The hater
第7話
「タカシの作戦は、自分を取り込んだ球体を成層圏に転移。落下した時の発火で蒸発させる事だ。上手くいくといいが………」
「座標表示!タカシを誘導します!」
管制室で響く声。
騒がしく蠢く。
「タカシ!再び目標と会敵します!」
「流体物質、変形!彼を飲み込む為だと予測!」
「ふむ………」
「これは………」
「あぁ。彼と球体が同化することで、この作戦の下準備は完了する。後は君達が彼を誘導してやれば、問題なく終わるだろう」
「転移先候補、複数割り出しました。太平洋上の宇宙空間が最適と思われます。そのまま直上に転移すれば、問題ないです」
それに呼応するように、自ら飲み込まれるタカシ。
すると、消失した。
「成層圏に転移を確認。落下していきます」
「タカシ!タカシ!!転移して離脱しろ!お前も燃え尽きるぞ!」
元木が焦って叫ぶ。
しかし、反応しない。
「何故だ………なぜ言う事を聞かない」
「もしかして、出れない……?」
「破裂することを恐れているのか……?」
「高エネルギー反応を内部から確認………!自爆か………!?」
「無茶振りすぎるだろ………リスクを背負ってまでやることか!?」
「あいつはそういう男だろうな。大したものではない、という事だろう」
「そんな………」
「そうやって生きてきたんだ。私達に理解出来なくて当たり前だと思うがね」
「そう、ですね。ほんの数十年しか生きていない私達にはわからないですよ」
「今、彼にやってやれることは精一杯のサポートをすることだ。電磁砲を展開!予備電力も全て使え!」
「彼ごとやるつもりですか!?」
「えぇい!構わん!やれ!奴が自爆して及ぼす影響よりはマシだ!」
「電磁砲、展開。毒素の耐熱限界値を演算算出します」
NPCが発熱する。
ジェネレーターが稼働し、轟音を鳴らす。
「算出結果、出ました。予備電力も込めて、なんとかいけます!」
「そうか。では、やれ」
「照準、流体物質に合わせます!」
「3,2,1,放出!」
人工知能が、音声に反応して引き金を引く。
月を蒸発させる凶弾が発射される。
「当たれ!」
球体の落下するであろう場所に向かって、弾が進む。
誰にも見えないほどに速く、音波が鳴り響いている。
数百キロ離れた海上を狙って放たれた弾は、一秒も経たずに到達する。
刹那、蒸発した。
球体が。
タカシを残して。
彼は落下した。
人の姿に戻って。
「目標の消失を確認!タカシ、海上を落下中!意識はあり、生命調は良好です!」
「よし、至急海上保安庁に救援を要請。近くの巡視船を向かわせろ」
元木が冷静に判断し、指示する。
「了解!」
管制室の慌ただしさは消え、皆安堵の息を漏らす。
「タカシ。あの電磁砲を作ったのは君だ。何故、自分にそれを備え付けない?怖いのか、それとも…………」
タカシが管制室に戻ってくる。
無傷だった。
まだ30分しか経っていないが、早めの帰還を果たした。
「お疲れ様でーす」
ニコニコと、笑みを浮かべながら入ってきた彼に皆が目を見開く。
「あれ?海保からは発見報告が無いからまだだと思ってなのに」
1人が呟く。
「あー、そうなの?自力で戻って来ちまった 」
「タカシ。良くやった」
「おう、お前もな」
拳を合わせる。
コツン、と音がした。
「だが、当分電磁砲は使えない」
「あぁ、予備電力ごと打っ放したらしいな」
「お陰様で予算がカツカツだよ。減給待った無しだ。あれを作るのにも大金を叩いたからな」
「殆ど俺の出資じゃねぇか。まぁ、お前らには高すぎる買い物だったかもな」
「そうだな、取り敢えずお前にはコイツらに飯を奢る義務があるのでは?」
「ふっ………わかったよ」
彼は笑って、そう言った。
「座標表示!タカシを誘導します!」
管制室で響く声。
騒がしく蠢く。
「タカシ!再び目標と会敵します!」
「流体物質、変形!彼を飲み込む為だと予測!」
「ふむ………」
「これは………」
「あぁ。彼と球体が同化することで、この作戦の下準備は完了する。後は君達が彼を誘導してやれば、問題なく終わるだろう」
「転移先候補、複数割り出しました。太平洋上の宇宙空間が最適と思われます。そのまま直上に転移すれば、問題ないです」
それに呼応するように、自ら飲み込まれるタカシ。
すると、消失した。
「成層圏に転移を確認。落下していきます」
「タカシ!タカシ!!転移して離脱しろ!お前も燃え尽きるぞ!」
元木が焦って叫ぶ。
しかし、反応しない。
「何故だ………なぜ言う事を聞かない」
「もしかして、出れない……?」
「破裂することを恐れているのか……?」
「高エネルギー反応を内部から確認………!自爆か………!?」
「無茶振りすぎるだろ………リスクを背負ってまでやることか!?」
「あいつはそういう男だろうな。大したものではない、という事だろう」
「そんな………」
「そうやって生きてきたんだ。私達に理解出来なくて当たり前だと思うがね」
「そう、ですね。ほんの数十年しか生きていない私達にはわからないですよ」
「今、彼にやってやれることは精一杯のサポートをすることだ。電磁砲を展開!予備電力も全て使え!」
「彼ごとやるつもりですか!?」
「えぇい!構わん!やれ!奴が自爆して及ぼす影響よりはマシだ!」
「電磁砲、展開。毒素の耐熱限界値を演算算出します」
NPCが発熱する。
ジェネレーターが稼働し、轟音を鳴らす。
「算出結果、出ました。予備電力も込めて、なんとかいけます!」
「そうか。では、やれ」
「照準、流体物質に合わせます!」
「3,2,1,放出!」
人工知能が、音声に反応して引き金を引く。
月を蒸発させる凶弾が発射される。
「当たれ!」
球体の落下するであろう場所に向かって、弾が進む。
誰にも見えないほどに速く、音波が鳴り響いている。
数百キロ離れた海上を狙って放たれた弾は、一秒も経たずに到達する。
刹那、蒸発した。
球体が。
タカシを残して。
彼は落下した。
人の姿に戻って。
「目標の消失を確認!タカシ、海上を落下中!意識はあり、生命調は良好です!」
「よし、至急海上保安庁に救援を要請。近くの巡視船を向かわせろ」
元木が冷静に判断し、指示する。
「了解!」
管制室の慌ただしさは消え、皆安堵の息を漏らす。
「タカシ。あの電磁砲を作ったのは君だ。何故、自分にそれを備え付けない?怖いのか、それとも…………」
タカシが管制室に戻ってくる。
無傷だった。
まだ30分しか経っていないが、早めの帰還を果たした。
「お疲れ様でーす」
ニコニコと、笑みを浮かべながら入ってきた彼に皆が目を見開く。
「あれ?海保からは発見報告が無いからまだだと思ってなのに」
1人が呟く。
「あー、そうなの?自力で戻って来ちまった 」
「タカシ。良くやった」
「おう、お前もな」
拳を合わせる。
コツン、と音がした。
「だが、当分電磁砲は使えない」
「あぁ、予備電力ごと打っ放したらしいな」
「お陰様で予算がカツカツだよ。減給待った無しだ。あれを作るのにも大金を叩いたからな」
「殆ど俺の出資じゃねぇか。まぁ、お前らには高すぎる買い物だったかもな」
「そうだな、取り敢えずお前にはコイツらに飯を奢る義務があるのでは?」
「ふっ………わかったよ」
彼は笑って、そう言った。
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