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The hater

とある学園の教師

17話

…………俺には、家族が居た。
知っての通り、今はもう死んでしまった。
「殺す」
かつて、そう言われた。
あぁそう、その殺意は俺には届かない。
「殺してやる」
そう言った。
だがその言葉は届かなかった。
今思えば、なんて素っ頓狂な奴だったんだろう。
殺意は人を殺す為にあるのに、脅しているだけだった奴も居る。
殺意は行動によって証明されるのに。
あぁ、だから俺はまだ満たされない。証されない。
今も尚、憎み続けている。






「タカシ、タカシ?」
「ん?」
寝ていたようだ。少し瞼が重い。
連勤に徹夜して試験勉強を重ねていたのが祟ったのだろう。
人気の薄れたフードコートは、麒麟の声を響かせるには相応しかった。
「珍しいわね、寝落ちだなんて」
「ん、ぁあ、そうだな」
「帰るわよ」
「今何時?」
「4時」
「げぇー。わりぃ」
「良いわよ、珍しいもん見れたし」
嬉しそうに言う。
「死ぬ前の奴がいいそうだな」
鼻をすすりながら目を逸らす。
少し、寒い。
「私達は、死ねないじゃない」
ボソッと言ったのを、タカシは聞き逃さなかった。
「あぁ、そうだな」


帰路に着く。
人気の無い道を、共に歩む。
「…………なぁ」
「……なによ」
「お前は、今の世の中をどう思う」
そう言うと、何をしようか麒麟がタッタッタッと先駆け、
「周りは平和だの何だの言うけれど、私には未だクソッタレな世の中にしか見えないわ。私達の在り方、あんた達の役割、のうのうと暮らす人間。何もかもが気に入らないもの」
「でもね、昔からずっと変わらないものはある」
タカシが頭を上げる。拍子抜けしたように。
「んだそりゃ」
ニカッと麒麟は笑う。
「秘密!」


「じゃあ、ここで」
「えぇ」
「何かあったら言えよ」
「えぇ」
「気ぃつけてな」
「わかってるわよ」
「じゃ」
振り返り背中を見せながら去る。
「あ」
ふと立ち止まり振り返る。
そして、無言で手を振ると再び前を向いて歩き出した。
「何なのよ、もう………」
優しいなぁ、クズのくせに。
と思いつつ微笑んでしまう。
ただでさえ好きなのに、あんな事をされたらたまったものじゃない。
「あの馬鹿………」
自分の方が馬鹿なのは明白なのにその言葉が出てしまうのは、多分照れ隠しだった。






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