汚濁

「S」

episode.『11月02日(金)/11月04日(日)』



私は幸せになりたかった。

心の穴を埋めてくれる何かが欲しかった。

期待しても裏切られるだけなのに、無駄ではないのだと認めたくなかった。

心に何重もの鍵をかけ、関係を断ち切る修羅となる。

私を理解できる者はいないのだと、孤独の闇にズブズブと沈んでいく。

やはり私は、優しくなんかないよ?





あなたは私を理解できない。

だってあなたは知らないでしょう?

親を親と思えない恨み憎しみ。友を友と呼べない苦しみ。約束を違えてしまった痛み。

6歳の頃から現実を叩き付けられ、彼此10年以上の歳月を経ても、消えることの無い憎悪の闇。

癒えない寂しさ。孤独の悲しみ。

私は、一人なんだよ――。





私は、憶測や偏見でものを語る奴が嫌いだ。

その自分勝手な言い分に腹が立つ。

当人にしかわからないことを客観的意見で真実を捻じ曲げる行為。

凄く、印象が悪い。

私なら、自然と黙って眺めている。

両者の言い分がわかるから、よく考えて発言する。

平等的だと思うけど、ただ無関心なだけなんだ――。





人はさ、ストレスが溜まると頭痛がするんだ。

そりゃそうさ。こんな歪な世界に生まれりゃ。

私の場合は特にそう。

願っても何も叶わない。不幸ばかりが降り注ぐ。

被害妄想?違うな、事実そうなのだから仕方ない。

しかも全部、質が悪い。

こんな現実クソ食らえだ。

私は、産まれる星を間違えたよ――。





出逢う人が皆優しい。

これを環境に恵まれていると言うのなら間違いだ。

だって皆、良い人止まりで本当の自分を理解してはくれないから。

社会は嫌いだ。

自分を取り繕って笑みを浮かべ、気を使って生きなければならない。

こう考えれば今までと一緒。

けれど私はもう、疲れたよ。

私にはもう無理だ。





誰かに頼れて救われて、支えがあったなら、私はこんなにも苦しまなかった。

でも頼れないから、助けがないから、支えがないから、今を一人で生きているんだ。

目を閉じて、耳を澄まして。

心の中を覗いてごらん?

そこに一人でも大切な人がいれば、あなたは幸せ者だ。

誰もいない私は、不幸者だ――。





毛布に包まれクッション抱いて。

そのモフモフとした温もりに抱かれて眠る月夜の晩は、寂しさを忘れさせてくれる。

凄く虚しい。哀れで悲しい。

でも、これでいいんだ。

私は孤独の中で生きている人間。

誰もいなくていい。

この眠りに浸って忘れよう。

全部全部、夢の彼方へ。

私は、可哀想な人だ――。

          

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