十刻の魔物使い

黒良シキ

五話 突然の危険

  
 僕は今森にいる。 
    領地から出て少し行くとある森だ。
    父様には適当な理由をつけて外に出る許可を得た。
 でも、護衛の騎士は連れて行けと言われた。
 少しテイムの邪魔だが、まぁいいだろう。






親side



「クーちゃんは大丈夫かしら………」

 セラは不安げにそう言った。

「それなら大丈夫だろう。クーのあの顔を見ただろ? あれは自信がある時の顔だ。」

「そうね。クーちゃんなら大丈夫ね!」

「ああ。」

 話が一段落したと思うと、再びレケルが話し出す。

「しっかしクーも努力するのはいいが、あれは自分の為じゃなくて俺達の為にしてるからな………」        

「そうね。私達は出世の為に子供を産んだ訳じゃないのに………」

「よし! それじゃあこの事は俺がクーに話す。」

「分かったわ。」

 








「レイク様、今日はなぜ森へ?」

  護衛の騎士が尋ねてくる。
     
「今日は魔物を探しに来たんだ。」

「そんな! 危ないですよ!」

「もし、魔物が出たら私の後ろにお隠れください。」

「うん。でも、戦うつもりはないよ。ただ、一度どんなものか見てみたくてね。」

「そうですか。」

 僕は護衛の者と一緒に森の中を進んで行く。
 今のところまだ、魔物とは遭遇していない。
 行く途中、本で見た薬草などもあったが、今はどうでもいい。

 少しすると、遠く離れた所にオークが2体いた。
 僕はそのオークを立ち止まって見る。
 初めて見たけど、あれが魔物か!
 あんなのをテイムしなきゃいけないのか?
 出来る気がしない。

 その時、1匹のオークがこちらを向いた。

「ブモォゥー!」

 オークが叫ぶ。
 その声で後ろにいたオークもこちらに気づく。

「レイク様! 後ろに!」

「うん。」

 僕は護衛の後ろに隠れる。
 護衛は迫って来た1匹のオークをなんとか倒した。

「よし!」

 しかし、後ろからは今倒したオークが呼び寄せた、4匹のオークがこちらに向かって来ていた。

「クソッ、このままじゃ!」

「レイク様、私の事はいいので逃げてください!」

 護衛が2匹のオークを受け止めながら言った。

「でも…」

 僕はどうすればいいかわからずその場で立ち止まる。

「レイク様!」

「見捨てるなんて僕にはできない!」

 僕はそう言うと、近くに落ちている石を1匹のオーク目掛けて投げつけた。
 しかし、オークは見向きもせずに護衛に襲い掛かる。

 護衛はもうこのままじゃやられる! 
 その時だった。
 茂みから突如現れた銀色の狼がオークを一瞬にして倒した。

「えっ!」


















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