The hater
第9話
学校。
2日連続で襲われて、気が滅入っていたが仕方の無い。
「ターカーシ」
「おう」
疲れきった返事。
アジアンタが心配そうな声で話しかけてくる。
「また勉強してたの?」
「あぁ、三角関数の復習を少しな」
「結構前の単元だね」
「だって三角関数の加法定理とかよく分かんねぇもん」
「そうかなぁ………」
「俺の脳では処理しきれねぇ………文系の頭にゃ無理だ」
「うーん、かと言って私が教えてもわからなさそうだしなぁ」
「馬鹿だからしゃあない」
「タカシは馬鹿じゃないよ。偏ってるだけ」
「そうか。そうとも言えるのか」
「うん、そうだよ。タカシは言語センスがピカイチだけど理数系がサッパリ駄目だからね」
「はっきり言われると傷つくなー」
「ふふっ、だったら頑張ろうね」
「うぐぅ………そうだな」
悶絶するタカシ。
「もう、昔から頭良いくせにしないから………」
アジアンタが小さくそう言ったのを、彼は気づけなかった。
「なんて?」
「ううん、なんでもないよ。今日も勉強しようね」
「おぉう…………」
「これはどうやって使うんだ」
記号の羅列にペンを当てる。
「これはsinだから60度は120度と同じなんだよね。だから、正の数2つ、負の数2つだから?」
「240度と300度が負か」
「そゆこと。よくできましたねーよちよち」
「わーい…………悪ふざけ抜きで、これが出来ないのまずいな…………」
「うーん、普通高の文系なら、2年3年で習う範囲だと思うんだけど………」
「偏差値50切ってるから、ここ。しかし、お前日本の学生事情に詳しいな?」
「友達から聞いてたからね」
「そうなのか」
友達がいた、という話は聞いたことがないが。
そういうことにしておこう。
「難しいなぁ」
「難しいねぇ」
「かえったーーーーー!!!」
布団に飛び込む。
「あぁ、疲れた」
顔を上げる。
「どうして、こんな何でもない日常を生きているんだ」
そう考えても無駄なことを知っている。
「クソが」
彼らは、何時か死ぬ。
「助けてくれよ………俺の家族を奪ったくせに」
彼を嘲笑って、見放さない。
「俺は、どうすれば良い」
「死ねばいいと思いますよ」
「死ねないから、ここに居るんだ」
振り返る。
誰も居ない。どうせ、また幻聴だろう。
「クソっ」
また、彼は悪態を吐く。
「不死身になった」
「家族を守れなかった」
「お前は無力だ」
そんな声が聞こえる。
うるせぇ、と言えばそこまでなのに。
その言葉が出ない。
本当の事だったから。
辛い事実だ。
受け止めるべきものだ。
「俺は弱いのに、無為に虚勢を張っては自分を失う。人間としての常識が、俺を縛り付けている。あの日、誓ったはずなのに俺は」
未だに人であり続けたいと願っていた。
2日連続で襲われて、気が滅入っていたが仕方の無い。
「ターカーシ」
「おう」
疲れきった返事。
アジアンタが心配そうな声で話しかけてくる。
「また勉強してたの?」
「あぁ、三角関数の復習を少しな」
「結構前の単元だね」
「だって三角関数の加法定理とかよく分かんねぇもん」
「そうかなぁ………」
「俺の脳では処理しきれねぇ………文系の頭にゃ無理だ」
「うーん、かと言って私が教えてもわからなさそうだしなぁ」
「馬鹿だからしゃあない」
「タカシは馬鹿じゃないよ。偏ってるだけ」
「そうか。そうとも言えるのか」
「うん、そうだよ。タカシは言語センスがピカイチだけど理数系がサッパリ駄目だからね」
「はっきり言われると傷つくなー」
「ふふっ、だったら頑張ろうね」
「うぐぅ………そうだな」
悶絶するタカシ。
「もう、昔から頭良いくせにしないから………」
アジアンタが小さくそう言ったのを、彼は気づけなかった。
「なんて?」
「ううん、なんでもないよ。今日も勉強しようね」
「おぉう…………」
「これはどうやって使うんだ」
記号の羅列にペンを当てる。
「これはsinだから60度は120度と同じなんだよね。だから、正の数2つ、負の数2つだから?」
「240度と300度が負か」
「そゆこと。よくできましたねーよちよち」
「わーい…………悪ふざけ抜きで、これが出来ないのまずいな…………」
「うーん、普通高の文系なら、2年3年で習う範囲だと思うんだけど………」
「偏差値50切ってるから、ここ。しかし、お前日本の学生事情に詳しいな?」
「友達から聞いてたからね」
「そうなのか」
友達がいた、という話は聞いたことがないが。
そういうことにしておこう。
「難しいなぁ」
「難しいねぇ」
「かえったーーーーー!!!」
布団に飛び込む。
「あぁ、疲れた」
顔を上げる。
「どうして、こんな何でもない日常を生きているんだ」
そう考えても無駄なことを知っている。
「クソが」
彼らは、何時か死ぬ。
「助けてくれよ………俺の家族を奪ったくせに」
彼を嘲笑って、見放さない。
「俺は、どうすれば良い」
「死ねばいいと思いますよ」
「死ねないから、ここに居るんだ」
振り返る。
誰も居ない。どうせ、また幻聴だろう。
「クソっ」
また、彼は悪態を吐く。
「不死身になった」
「家族を守れなかった」
「お前は無力だ」
そんな声が聞こえる。
うるせぇ、と言えばそこまでなのに。
その言葉が出ない。
本当の事だったから。
辛い事実だ。
受け止めるべきものだ。
「俺は弱いのに、無為に虚勢を張っては自分を失う。人間としての常識が、俺を縛り付けている。あの日、誓ったはずなのに俺は」
未だに人であり続けたいと願っていた。
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