十刻の魔物使い

黒良シキ

二十話 ランクアップ


 僕達は町に戻ると冒険者ギルドに向かった。


 冒険者ギルドに入ると僕達は受付の方に歩いて行った。

「すいません。達成報酬を受け取りたいんですけど…。」

「では、討伐した魔物の部位を提示して下さい。」

 僕は言われた通りリザードマンの左耳を40個出した。

「こ、こんなに! 出て行ったのはちょっと前ですよね? どうしてこんな量を?」

「それは…」

 どうしよう。
 こうなる事態を考えてなかった。
 そりゃ神狼と元SランクのいるEランクデュオなんて馬鹿げてるし、普通あり得ない。
 どう言えば変にならないかな。
 まぁ、嘘を言わなければいいか。

「あの、この隣のリーナは元Sランクの冒険者なんですよ。」

「えっ、えええー!」

「それは本当ですか?」

 受付嬢がリーナの方を向いてそう聞いた。

「本当です。少し問題があって一度冒険者を辞めたんですけど、また始めることにしました。」

 リーナが噛まずに話せるだと………

「そうなんですか。でしたら、一度ギルマスに会って頂けませんか?」

「………あっ、はい。」


「ねぇ、リーナ? どうして今噛まずに話せたの? いつもだったら思いっきり噛むのに。」

僕はギルマスの居る部屋に行く途中、リーナに聞いた。

「そ、それは、その、私は緊張するといつもうまく話せなくて…」

リーナは少し表情を落としながら答えた。

「リーナ、僕の前だとそんなに緊張する?」

「は、はい。」

「そうかー。まぁ、少しずつうまく話せるようになってね!」

「はい!」


コン コン


「ギルマス、少しよろしいでしょうか?」

 受付嬢はドアをノックするとそう聞いた。

「いいぞ。」

 ギルマスの声は中々太かった。
 僕はギルマスの声を聞いて屈強な男を想像した。

 僕達が部屋に入ると、そこには想像通り屈強な男が1人椅子に腰掛けていた。

 そして僕達の隣にいた受付嬢はギルマスの横に行くと、耳元でコソコソとこの事を伝えていた。

 少し立つとギルマスは僕達の方を向いて

「話は聞いた。俺はギルマスのジャンクだ。そっちの嬢ちゃんが元Sランクだったよな。」

「はい。」

「そうか。そりゃ大したもんだ。」

「嬢ちゃんがSランクだったと言うのは話を聞けばわかる。出来ればランクを上げてやりたいんだが、急にSランクは流石にできない。だから、嬢ちゃんはAランクまでなら上げられるけどそれでいいか?」

 リーナが僕の方を向いて目で何かを伝えようとしている。
 上げても良いですか? と言う事だろうか。
 僕が少し頷くとリーナは返事をした。

「はい。それで大丈夫です。」

「わかった。それじゃあヘレナ、嬢ちゃんのギルドカードを頼む。」

「はい。ギルマス。」

 リーナは受付のヘレナさんにギルドカードを渡した。

「そして、後は坊主だな。」

「ふえっ、僕も?」






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