見た目おっさん。夢想したものを錬成、現実化できる力を行使する異世界平和への物語

とおす

おっさんと冒険者試験

おっさんがレイガスとミルルに話をしている間。


密林の奥でミシリとひび割れた音がする。


「ぐっっがーーーーー!」バリンと弾けた土の塊。


そこから現れる殻炎の手が真っ赤に燃えている。


「っハア・・ハア・・ハアっくっそがあーーー!あのおっさん許さねえ!!!」


バキリッ殻炎は拳を作ると、近くの木に裏拳にて激震を与える。


「っ・・・しかし、10号の気配がない。やられては無いみたいだが・・・」


殻炎は気配察知のスキルをもっており、気絶していない限りは探り出すことが出来る。


「・・・ちっ。10号無いままだと、おっさんの隙を作ることもできないか・・・ちっ」


悔しそうな声を出す殻炎。おっさんの方角を眺めること5秒後、背を向け戦場を離脱した。


・・・丁度その頃オーク10号はいびきをかいていた。






ーーーーーー


おっさんが異世界に来てから、1週間が過ぎた


ーーーーーー






「おい、渉。これ美味しいぞ!買わねえか」


焼き鳥に見える串を並べ、


街並みを車輪の付いた屋台でパタパタ扇状の物で、


肉を扇ぎ焼いている店員が相手するのはおっさん。


どっからどうみても渋いおっさん。


「美味そうだなあ、5本くれ!」


「あいよ!すぐ焼けるから待ってな!」


おっさんは焼けるのを待ちながら、周りの街並みを眺める。


木材を囲み、人の手で作られた家屋などの街並みはどこか懐かしく、


人々が歩く風情は争いの無い平和を感じさせる。


そんな雰囲気が渉は好きになっていた。


雑貨屋・装飾屋・薬屋・武器屋・宿屋・武芸道場・防具屋・そして冒険者組合など様々な建物があり、


こうした屋台で売り出す風景も日常のものとのことらしく、


来たばかりの渉もすぐに馴染めるようになってきていた。


「よっと!おまたせー!1本はサービスして80こうだ」


「80鉱ね・・・はいよ」


おっさんは懐の巾着から手に銅色のコインを8枚、


屋台の店員に手渡した。


「へい、毎度!!また頼むな!」


「おう、頑張れよ!」


おっさんは手を挙げ、その場を去る。



この世界の通貨の価値相場は以下の通りである。


1鉱=10円
10鉱=100円
100鉱=1,000円=1銀(銀でできた硬貨)
10銀=10,000円
100銀=100,000円=1金(金でできた硬貨)
10金=1,000,000円
100金=10,000,000円=1王金(金貨100枚を特殊な錬金術で魔法付与圧縮させた硬貨※重い)


※焼き鳥は6本で800円相当であった事になる。



おっさんは1週間前、レイガスとミルルと別れ、冒険者組合へ登録をしに行き、


今から試験会場へ向かっているところである。


レイガスとミルルに無理言って、お金を貸してもらい、現在の所持金は30銀(3万円)である。


(はやいところ、稼いで返さないとな・・・)


ーー


冒険者組合、通称「壱の戦場」その場所に集まるのは50人の有志達。


おっさんもその内の一人である。


ーー


「よーし!50人全員集まったから、さっそく説明するぞ!!!」


素材はミスリルの全身鎧に包まれた、指導官。


いかにも歴戦の戦士のような姿をしており、脇に差しんだロングソードがよく手入れされている。


「まずは適性検査だ、組合の窓口で渡した冒険者登録番号順に並び、お前らの後ろに見える線まで進んでくれ!」


指導官が説明する場所を見渡すと、広い訓練場のような雑草の無い土平野があり、


その中央には盾と剣をもった戦士。ローブに身を包んだ杖持ちの女性。弓を持ったエルフが立っていた。


「・・・」


おっさんはエルフをみて、綺麗だと興味をもった視線を送ってしまっていた。


がエルフに悟られて、逆に睨まれる。


・・・・この先、どんな評価を受けるかは、


おっさんは知る由もない・・・・

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