十刻の魔物使い

黒良シキ

十一話 僕のメイドが強すぎる件


 男は気絶した。
 リーナの首トンで。

 僕はこの状況をうまく呑みこめていない。
 そりぁ、ねぇ?
 だってリーナ、メイドを始めてから1年くらい経つのに、いつも話す時大体3回以上噛むし、1日に1枚は皿割るしでもう習慣かよ! ってツッコミたいくらいダメダメメイドなんだけど、いつも元気いっぱいで頑張ってるのは伝わってるから、あまり起こる気になれないんだよね。
 それは置いといて、リーナになぜここまで強いのか早く聞かなくちゃ。

「そのーリーナ? なんでそんなに強いの? あの人一応Bランクみたいだけど?」

「そっ、そ、そ、それは! その、Sランクなんですっ、わ、わたし」

 リーナは周りの光によってキラキラ輝くプラチナの冒険者カードを両手で持ち、こちらに見せる。

「えぇーーー?!」

(ワゥーーーン?!)

 いや、ラル?そこまで驚く?
 僕が驚くのは当たり前だけど、ラルがそこまで驚く理由がわからないんだけど……

(主人、リーナがSランクとは不正でもしたのでは?)

 ラルはなぜそこまで必死なんだ。

(でも、確実にそうとは言い切れないんだよね。あの動きを見るに結構慣れてるみたいだし。)

(そ、そうですね)

「でも、なんでSランクになれたの?」

「そ、それは……はっ、話すと長くなりますがよろしゅう、よろしいですか?」

「ああ。長くて結構」




コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品