リカとマコト

マコちゃん

マコト

僕には年が離れた弟がいて、可愛くて可愛くて仕方がなかった
名前はマコト
弟ができるの?それとも妹?
産まれてくるのが楽しみだった
マコトが3歳の頃に母親が授業参観に連れてきたときは可愛くてクラスがざわついた
彼が幼稚園にあがる頃、僕は悪い事を覚えて、家にあまり寄り付かなくなっていく
僕は家にいる時はいつもコンピュータゲームをしていた、マコトはたまに遊んで欲しそうに僕のところに来たけど、コンピュータゲームを二人で遊ぶには僕の心は狭すぎた
エッチな事を覚えたのもその頃だ
だからマコトとは距離を置きたかった
マコトはいつもダイニングから居間にあがる襖の所で遠巻きに僕とゲームを伺っていた
僕にはその距離感が鬱陶しく、襖にマコトの気配を感じると母親の元へ追いやる
その繰り返しだった
彼が小学校へあがり、友達と外で遊ぶようになる頃僕は住み慣れた家を出て生活を別にした
マコトとの記憶はそれまでだ
その後も年に一度位は会っていただろう、高校へ大学へと進学した話も母親から聞いたような気がする
僕の背も超えたはずだ

僕はその頃自分の人生があまり上手く行っていなかった、刹那的に生きて人を裏切り傷付けてきた
利己的だった、自分の利益になるように、いかに上手く言葉を並べるか腐心した
だからマコトがなぜ死んでしまったか、いつ死んでしまったかなんて、全然知ろうとしなかった
一緒に暮らす間はずっと仲良くしていたかった

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