地味な僕でもクラスの中心人物の世話係になることはできますか?

一葉

バイト探し

ピピピピッピピピピッ
        
 目覚まし時計の音が、この小さなアパートの1室の中で鳴り響く。天井が低いため、反響して、さらにすごくうるさく感じる。

「んんー」
「うるさいなー…」

バンッ

僕は、うるささのあまり、そう呟いた。今まだ眠い僕にとっては、自分で設定したのになぜか妙に苛つき、目覚まし時計を強めにたたいてしまう。

「あ……」

 やべっ、目覚まし時計壊しちゃった……。

 横を見てみると、そこには壊れた目覚まし時計が、小さな戸棚の上にポツンと置いてあった。

 やっちゃったーー!
 目覚まし時計って、なぜか意外に高いよね。お金大丈夫かなー?

ま、まぁ、必要だししょうがないかな。

 なんて言い訳しながら、僕は身体を起こす。いつもはそれにプラスして、眠気を少しでも抑えるために目を擦っているのだけれど、さっきの一件で、もう目が完全に覚めてしまっているので、必要はない。

 あ、そうだ、今日から春休みか。じゃあ今日にでも買いに行って見るか。あと、今日はバイト探しでもしないとな。
 一応、5、6件は探したんだけど、本当に大丈夫かなー。

 なんて考えながら、貧乏人の僕は、大きいダンボール箱の上に乗っているパソコンの電源をつけて、目覚まし時計ができるだけ安く売っているところを探す。

 ちなみに、パソコンのアカウント名は、陰という名前にしている。僕の本名である小夜日陰の名前からとった。実に単純だ。

 電源を立ち上げると、まずは、よく開いている所をまとめてある場所。つまり、お気に入りの欄を開く。すると、そこには2つのサイトが出てくる。1つは、昨日卒業式を行った中学校のホームページ。そして、2つ目は、ネットショッピングだ。

 まず、中学校のホームページを、この欄から消す。なぜなら、もう使わないから。そして、次は高校のホームページを……というわけではない。僕は高校に行かないことに決めたからだ。

 だけど、頭が悪いわけではない。どちらかというと、頭がいい方だとは思う。でも、高校の受験に受けないのは、金欠と、……単に友達がいないから……。

 まぁ、そんな僕のどうでもいい話は置いておいて、用意を終わらせると、僕は自分が受けるバイトの受験時間を書いたメモの紙を見て、今日の予定を確認する。

「今日は、えーっと、ファミレスとコンビニの面接か……。」

 声に出すと、記憶に残りやすいとどこかで聞いたので、僕は取りあえずつぶやいておいた。

 扉を開けて外に出ると、まずはファミレスに向かう。

「こっちかな?」

 僕は、いつも家で料理を作っていた。だから、ファミレスになど行ったことがなかった。
 そのため、スマートフォンの地図アプリを使ってファミレスにむかっていた。

ウィーーン

 おぉ、自動ドアなんだ。いいなぁ、僕のアパートにも付けてほしいなぁ。まぁ、無理だってわかってるけど、

 とか、勝手に想像して勝手に落ちこみながら、店の中に入る。

「いらっしゃいませ」

カウンターにいる人は、僕に気づくとすぐに声を掛けてくれた。

 バイトの面接をする時って、カウンターにいる人に言えばいいのかな?

 そう思い、僕はカウンターにいる人に声を掛ける。

「あのー、すみません……。」

「はい、なんでしょうか?」

「あのー、バイトの面接に来たんですけれど……」

「あ、分かりました。じゃあこちらについてきてください」


 そう言って、僕は店の裏側の方に連れてこられた。

 良かったー、正しかったのかは分からないけど安心して一息つく。

「じゃあ、用意ができたら呼ぶので、部屋に入ってきてください。」

「あ、はい。分かりました。ありがとうございます。」


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