異世界に召喚されたのは二度目だけど、まぁとりあえず強くてニューゲームします

Luxuria

序章 3 実践訓練


    実践訓練当日。俺達はこれから挑むといたう、人工の洞窟前に来ていた。

    「今日は待ちに待った、実践訓練の日だ!    これから貴殿らには、五人一組でこの人工ダンジョンに潜ってもらう。目標は最深部に潜むボスを戦闘不能にすること。もしもの時はリーダーに渡す帰還の魔石を使用しろ。ここに戻って来る事ができる。使う心配はしていないがな。

    説明は以上だ!    貴殿が賜った祝福を以てすれば攻略は簡単なはずだ!    期待して待っているぞ!」


    バルトが全員の前で解説を行っている。あいつもちょいちょいウザかったんだよなー。全員の目の前でボコられたし。

    というか部下に俺をいじめるよう、命令をしてるのも聞いたしな。従う方もクソだが。


    「続いて、組み合わせを発表する。こちらの表を見ろ」


    バルトが大きな模造紙の様なものを広げる。俺の名前は……


    鮫島    剛
    服部    徹
    佐倉    菜々香
    野嶋    愛
    斉藤    蓮



    ……うわぁ。あいつらかぁ。佐倉がいるのはまだマシだったか。もう一人女子がいるが、話した事は無い子だ。


    発表後、一時間の作戦会議の時間が与えられ、それぞれのパーティー毎に話し合う事になった。




    「リーダーはこの俺だ。異論は無いな?」

    「はい!    もちろんでございます!」

    鮫島の立候補に、肯定する服部。こいつらと一緒なの嫌だわぁー。

    「はんたーい、アタシは菜々香の方が良いと思いまーす」

    「私?    私なんかに務まるかな?」

    野嶋さんの推薦で佐倉が挙がる。

    「これで二体二ね。アンタはどうなの?    斉藤」

    「俺は佐倉さんが良いと思うよ。委員長だしね」

    「はーい、じゃあ菜々香がリーダーで可決ー」

    「チッ!」

    あっ、舌打ちされた。



    その後は佐倉中心に役割分担と作戦を話し合った。鮫島は終始聞いていなかったが。








◆◇◆








    パーティーが一組ずつ入っては出てくるのを見ると、全組がクリアしていることが読み取れる。

    ちなみに俺達は今入った所だ。大トリだと緊張するな。


    洞窟内は壁に篝火が付いているため、以外に明るく、視界の心配は無かった。だが意外と雰囲気的には怖い。

    岩造りの通路を警戒しながら進むと、ゴーレムが数体いる小部屋に着いた。

    (皆、止まって!)

    佐倉が小声で止まるよう促す。

    敵にはまだ気付かれていないようだ。現在は小部屋入口付近の岩陰に潜んでおり、ゴーレム達の様子を伺っている。


    人型が二体、動物型が三体、人型は棍棒を所持しており、動物型は狼を模した姿だ。

    (皆、作戦通り、まずは愛ちゃんが先制で遠距離攻撃、続いて服部君が糸で妨害、その後は近づいて一体ずつ確実にね)


    セオリー通りの的確な指示。佐倉は結構リーダーの素質あるよな。


    「いくよー!    ファイヤー!」


    ボォォォオオ!!


    野嶋さんの掛け声と共に発せられる眩い炎。その熱気はこちらまで届いており、喰らったらただでは済まないだろう。

    【魂の炎ソウルファイア】。高い火力で敵を燃やし尽くす、異能系小説ではよくあるタイプの能力だ。


    ガシャーン!!

    鈍めな音を立てて、崩れるのは人型と動物型が一体ずつ。おそらくコアが破壊されたのだろう。

    ゴーレムは動力源である魔石を破壊されると、活動停止を余儀なくされる。ファンタジー世界では当たり前の知識だ。


    「皆行くよ!」

    佐倉の声に俺を含める全員が前に出る。

    「キャンキャン!」

    意外と可愛らしい声を上げながら、動物型二体がこちら目掛けて跳びかかってくる。

    「オラァ!」

    跳びかかってくるのに対して、鮫島が回し蹴りを放つ。

     バコォォン!!

    受けたゴーレムは一撃のもとに粉砕される。おお怖。



    「そりゃ!」

    服部がもう一体に対し糸を放ち、それを野嶋が燃やす。

    ビキビキビキッ!

    熱に耐えられなかったのか、崩れるように倒される。

    「残り一体!」

    あたふたしている残りの人型一体に、佐倉が持っていたメイスで、横薙ぎの一撃。

    バキッ!

    確かな質量を持った打撃に、腕を一本砕かれる人型。

    最後は俺が!

    シュン!

    腰から抜いた小剣で、首元を切り飛ばす。

    頭を失ったゴーレムは、電池の切れたロボットの様に地に伏した。


    「終わったー!」

    佐倉が自慢げに宣言する。

    「ナイス指揮だよ菜々香!」

    女子二人は喜びながら互いを賞賛する。微笑ましいな。

    「やりましたね!」

    「フン」

    喜ぶ服部にツンデレ鮫島。ペッ!    




    この後も戦いは順調に進んだ。

    このまま何事も無く終わる。その時の俺はそう思っていた。





◆◇◆






    大きな篝火に挟まれた、大きな金属扉。明らかにボス部屋の雰囲気である。


    「いよいよだね、皆、準備はいい?」


    佐倉の確認に、全員が頷く。


    キィイィィィイ……


    無機質で不快な金属音が鳴る。


    薄暗いボス部屋に、無言で進む一同。全員に、緊張が走る。


    ボッ!


    「「「「「ッ!?」」」」」


    部屋にあった篝火に火が灯り、ドーム状の部屋が明るくなる。

    中心には三つの影。人型ゴーレムだ。

    今まで雑魚戦で戦っていたものとは異なり、背丈が高い。大きさは二種類で、2m程の中型が二体、4m程の大型が一体だ。

    三体とも武装しており、中型は長剣、大型は大剣を片手で持ち、もう片方の手でバックラーをもっている。


    「皆、落ち着いて!    冷静に中くらいのゴーレムから一体ずついくよ!」


    人間とゴーレム。互いに走り出し、戦闘開始の狼煙を上げる。


    ガキィィィン!

    鮫島が初めて抜いた長剣が、大型の大剣とぶつかり合う。

    その後も剣戟が続き、激しい攻防が続く。

    この間に中型を減らす!

    二体の内一体は服部が妨害、野嶋が攻撃といった形で優勢だ。つまり残りは俺と佐倉でやる訳だ。

    「蓮君!    このゴーレムは硬そうだから、魔法で攻撃してみる!    時間稼ぎお願い!」

    「了解!」

    キン!

    俺の小剣とゴーレムの長剣が交わる。

    「ちょっくら踊ろうぜ!」

    ゴーレムの攻撃に合わせ、小剣を動かす。とにかく無駄を少なく、攻撃は素早く!


    カン!

    ゴーレムの表面にヒビが入る。

    「そろそろいいか?」

    「蓮君どいて!    《目覚めるは我が憤怒の炎、その熱を以て、汝を焼き尽くさん、ライジング・フレア》!」

    ボァァァアアア!

    俺が飛び退くと同時に超高熱の炎の塊がゴーレムに激突する。【ライジング・フレア】。広範囲を焼き払う炎属性魔術だ。

    「《聖なる水よ、その清らかさで、邪悪を祓い賜う》!」

    ブワァァアア!

    激流がゴーレムを包み、渦潮の如くその身を削っていく!

    とても魔術を学んだばかりでは到底無理な威力の攻撃。


    この強大な魔術を短い期間で完成させているのが、彼女が受けた祝福。その名も【賢者】。強大な魔力を所持者に付与する基礎面での強化、加えて魔術構築をサポートとする技術面での強化。この二つの強化を祝福がもたらしたことにより、佐倉菜々香は強大な魔術をいとも簡単に撃つことが可能となる。

    また、術者自体も特訓すれば、さらなる高位魔術も使用可能に……


    パァァァン!!


    だがゴーレムはそれを受けて尚、立ちはだかる。全身にヒビが入っているが、こちらに向かってくるのみである。

    勇者の訓練にはもってこいの強度だ。


    「蓮君!    最後お願い!」

    「任された!」

    俺はゴーレムに向かって駆けていく。

    今のゴーレムの頭には赤く輝く石が露出している。動力源である魔石だ。

    そこが唯一の弱点であり、勝利への道だ!


    「はぁぁぁぁぁぁああああ!」


    最高の跳躍。高く舞い上がり、体重を乗せた一撃を脳天に叩き込む。


    パキャン!


    最後の音は意外と呆気なく、儚い。

    動力源を砕かれたゴーレムは大の字に倒れ込む。


    「よし、倒した!」


    さて、後の二体は……


    周りを見渡すと、既に倒れたもう一体の中型、そして、たった今、魔石を貫かれた大型が立っていた。


    終わった……のか。


    「イェーイ!    ブイ!」

    こちらに向けてVサインを向ける野嶋と、それに返す佐倉。そして息をついた鮫島と服部がいた。

    どうやら何事もなく終わったみたいだな。


    さて、これからどうしたものか。クリア目標はボスの 戦闘不能。つまり撃破だ。と言っても、周囲には目撃者なんて居ない。どうやってクリアを確認しているのか。


    ボッ!    ギィィィィイイ……


    火の灯る音と、扉の開閉音。どうやら更に奥に続く道があるらしい。


    「皆、進んで見ようよ」

    進むしかなさそうだ。


    扉の先は小さな部屋だった。蝋燭の灯る薄暗い部屋の中心には一つの宝玉が鎮座していた。

    手のひらサイズのその玉は美しく、神々しさを感じさせた。

    「これを持ち帰ればいいのかな?」

    「そうじゃない?    倒したら開いたってことはきっとそうだよ」

    佐倉が宝玉を手に取り、懐にしまう。

    「よし、帰ろう!」

    


    俺は振り向き、来た道を引き返そうとした。





    引き返そうとした。

    






    ドスッ!!



    腹部からありえない物が突き出てくる。長剣だ。




    あーあ。これは……死んだな。
 

    




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