我ら天下の暇人グループ

(´・ω・`)

3.始動

 翌日。
私達の姿は最も危険と恐れられる赤魔鉱山にあった。
なんでも、ここで働いていた鉱夫達が「赤い悪魔が出た」と言って騒ぎ立てた事からこの名前がついたらしい。
悪魔を信じるわけではないが、ここが危険区域に指定されてるのは事実。
リエルさんもすごく心配してたし、気を引き締めていかないと…。

「赤い悪魔ってどんなかなぁ?やっぱでっかいフォーク持ってたりすんのかな?」
「それは違うんじゃない?赤い猛獣か何かでしょ。多分」
「そっかー」

ヒスとトリエラが気の抜けた話をしている。
なんだか自分が緊張しているのが馬鹿馬鹿しく感じられてきて、思わず口元が緩んだ。

「どうかした?」
「ううん、なんでもない。2人が頼もしく見えただけ」
「心配しなくてもカティリアは強いよ」
「ありがとうラディール。……貴方が頼りないって言いたい訳じゃないのよ?」
「カティリアがそんなこと言わないのは分かってるけど俺が弱いのは事実…」
「そんな事ないって!ほらリーダー。皆で依頼こなしに行きましょう?」
「うん…そだね…」

いけない。彼のやる気を削いでしまった。
まぁこれくらいで拗ねるような人ではないし、大丈夫だと信じよう。

「俺の手違いで星の石採掘依頼を受けてしまった。マウニさん達が言うにはここが穴場らしいけど、ここは立ち入り禁止区域になるほど危ない場所だ」

ラディールがゆっくり歩きながら呟く。
私達に語りかけているようにも聞こえるし、自分の中で確認しているようにも聞こえる。

「強いモンスターも出るだろうし、もしかしたら赤い悪魔と遭遇するかもしれない。皆の強さを疑うわけじゃないけど、誰かが怪我する可能性だってある」

尚も続ける彼の声には、自責の念が込められているように聞こえた。
ヒスが隣で「そんなに思い詰めなくてもいいのにね」と視線を送ってくる。
全くもってその通りだ。

「でも依頼をこなさなきゃいけない。俺弱いから何ができるか分かんないけどさ………今回も一緒に行ってくれる?」

入口の前で振り返った彼は、困ったような笑みを浮かべていた。
そんな彼に対する私たちの反応は、実に緊張感がなかった。

「当たり前でしょ。友達なんだから。しっかりしてよリーダー」
「やっぱりラディールといると飽きないねぇ…。大丈夫。ウチには超強いカティリアさんがいるから!」
「え、私…?いつも思うけどヒスの中の私強化されすぎじゃない…?」
「あははー。かもねー」

ケラケラと笑う彼女を見たラディールの表情は、ほんの僅かだけ緩んだように見えた。

「ありがとう……。じゃあ行こうか!星の石を探しに!」
「「「おーー」」」

しんみりとした雰囲気なんて似合わない。
緊張感はなく、巫山戯ながら、自分たちのペースで依頼をこなす。
私たち暇人グルには、それくらいが丁度いい。

「冒険」の人気作品

コメント

コメントを書く