世界最強の男の娘
15話 視察〜前編〜
今日から視察で陛下たちが来る。今日の夕方までにリストンに着いて、少し休んでもらってからそのまま食事会をしてその日は終わりで、次の日から視察を始める。
来るのは、王家から四人、ブーストン公爵家から四人、ドンマナス侯爵家から三人、騎士団から十五人、文官が七人の合計三十三人と多人数だ。常に三十人超で行動するのだから、道路は混雑することが予想される。ただでさえ、人の往来がとても多いリストンにそんなに多人数で行動すれば、渋滞でまともに視察が出来ない。だから住民には既に説明してある。
「レイ様、陛下御一行がお着きになりました」
「行こう」
屋敷の前に執事とメイドが一列に並び、出迎える準備を整える。悪魔たちは執事の格好をして、天使たちはメイドの格好をしている。騎士団長レベルになると彼らの実力を少し感じ取れるだろう。
「ようこそいらっしゃいました。陛下、それに皆様」
「「「「ようこそいらっしゃいました」」」」
陛下たちが馬車から降りるのを待って、降りたの確認して一度も頷いてから、俺の先ず挨拶をして、使用人たちが挨拶をする。
「先ずはお部屋を用意しておりますので、ごゆるりとお寛ぎ下さい」
「ブラック伯爵、これは……凄いな……城…か…」
「屋敷でございますよ、陛下」
陛下たちは城もとい屋敷を見上げて驚いている。中に入り、部屋に行くために転移魔法を織り込んだ魔道具、エレベーターの様なもので、部屋まで案内する。陛下たち大人陣は屋敷の内装などに驚き、子どもたちは俺に熱い視線を向けてくる。ガン無視している訳だが。
暫くしてから、食事会のために陛下たちを呼ぶ。子どもたちにはジュースを渡し、大人たちには高級ワインを渡す。食事は立食でバイキング方式で、貴族がよく食べる高級料理もあるが、洋食の味付けを少し変えて出している。
「陛下やブーストン公爵、ドンマナス侯爵を初めとした沢山の皆様にリストンにいらしてくださり恐悦至極です。一週間宜しくお願い致します。乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
「ブラック伯爵、このワインも料理も美味いな」
「陛下、気に入って下さり、大変嬉しく存じます」
「ブラック伯爵、我がブーストン公爵家に料理のレシピをまたして欲しい」
「抜け駆けは良くないぞ、我がドンマナス侯爵家にも欲しいものだ」
「では、帰りまでに用意させましょう」
「おぉ、ありがとう。感謝する」
「お父様?」
「はぁ、ローズ。だからな…」
「ブラック伯爵と婚約したくば彼に認めてもらえ」
「分かりましたわ」
「レイ殿は女性であろう?」
「オードス王子殿下、レイ様は男性ですわよ」
「いや、そんなことは…」
「そうだぞオードス、伯爵は男だ」
「そんな…」
オードス王子殿下とガイズは肩を落としている。男と結婚するわけないだろ。ローズもアメリスもとても可愛いが、結婚する訳にはいかない。事情というものがあるのだ。
そのまま食事会が終了した。少し陛下に呼ばれてるので、執務室に案内する。何となく話の内容は分かっているが。
「ブラック伯爵、お主にドーチェルを任せたい。爵位も上げたいのは山々なのだがな、何かと煩い奴らがおってな」
「いえ、喜んで拝領致します」
「領の概要なのだが……」
「いえ、必要ありません」
「ん?必要ないのか?なら、いいがな。では頼んだぞ!我が国に貢献してくれるのであれば文句は言わん。公爵位をやりたいところなんだが…増やすのは良くないからな」
「公爵家は三家、いえ四家でしたね。申し訳ございません」
「ブラック伯爵……お主…まさか……な………」
「どうされましたか?陛下」
「いや、何もない。では、寝るとするか」
陛下は部屋に戻っていく。
「ワークス、伯爵はクロいかもしれんぞ」
「クロ?どこがですか?」
「公爵家を一つ潰すかもしれん。いつから分からんが、二年以内だな」
「学院に入学の時くらいですかな?」
「彼には注意しておけ。多分だが…彼の闇はこの国…いや、この世界で一番暗いやもしれん」
「分かりました。気に止めておきましょう」
「うむ、彼は本当にマズい。どこまで先・を見ているんだ…?」
陛下に気取られたかもしれん。まぁ、答えに辿り着けるかな。一つ楽しみが増えたな。
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