十刻の魔物使い

黒良シキ

八話 能力遺伝


 僕は次の朝、いつものように支度を済ますと、食事をとり鍛練をした。

 ラルはというと、その間お利口に部屋で待っていた。

 僕が鍛練を終えて帰ってくると、ラルが尻尾を振りながら出迎えてくれた。

(主人! 待ってました!)

(ラル、お利口にしてたか?)

(はい! それはもちろん!)

(よしよし〜〜)

 僕はラルをわしゃわしゃと撫でた。
 するとラルは、とても喜んでくれた。
 僕もラルと会ってから毎日が凄く楽しい。
 本当に出会えてよかった。

(主人! 今日は試したい事があると朝言ってませんでした?)

(あっそうだった! ありがとう。ラルが言ってくれなかったら忘れてたよ。)

 そう、僕は今日試したい事があったのだ。
 それは僕の固有能力の能力遺伝という奴だ。
 まぁ、簡単にいうと能力が一部遺伝するという事だろうか。
 僕もまだやった事がないからよく分からない。
 でも、まぁ物は試しだ! 一回やってみよう!

 僕は両手でラルの両前足を握る。

 すると、急に力が漲る様な感覚がした。
 多分これで成功なのだろう。
 僕は両手を離すと、プレートを見た。


名前 レイク・ロシュ・アルカーナ
種族 人族
年齢 10歳 
役職 テイマー

筋力 1809
魔力 3841

魔法適性

無し

固有能力

テイム
従魔召喚
能力遺伝
神爪
威圧
神脚


 おー!
 なんかいろいろ増えてる!
 これが能力遺伝かー
 これなら魔法に勝てるかもしれない!

 僕はそんな期待を胸に膨らましていた………………


(ねぇラル? 全然能力の事がわからないんだけど?)

(今は僕の能力としてプレートに書いてあるのにどうすればいいか全然わからないんだ。)

(主人、能力遺伝はもしや、その相手に教わらなければならないのかもしれません。)

(そうなの?)

(多分、自分で特訓や鍛練をした際に得た能力は分かっても、他者の能力は分からないのかと思いまして……)

(そういう事か!)

(まぁこれだけで強くなれたら、この固有能力強すぎるもんね。)

(じゃあラル、僕にラルの技を教えてくれる?)

(勿論です! 主人!)

(訓練するなら何処がいいかな? 室内はまずいから)

(それなら自分と主人が出会った森でいいと思います。)

(そうか。分かったよ。)

(それじゃあ明日の昼頃から森へ行こう!)

(はいです! 主人!)


 僕はその日、明日が楽しみで上手く寝付けなかった。














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