The hater
第5話
「空御門タカシ!」
教師が叫ぶ。
「はい?」 
寝惚けながら答える。
「はい、じゃない!授業中に寝るなと何度言えば良いんだ!」
「うるさいなぁ………予習復習はちゃんとしてますよ………好きで来てるわけじゃねぇし」
実際のところ、彼は国からの要請で入学した。
防衛省と文部科学省共同管轄の軍学校。
弓月高等学校。
名前の通り、軍人を養成する場所。
だが、表向きは県立の高校ということになっている。
去年、高校生になった彼は交流して信頼関係を築く為にやってきた。
「うるさいじゃない!考査の点数が良いからって調子に乗ってるとダブらせるぞ!」
「へいへい、そんときは大人しく辞めますよ」
「この………!」
「こんな劣等生に構ってるのなら授業を続けた方がお給料美味しいですよね」
上目遣い、もとい睨む。
「ぐっ………ぬぁっ………」
威圧的な眼光に黙り込んでしまった。
「眠気覚めましたし、ちゃんと受けますから」
「………ぬぅ……次からは無いように!」
「また怒られてんの。いい加減にしなさいな」
アジアンタが弁当を持ってやってくる。
「ふん、ガキにとやかく言われんの苦手なんだよ」
「まぁまぁ、設定上歳上なんだからしゃあないよ」
「だけどよぅ……俺には難しい」
「タカシがそれで良いなら良いんだけどね。こんな学校で退屈に過ごすなら高卒認定してもらった方がお得だから」
「こんな学校って………お前も1年経てば帰っちまうんだよな」
「うん」
「よし、お前が帰る時俺も行く」
「んぐっ!?」
噎せた。
「学校辞めるわ。センコーとまで仲良くなる義理はない。クラスメイトに馴染め、くらいにしか言われてないからな」
「へー………」
「今の俺はお前に興味がある。」
体を前に繰り出す。
「どうせなら、お前に着いてくよ」
彼は笑顔で、そう言った。
「未確認生命体を観測!」
「………形状、材質は」
「円形……?いえ、楕円…?形態変化している為に不明。材質は流体物質だと思われます」
「これより、敵生命体をニガヨモギと仮定」
「ニガヨモギ……黙示録の隕石。毒素の塊か」
「今回もタカシくんが蒸発させてくれれば万々歳ですね!」
オペレーター達が安堵する。
「必要ない」
元木が遮る。
「ダイダラを出せ」
生命体殲滅無人兵器、ダイダラ。
タカシの創り出した、巨大な衛星。
防衛省が管理する先史遺産の1つ。
不老不死の技術と同列に語られる史上最強の兵器。
「ダイダラ、成層圏突入!落下してきます!」
「なんだ、あれは……」
「島1つくらいの大きさがあるぞ………」
管制室が感嘆の声に染る。
「目標、変形します」
無口そうな女性が淡々と告げる。
箱のような形の船が、人のように変形する。
全体的に長方形を思わせるような躯体が、機銃を展開する。
「なっ!水上を立っているだと!?」
「どうだい、お偉いさん方。物理法則を越えた最強の兵器は」
「馬鹿らしい!CGか何かだろう」
「いえ、本物です」
「お、お前達は秘匿物の漏洩をした!減給処分も免れないぞ!」
防衛省の上部組織の人間が叫ぶ。
その瞬間。
人型兵器が巨銃に変形する。
極光。
「うわぁぁぁ………」
管制室も光に飲み込まれる。
呻き声を挙げる人々。
「敵生命体………消失……!」
辛うじて目視したオペレーターが反応が無いことで判断したようだ。
「残念ながら、昨日みたいにはいかないですよ」
「あぁ、敵は流体物質だ。物理攻撃は効かない。恐らく、虫共より厄介だ」
「消失してない……!?レーダーに反応あり!」
「………海か!」
「あぁ、海がある限り奴は恐らく復活する」
「くそ、給料分は働けってことか」
混沌とする。
仕方の無いことだ。昨日のような巨大な虫のようにはいかない。
「タカシ!」
元木が呼ぶ。通信を繋ごうとしているようだ。
『なんでござ』
「すぐに来い」
『へいへい』
「とうちゃーく。どうした?」
瞬間移動。否、転移装置で飛んできた。
「敵だ。出撃しろ」
「………わかった。どうすれば良い」
「敵に物理攻撃は効かない。泥にするなり何なりしろ」
「ダイダラの機能でも倒せないのか?あいつには確か熱的死を起こすビーム兵器があったはずだ」
「駄目だ。地上で放つものじゃない。リスクが大きすぎる」
「そうか。じゃあ詰みだな」
「………?   何を言っている」
「昨日自爆した弊害がな。これで怪我をしたら暫く復帰できない」
「構わん。出撃しろ。今やるんだ」
「わかったよ。俺は出ないが、その代わりアレを使う」
「そうか。じゃあ準備しろ」
「対未知生命専用人工知能、ウロボロス」
ボルボロスに似た、白銀の機人。違うところと言えば、流れるように生えた3本の角。
白と黒の2組が存在する。
自らの妹達の名を冠する竜人。
「白薔薇、黒薔薇。、発進せよ」
カタパルトから射出される2機。
「あれは何なんですか」
「バリクソかっけーのばっかりだな」
「アレでも、彼の遺産のごく一部」
騒然する。
「お前ら驚いてばっかだな。確かにあれだけじゃない。けれど、あまり手の内は見せたくないんだよな」
「だが、そうしなければ指示を出すことも出来まい。仕方の無いことだ」
「わかってら。俺は大人しく従うだけだ」
「ならば良い。仲間割れはしたくない。最悪の場合、お前が最大の敵になりかねないからな」
「ふん、言ってろ。見な、あれが俺の妹達の力を持つ複製体達。不朽不滅の殺戮兵器だ」
「ふむ、見ただけでは分からない」
球体が形を歪めて、溢れだしそうになり、湯気が立つ。
「気圧、熱を操る白薔薇、重力、電力を操る黒薔薇。黒薔薇で固定し、白薔薇で蒸発させる。昨日の俺と同じ戦法だ。見劣りするが、効率的ではある」
「プロパガンダとしては最悪だが、安定してはいる。ふむ、納得だ」
「これで終わりなら、良いんだけどな」
「敵生命体、再構築されていきます」
「2日目でこれか。厄介すぎる」
タカシが目を細める。
「くそっ!これでは埒が明かない!君!出撃したまえ!」
「上層部の人間だからって好き勝手言うなよ。んなこと言われなくても行く」
笑う。
「目標を蒸発させる。何か作戦を立てとけ」
「なに?」
「お前らの仕事が来たってことさ」
彼はウインクして、管制室から去った。
教師が叫ぶ。
「はい?」 
寝惚けながら答える。
「はい、じゃない!授業中に寝るなと何度言えば良いんだ!」
「うるさいなぁ………予習復習はちゃんとしてますよ………好きで来てるわけじゃねぇし」
実際のところ、彼は国からの要請で入学した。
防衛省と文部科学省共同管轄の軍学校。
弓月高等学校。
名前の通り、軍人を養成する場所。
だが、表向きは県立の高校ということになっている。
去年、高校生になった彼は交流して信頼関係を築く為にやってきた。
「うるさいじゃない!考査の点数が良いからって調子に乗ってるとダブらせるぞ!」
「へいへい、そんときは大人しく辞めますよ」
「この………!」
「こんな劣等生に構ってるのなら授業を続けた方がお給料美味しいですよね」
上目遣い、もとい睨む。
「ぐっ………ぬぁっ………」
威圧的な眼光に黙り込んでしまった。
「眠気覚めましたし、ちゃんと受けますから」
「………ぬぅ……次からは無いように!」
「また怒られてんの。いい加減にしなさいな」
アジアンタが弁当を持ってやってくる。
「ふん、ガキにとやかく言われんの苦手なんだよ」
「まぁまぁ、設定上歳上なんだからしゃあないよ」
「だけどよぅ……俺には難しい」
「タカシがそれで良いなら良いんだけどね。こんな学校で退屈に過ごすなら高卒認定してもらった方がお得だから」
「こんな学校って………お前も1年経てば帰っちまうんだよな」
「うん」
「よし、お前が帰る時俺も行く」
「んぐっ!?」
噎せた。
「学校辞めるわ。センコーとまで仲良くなる義理はない。クラスメイトに馴染め、くらいにしか言われてないからな」
「へー………」
「今の俺はお前に興味がある。」
体を前に繰り出す。
「どうせなら、お前に着いてくよ」
彼は笑顔で、そう言った。
「未確認生命体を観測!」
「………形状、材質は」
「円形……?いえ、楕円…?形態変化している為に不明。材質は流体物質だと思われます」
「これより、敵生命体をニガヨモギと仮定」
「ニガヨモギ……黙示録の隕石。毒素の塊か」
「今回もタカシくんが蒸発させてくれれば万々歳ですね!」
オペレーター達が安堵する。
「必要ない」
元木が遮る。
「ダイダラを出せ」
生命体殲滅無人兵器、ダイダラ。
タカシの創り出した、巨大な衛星。
防衛省が管理する先史遺産の1つ。
不老不死の技術と同列に語られる史上最強の兵器。
「ダイダラ、成層圏突入!落下してきます!」
「なんだ、あれは……」
「島1つくらいの大きさがあるぞ………」
管制室が感嘆の声に染る。
「目標、変形します」
無口そうな女性が淡々と告げる。
箱のような形の船が、人のように変形する。
全体的に長方形を思わせるような躯体が、機銃を展開する。
「なっ!水上を立っているだと!?」
「どうだい、お偉いさん方。物理法則を越えた最強の兵器は」
「馬鹿らしい!CGか何かだろう」
「いえ、本物です」
「お、お前達は秘匿物の漏洩をした!減給処分も免れないぞ!」
防衛省の上部組織の人間が叫ぶ。
その瞬間。
人型兵器が巨銃に変形する。
極光。
「うわぁぁぁ………」
管制室も光に飲み込まれる。
呻き声を挙げる人々。
「敵生命体………消失……!」
辛うじて目視したオペレーターが反応が無いことで判断したようだ。
「残念ながら、昨日みたいにはいかないですよ」
「あぁ、敵は流体物質だ。物理攻撃は効かない。恐らく、虫共より厄介だ」
「消失してない……!?レーダーに反応あり!」
「………海か!」
「あぁ、海がある限り奴は恐らく復活する」
「くそ、給料分は働けってことか」
混沌とする。
仕方の無いことだ。昨日のような巨大な虫のようにはいかない。
「タカシ!」
元木が呼ぶ。通信を繋ごうとしているようだ。
『なんでござ』
「すぐに来い」
『へいへい』
「とうちゃーく。どうした?」
瞬間移動。否、転移装置で飛んできた。
「敵だ。出撃しろ」
「………わかった。どうすれば良い」
「敵に物理攻撃は効かない。泥にするなり何なりしろ」
「ダイダラの機能でも倒せないのか?あいつには確か熱的死を起こすビーム兵器があったはずだ」
「駄目だ。地上で放つものじゃない。リスクが大きすぎる」
「そうか。じゃあ詰みだな」
「………?   何を言っている」
「昨日自爆した弊害がな。これで怪我をしたら暫く復帰できない」
「構わん。出撃しろ。今やるんだ」
「わかったよ。俺は出ないが、その代わりアレを使う」
「そうか。じゃあ準備しろ」
「対未知生命専用人工知能、ウロボロス」
ボルボロスに似た、白銀の機人。違うところと言えば、流れるように生えた3本の角。
白と黒の2組が存在する。
自らの妹達の名を冠する竜人。
「白薔薇、黒薔薇。、発進せよ」
カタパルトから射出される2機。
「あれは何なんですか」
「バリクソかっけーのばっかりだな」
「アレでも、彼の遺産のごく一部」
騒然する。
「お前ら驚いてばっかだな。確かにあれだけじゃない。けれど、あまり手の内は見せたくないんだよな」
「だが、そうしなければ指示を出すことも出来まい。仕方の無いことだ」
「わかってら。俺は大人しく従うだけだ」
「ならば良い。仲間割れはしたくない。最悪の場合、お前が最大の敵になりかねないからな」
「ふん、言ってろ。見な、あれが俺の妹達の力を持つ複製体達。不朽不滅の殺戮兵器だ」
「ふむ、見ただけでは分からない」
球体が形を歪めて、溢れだしそうになり、湯気が立つ。
「気圧、熱を操る白薔薇、重力、電力を操る黒薔薇。黒薔薇で固定し、白薔薇で蒸発させる。昨日の俺と同じ戦法だ。見劣りするが、効率的ではある」
「プロパガンダとしては最悪だが、安定してはいる。ふむ、納得だ」
「これで終わりなら、良いんだけどな」
「敵生命体、再構築されていきます」
「2日目でこれか。厄介すぎる」
タカシが目を細める。
「くそっ!これでは埒が明かない!君!出撃したまえ!」
「上層部の人間だからって好き勝手言うなよ。んなこと言われなくても行く」
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