世界最強の男の娘
11話 王城でのパーティ〜中編〜
王家の方々との挨拶を済ませ、貴族に挨拶しにいく。
先ずは、アバリック辺境伯のところに行くことにした。隣の領ということで、お隣さんに挨拶に行くのは大切だろう。辺境伯領が倒れれば先ず第一にリストンに来る。アバリック辺境伯には我が領を守ってもらっている様なものである。
「アバリック辺境伯殿、初めまして。私はレイ・フォン・ブラック伯爵にございます」
「おぉ、其方がブラック伯爵であったか、初めましてだな。ドリス・フォン・アバリックだ。こいつが…」
「初めまして。リア・フォン・アバリックです。お見知り置きを」
「これはご丁寧に。此の度はアバリック辺境伯殿にご挨拶と思いまして」
「そうであったか!此方も其方に会いたいと思っておったのだ。其方の領からは此方が一番と言っていいほど恩恵を貰っておるのでな」
「いえいえ、好き勝手させて貰っておりますよ」
「して、其方は男なのかな?男ならば、我が娘はどうだ?」
「いえ、そういう話は…」
「レイ様は私をお気に召しませんか…?」
「いえ、リア殿。そういうことではなく…」
「レイ様、リアで構いませんわ」
リアはぐいぐい来るな。女の子にここまで攻められるのは、前世と今世でも中々ない。初めてくらいだ。
アバリック辺境伯は筋骨隆々という訳では無いが、自然な感じで付いている。着痩せするタイプのようで、見た目では、マッチョだとは分からない。性格は豪快というのが、第一印象だ。
リアは銀髪を肩までストレートに伸ばしている。見た目はお淑やかそうな雰囲気を出しているが、その性格は以外と強気っぽい。父親に似たのだろうか。
暫くの間、三人で雑談してから次の人へ向かう。
次の人は、ドンマナス侯爵だ。確か娘がいたはずだ。宰相にはこれからもお世話になると思われるので、挨拶に行く。
「ドンマナス侯爵殿、先日はお世話になりました。改めて、レイ・フォン・ブラック伯爵にございます」
「ブラック伯爵殿、先日はどうも。ワークス・フォン・ドンマナス侯爵です。そしてこの子が、アメリス・フォン・ドンマナスです」
「初めまして、レイ様。アメリス・フォン・ドンマナスです」
「これはご丁寧に。宰相閣下にはこれからもお世話になると思いまして、挨拶にと」
「そうですな。今度もリストンに参りますしな、娘のアメリスも一緒に参りますぞ」
「それはそれは、最高の接待を致しますよ」
「それは楽しみですな」
「お父様、私の紹介はまだですか?」
「あぁ、すまない。この子を嫁に…と言いたいところであったがな。アメリス、いいかい?レイ殿を落として見せれば認めよう」
「分かりました。レイ様!これから宜しくお願いしますね」
「は、はぁ…」
アメリスは赤髪で、元気快活なイメージを与えられる。性格もその通りで元気で明るい。宰相いわく、いつもはお淑やからしいが、そうは思えない。
二人に別れを告げて、最後のブーストン公爵への挨拶だ。俺にとっての問題児、ガイズがいる。見つからないようにしたいが、ブーストン公爵にくっ付いている。バレないように挨拶するのは無理そうだな。仕方がない、覚悟を決めよう。
「ブーストン公爵殿、先日はお世話になりました。改めて、レイ・フォン・ブラック伯爵にございます」
「ブラック卿、これはどうも。私がクール・フォン・ブーストン公爵だ。こいつがガイズで、この子がローズだ」
隣では、ガイズが惚けている。やはり驚いているようだ。
「ガイズ、挨拶しろ」
「っは、はい、ガイズ・フォン・ブーストンです」
「私は、ローズ・フォン・ブーストンです」
「これはご丁寧に。先日のお礼と、視察に来るということで挨拶にと」
「それはどうも。私たちは一家で行こうと思っているのでな、頼んだぞ」
「お任せ下さい。最高の接待をしてみせましょう」
「楽しみにしておこう」
そのまま去ろうとすると、双子が話し始める。
「お父様、私を紹介しては頂けませんの?」
「事情があるのだ」
「レイちゃ…ブラック伯爵、この前はどうも」
「ブラック伯爵、ガイズと何か?」
「先日に街中で少し…」
「そうだったのか」
「それでは、私はこれで」
一礼して、ブーストン公爵の元を去る。後は端っこで大人しくしておこう。
このまま終わるといいな。
コメント