The hater

とある学園の教師

第10話

「結局、奴らが何者かは判らず終い。何をすればいいのかもはっきりしない」
上部の男が報告書を読んで、皮肉を述べる。 
元木は、険しい顔で彼の顔を見た。
「どういう事だね?あんな兵器まで持ち出して」
「それは………私の判断です」
「そうだな、タカシ、とやらの判断だったらマリアナ海溝に沈めていたところだ」
「冗談はよしてください。貴方にその権利は無いはずです」
「ふん、私も疲れている。みんな、消耗しきっているんだ。税金泥棒にならない為にね」
「知っています。我々の命に関わるものでもありますから」
「だが、あの楽観的な天災のせいでこちらは火の車だ。どうしてくれようか」
「彼も資金援助してくれているでしょう。それでも足りないのですか」
「足りないね。死をもって償わせることが出来ないのを悔やむよ」
「今度、彼を連れてきましょう」
「仲間を売るのかね?」
「いえ、彼に口で勝てる者は居ませんからね」
「そうか、楽しみにしてるよ」









「んで、俺を議会に召喚すると」
タカシが足を組んで後頭部に手を組む。
「そうだ、頼まれてくれないか」
元木が苦笑いで言ってきた。
「良いよ、幾分かは楽しそうだ」
「有難い」
「どういたしまして。日程は」
「来週の日曜日」
「そうか」
「……悪いな」
「構わねぇよ。俺の問題だしな」
「ふむ?」
「何より、神が相手だ。人間だけじゃ無理があるだろう」
「そうだなぁ……私にとっては自分の事のように感じるが」
「そうか。損しないなら、それでも良い」
「お前がそう言うなら、確かだな」 
「三十路近い野郎がそれを導き出せてないのは致命的だぞ」
「ふむ、そろそろ春が来ても良いのだがね」
「固いしな、無理だろ」
「そうかぁ………娘の顔、あわよくば孫の顔も見たかったな」
「何か趣味見つけろよ、筋トレ以外の」
「と言っても、ゲームは苦手だ」
「草むしりとか」
「腰が辛い」
「バイクとか」
「金が無い」
「公務員にしては致命的だな」
「そうだな、何処かの誰かが吸い取ってくせいでな」
「悪かったな」
「そう思うなら飯を奢れ」
「わかったよ」







「んで、ラーメンか。懲りないなぁ」
元木が看板を見上げて呟く。
「お前も好きだろ、エネルギーのあるもの」
「うむ………だが、最近歳なのか受け付けなくてね」
「食わなきゃガリになる一方だぞ」
「それでも良いさ、太るよりは」
「太れよ」
「何故だ」
「見栄えしない」
「辛いなぁ」
はは、と元木は笑う。
「入るぞ」



「味噌ラーメンか、久しぶりに食べるな」
「マジ?塩気あるの食えよ」
クローヴェルが行儀悪く、肘をつきながらラーメンを啜る。
「ポテチとか、野菜ジュースしか摂ってないしなぁ」
「足りねぇな。魚醤もあったのに」
「濃口のものは苦手だしな」
「そうか」
「出会ってもう2ヶ月が経つ」
「あぁ急だな」
「タカシにとって、私は友達に値するものなのだろうか?」
「どうした急に」
「いや、ふと考える時があってな」
元木が、両手を開いて見る。
「私はあまり、友人を持って来なかった。そういう関係に疎かったし、何より保つのが苦手だからな」
「ふぅん」
「だからと言って、仲良くなる為の努力を怠った訳でもない。私は限りない知力を振り絞って、周りとの関わりを持とうとした」
「頭良さそうなのにな」
「それこそ、努力の賜物さ」
「賢くないけど頭良い、ってか」
「そうかもな」
「そうだと思うぞ」
「それでも、友人は出来なかった。周りは私を疎み、妬んだ」
「まぁ、何となくわかる」
「それで得た友人は、せいぜい5人だ」
「そうか」
「そして、4人は死んだ」
「1人は」
「お前だよ、タカシ」
「ぶふっ……嘘だろ」
「君はそう思ってないと思うがね」
「まぁ、良いよ。それは自由だ」
「私にとっては友人だよ。でも、タカシ」
「ん?」
「時々、友人の居ない私でも思うんだ」
「なんだよ」
「君は、大切な者を求めていると」
「そうだな」
「君は一切過去を語ろうとした事がない」 
「みんな興味無いだろうしな」
「なに、君のことで持ち切りだよ」
「へー」
「だから、教えてくれないか。君の過去を」
「……………」 
「良いんだよ、ほんの少しで。お前の傷口を抉らない程度でも」
「………わかった」
「ありがとう」



だから、語った。
拾われたこと、妹が生まれたこと、溺愛したこと、そして殺されたこと。
復讐の意思は話さず、それ以外の全てを話した。

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