かしている――。
※
「誰にでも優しい男は女にモテない」ってのも言われたことあるけど、それは仕方ない。
優しくないと誰からも好感を持てないし、関わる機会だってなくなってしまう。
別に意識してるわけじゃないけれど、そうあることでしか関係を繋ぎ留めきれない。
失ってしまうことが、何よりも怖いから――。
※
自分を好きになってくれる人なら誰でもいいってわけじゃない。
その人との相性とか、好みもある。
相手が魅力的でどんなに惹かれても、ほんの些細な事で嫌いになってしまう事がある。
だから、どんな面を見ても嫌いになれない人がいい。
裏表がないのではなく、どこを取っても好きでいられる人がいい。
※
相思相愛。子供みたいな考えだけど、やっぱり付き合ったなら結婚したいって思う。
だから今、彼女がいなくたっていい。
周りがイチャイチャしていても結局他人だし、幸せそうで何よりとしか思わない。
未来で幸せな家庭を築けているならそれでいい。
そうじゃなくても、一人は気楽でもう慣れてるしね。
※
この世界が広くて、怖くて。縮こまって殻に籠って。
それはどんなものよりも安らぎを与えてくれる。
でも、そこは海のように息が苦しい。
自分にとってそこは何よりも苦しい。
自業自得で逃げだとわかっていても、この世界が狭くて窮屈に感じる。
だからこの世界が大嫌いだ。
私は囚われ者のようです。
          
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