最後のラブレター ~現代版『椿姫』~

のんにゃん

生活の変化

修吾と付き合い始めてから、マリは五本木ヒルズの近くにある彼のマンションに、よく泊まるようになった。


見晴らしの良い高層マンションの、最上階。

広いリビングには、壁一面を占めるような液晶テレビがある。


その前にはフワフワのソファとテーブル。

「ホームパーティーができそう!」

とマリは思ったが、実際に修吾は休日に会社の仲間や友人を招き、ホームパーティーをすることがよくあった。

その時は、マリが料理を作ることもあった。



修吾は仲間たちにマリのことを隠すことなく

「彼女だよ」

と紹介した。


*


しかし修吾は多忙で、国内外への出張も多く、2人でゆっくり過ごせる時間はほとんどない。


「それなら、一緒に住めばいいんじゃない?」

修吾の提案で、マリは修吾と一緒に暮らすことになった。


今まではマリと修吾の休みが合うときにマリが修吾の家へ来ていたが、逆にマリの仕事がある時だけ、彼女が実家へ帰るような生活に変わった。

修吾は早起きで、規則正しい生活を送っていたため、いつしかマリも同じような生活パターンになっていった。

以前のように、仕事のない日は昼まで寝ているということはなくなった。

おかげでよく眠れるようになったし、仕事も以前よりはかどるようになった。


そして、修吾のことを好きになるだけでなく、よりいっそう尊敬もするようになっていった。



12月が近付いたある日、2人は液晶テレビの大画面でパリ・オペラ座のバレエを観ていた。



修吾はこう提案した。

「マリ、今年のクリスマスはパリで過ごさない!?
一緒に生のパリ・オペラ座のバレエを観ようよ!」


「えっ、本当に!?今から飛行機のチケット取れるかしら!?」

マリはちょっと驚いた。

「大丈夫だよ!」

修吾はにっこりと笑った。

「決まりで、いいかな?」

「うん!」



マリにとって、初めての海外でのクリスマス。

修吾からの、思ってもみないほど豪華なサプライズプレゼントだった。

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