十刻の魔物使い

黒良シキ

九話 僕、強いかも!


 僕はまたあの森に来ていた。
 それはラルとの訓練の為だ。
 父様はラルがいれば大丈夫だろうと、すんなり許可してくれた。

(主人。この辺でよろしいかと)

(分かった。それじゃあ今からよろしく頼むね。)

(はいです! 主人。)

 でも、これって結構変な感じだよね。
魔物に教わるって。
 でもラルは神狼だし、別におかしくないか。
 まぁそんなのどうでもいい。
 よし!教わるか。
 
(じゃあラル先生、まずこの神爪とやらを教えてください。)

(あっ、主人! なぜ主人が自分の事を先生などと)

(こっちの方が教わってる感があっていいと思ったんだよ。)

(そ、そうですか。)


(で、では、始めましょう!)

(はいです!)

(まずは神爪ですよね。でしたら一度自分がやるので、見ててください。)

(うん。分かった。)


 ラルが見本を見せてくれる様だ。
 まぁ聞くより見る方が早いしね。
 習得する為にもちゃんと見ないとね。

 僕はラルの見本をじっくり観察した。

 ラルは前足の爪辺りに力を溜めると、前にある1本の木目掛けて、爪撃を飛ばす。

(主人。神爪のやり方は結構簡単です。)

(体内の魔力を爪に集中させればいいんです。)

(分かった。やってみる。)

 僕はラルに言われた通りに、体全体の魔力を爪に集中させた。
 すると、爪の辺りが黄色く輝いて、そのまま急に爪撃が出た。
 あっ、あぶな!
 僕は自分の神爪を見てそう思った。

(主人。少し練習した方がいいですね。今の主人の神爪は成功はしましたが、爪に魔力が全て溜まる前に魔力が外に出て行ってしまったので、魔力を爪に集め溜める練習をしてください。)

(うん。分かった。)

 僕はその後もラルの指導の元、神爪を練習した。




 そして………


「ラル! 今の成功だよね?」

(はい! 大成功です。主人!)


 僕は1時間程掛けてやっと、神爪を成功させた。
 一応まだ習得したばかりなので、威力は少し弱いが、元々この能力が強いので特に問題はない。


 僕は神爪が終わったので、次は威圧の練習をした。
 ラルが言うには、威圧は簡単らしい。
体にある気をただ相手にぶつければいいみたいだ。
 僕がその通りやると、本当に簡単ですぐにできた。

(ラル、威圧は終わったから次は神脚だね。)

(主人……その神脚なんですが、それは四足歩行の技なんですよ。だから主人は………)

(あっ、そうなんだ。なら今日はこれでお終い?)

(はい。そうですね。)


 そうして僕の訓練は終わった。
 僕は今日だけでとても強くなったはずだ。
 でも、こんな所で努力をやめはしない。
 努力は幾らやったっていいのだ。
 だから僕は今も、そしてこれからも努力をしていくつもりだ。
 まぁこのまま頑張れば魔法に勝てる日も来るだろう。
 よし! 頑張るぞー!

 僕は今日の訓練で自信が付いたのか、少し心の余裕ができた。






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