世界最強の男の娘

光井ヒロト

3話  領地開発〜前編〜



 
 領地の状況の確認してみよう。

 父上が善政を敷いていたので、この世界の人々からしたら特に苦はない。しかし、現代日本で過ごしてきた俺からしたらどこか物足りない。

 衣に関しては、俺は様々な貴族服や上質な平服を着ているので気にはならないのだが、領民の様子を見ていると、色や形がワンパターンで少し味気ない。上も下も靴も同じようなものだ。もう少しデザインや形がいろいろある方がいいと思う。

 食に関しては、不味くはないが、美味くもない。だしという文化がないのでうま味が欠けている。日本人にとってうま味というものは必要不可欠なのだ。かつおや昆布はあるのだろうか。無かったら作るだけだが。

 それに、味噌や醤油も無いだろう。この世界に持ち込んでいい知識かは分からないが、これらが無ければ食を楽しめない。それくらい許容範囲内だろう。

 住に関しては、石造りの家もあれば、木造の家もある。家の造りは専門の職人に任せよう。区画整備をして交通の便を便利にさせたい。

 また、生活の中でスマホやテレビ、ラジオも無く娯楽がないので作ってあげたい。生活魔法があるため、コンロがない。一応、生活魔法も魔力を使うため魔力が少ない人はキツいかもしれないとので、魔道具を作って流通させられれば良いと思う。さらに、上下水道を完備して、トイレや風呂を平民でも使えるようにしてあげたい。取り敢えず一番最初に住を整えよう。

 この領にはスラムがある。これは、王都でもあるということだ。

 隣には、アバリック辺境伯領があり、アバリック辺境伯領はアーワルノ帝国と魔物の森に接していて、我がブラック伯爵領は魔物の森に隣接しているため、帝国の脅威はない。このルーンレリア王国は帝国と停戦状態にあるが、緊張状態が続いているため、油断は許されない。

 先に領都を囲む城壁を広げよう。土地がないと何もできない。時間が途方もなく掛かる作業は俺の魔法で仕上げていこうと思う。悪魔のラスラに石灰岩を取りに行ってもらい、セメントとして、白く綺麗な仕上がりにしたい。

 だが、先にすることがある。それは、両親が死んだことは伝わっているが、俺が継いだことを知らないため、領民に告げないといけない。風魔法で声を拡散して領内に行き渡らせよう。


「皆の者、少しの間耳を貸して欲しい。私はレイ・フォン・ブラックだ。我が両親が亡くなったことは既に知っていることだろう。私はまだ五歳であり、頼りないと思うものは多いことだろう。だが、今は半信半疑でも良い。君たちが素晴らしい生活を送れるように粉骨砕身で頑張っていこうと思っている。だから私に付いてきて欲しい。以上だ、聞いてくれてありがとう」


 今、屋敷のベランダに出て、演説をしている。領民が俺を見上げて、耳を傾けていた。

 演説が終わると、大歓声が聞こえてくる。上手くいったようだ。こんな子供に大歓声とは疑問だったが、メイド長いわく、レイ様は領民に大人気なのですよ!特に容姿が! らしい。なんか少し複雑だ。

 次の日から、毎日銀貨2枚という報酬でスラムの人々や冒険者、無職人やフリーターの人を集めて伐採グループ、運搬グループ、建築グループに分け、領内と王都から職人を呼び寄せ指示してもらう。

 区画整備し、教会の裏に孤児院を設立し、アパート的なものを作り、スラムの人が住めるようにした。

 掲示板を所々につくり、常に公共事業の仕事を貼り、社会復帰を促している。スラム問題はこれで解決しただろう。

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