宣告師

カズキ

山田さん①

 夫 山田人志ひとし 39歳 職業 公務員
 妻 山田幸子さちこ 35歳 職業 専業主婦
 子 山田修太郎しゅうたろう 7歳

「旦那さん、奥さん、落ち着いて聞いてください。息子さんは後2週間も持たないでしょう」
「・・・っな。」
 田口の一言から病室が一気に重い空気に包まれた。夫は顔を曇らせ、妻は今にも泣き出しそうな顔をしている。
「熱傷が広範囲となると全身に影響が及び、死亡の原因となります。修太郎君の場合は全身をひどく火傷している為、もうどうすることも出来ない現状です」
「そ、そんな・・・あ、あなたっ」
 とうとう妻が夫にすがるようにして泣き出した。
「先生、息子はただ火遊びをしていてそれで、何かの不注意で全身が燃えたんでしょう。たったそれだけで死んでしまうなんて・・・本当にどうにかできないんでしょうか?」
 田口は少し困った顔をした。
「病室としても最善を尽くします。それでは息子さんの症状を詳しく説明していきます。・・・」

        〜30分後〜

「以上が修太郎君の症状になります。今は意識があるかどうかも分かりませんが、これだけの火傷を覆っていたらやはり、先は長くないでしょう。私から言える事はここまでです。待合室の方へお戻りください。」
 重い空気の中、夫が口を開いた。
「・・・わかりました。それでは修太郎の事をどうかよろしくお願いします。ほれ、幸子行くぞ」
「・・・分かってるわ」
 夫婦は立ち上がり、病室を後にしようとドアを開いた。
 その時、妻は言った。

 「ねぇ、私たちこれからどうなるのかしら・・」


 私たちだと?

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