俺の彼女がいつに間にかあざとカワイイ小悪魔どころか独占欲が強い魔王様になっていた件について
11.デートの計画
「朝のやつ?」
無事に教室までたどり着き、朝のホームルームまで自分の席で寛いでいると突然孝太がそんなことを聞いてきた。朝のことと言ってパッと思い浮かぶのは月城先輩のことだが、見ていたのだろうか?
「もしかして月城先輩のことか?」
素直に思ったことを聞けば、孝太は『逆にそれ以外何があるんだよ』と少し強めに言葉を返してくる。彼が聞きたいのはやはり月城先輩のことだったようだ。
「……それで月城先輩がどうしたんだ?」
「おいおい待ってくれ、そこじゃないだろ。まずはなんで凛があの美人で有名な月城先輩と知り合いなんだってところからだろ」
「それは色々あって」
「色々って例えば?」
「色々だな」
月城先輩とは昨日今日の仲なので正直あまり話すようなことはないのだが、孝太はグイグイと俺の目の前まで迫る。そんな彼に一体どうしたものかと困っていると、突然彼は勝手に何かを察したらしく俺の肩をトントンと優しく叩いた。
「……つまり話せないってことか。分かった、これ以上は聞かない。だけど一つ教えてくれないか?」
「なんだ?」
「月城先輩ってどんな感じの人なんだ? 二年生から流れてきた噂があまり当てにならなくてよ。だって変人だぜ? 流石にそれはないだろ」
いや孝太、それほとんど当たりだ。今日話した感じだと彼女──月城先輩は確実に変人というか変態だった。それも超がつくほどの。多分男性恐怖症を拗らせた結果だとは思うのだが、流石にあそこまでとは誰も思わないだろう。ただまぁ孝太の幻想を壊すのも申し訳ない。ここは適当に合わせておくとしよう。
「ああ、ちょっと人と違うくらいで普通だったよ」
「やっぱりそうだよな、あんな美人が変人なわけないもんな」
「……そうだな」
顔が引きつらないようにするのに必死だったがなんとか誤魔化せただろう。
それはさておき、俺には朝のホームルーム前までにやらなければいけないことがある。
「孝太、悪い。俺ちょっと行ってくるわ」
「ああ、またあれか」
俺の視線の先には今日もクラスメイト達に囲まれる四葉の姿があった。
◆◆◆
昨日に引き続いてクラスメイト達に囲まれる四葉を助けると彼女は軽く頭を下げてきた。
「今日も助かりました。ありがとうございます、凛君」
「やっぱり四葉の人気はすごいよな」
「そんなことはありませんよ。みんな、ただ物珍しいもの見たさに集まっているだけです。それより行きたい場所は決まりましたか?」
彼女が言っているのは多分デートで行きたい場所のこと、しかしこの近くにはほとんど何もなくあるとしても映画館くらいしかなかった。かといって今やっている映画は恋愛ものが多く俺と四葉が二人で見るには少し気まずい。なので一先ずは候補すらないという体で彼女の質問に返事をする。
「そうだな……まだ決まってないな」
「やっぱりそうですよね、実は私もまだ決まってません」
どうやら四葉もまだ決まっていないようだった。やはりこの近くでと考えるとどうしても選択肢が限られてくるのだろう。だとしたらもうあれしかない。
「思ったんだが、いっそのこと都心の方に行かないか? ここから少し時間はかかるだろうけど電車一本で行けるしそこなら色々あるだろ?」
「都心ですか? でもそういうところって人が多いですよね。もし何かあったら……」
四葉はどうやら何かあったときのことを考えて心配しているようだった。しかしその心配はどこに行ったとしても付き物、どうしても心配だというのならこうする他ない。
「そんなに心配なら手とか繋げばいいだろ。それならもし何かあっても俺がいるし」
そう、これは仕方なくの結果なのだ。俺の望みではない。だからどうか気持ち悪いとかだけは思わないで欲しかった。
しかしその心配はただの杞憂だったようで。
「確かにそうですね。ではデートのときはよろしくお願いします」
四葉はそれから笑顔で『凛君がいるなら安心ですね』と言って頷く。そんな笑顔を見れば彼女に文句を言いたくもなった。本当に彼女は意味を分かってやっているのだろうか。いくら今彼女と付き合っているからといってそれは実際に付き合っているわけではなくただの成り行き、そこに恋愛感情はないのだ。つまり何が言いたいのかというと、手を繋ぐこととかで喜ばれたら実は俺のこと好きなんじゃないかと勘違いしてしまうだろということを言いたかった。恥ずかしい、こんなことを思っているだけでも恥ずかしかった。
「凛君? 私の髪に何か付いてますか? さっきから私の髪を見ているようですけど」
「いや、何も付いてない。それよりお金とかは大丈夫なのか?」
「それは大丈夫です。今まで全く使う機会がなかったのでお年玉がたくさんあります!」
自らの胸をトンと叩き四葉は得意げに胸を張る。その姿を見る限り本当に彼女は出掛けることを楽しみにしてくれているようだ。
「じゃあ、その日は近くの駅に集合ってことで」
「え、そんなことしなくても家が近いんですから一緒に行きましょう、凛君」
「家からか?」
「はい、家からです。……凛君は嫌ですか?」
「別に嫌じゃないが」
「だったらそうしましょう」
「ああ、そうだな」
なんとなく四葉に逆らえず、彼女の言う通りに返事をすれば彼女はまたもや嬉しそうに笑みを浮かべる。ついこの前彼女は好きでもない人には絶対笑顔を見せないと言っていたはずなのだが、彼女がそれを意識している様子は全く感じられなかった。これは比較的彼女と打ち解けている俺だけなのか、それとも他の人に対してもそうなのか分からないがどちらにしろ彼女が好きでもない他人に笑顔を向けることを意識していないことには変わりなかった。
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