The hater
第4話
「すげぇ………」
感嘆の声。
皆が咆哮する獣に、釘付けになっている。
「まだだ。まだ力を残しているだろう!何故使わない!」
司令官、元木が叫ぶ。
「使えない、のか?まさか、第二次世界大戦の時の後遺症が……?」
「なんですか、それ」
オペレーターの1人が聞く。
第二次世界大戦末期。
三国協商側に捕虜として居たタカシは、厚さ20メートルの壁と、タングステンの足枷と手枷を掛けられていた。
しかし3分で、抜け出してしまった。
壁には大穴が空いて、姿はなかった。
実の所、彼は硫黄島に向かっていた。
米国が上陸作戦を決行して制圧していく中、彼は舞い降りた。
見られたものは解け、触れたものは融ける。
臨界域に達した異能力が、米兵を苦しめていく。
撤退する暇も与えず、ただ虐殺していく。
彼は、黄泉と呼ばれた。
黙示録の騎士のように、死を運ぶ。
クリスチャン達は畏怖した。
罰が訪れるのだと。
彼に殺されることを、救いと感じた者もいた。
「あの後、彼は眠りについた。どんな悪逆を行ったのかは記録にも残っていない。彼が悪魔と呼ばれるのも、それ故なのだろうな」
沈黙。
誰も彼の話に答えるものはいない。
ただ、彼の悍ましい過去に戦慄した。
だが、それは容易に吹き飛ぶ。
極光。
それはタカシだったものから放たれたもの。
「なんだあれ!」
「ちょっと!司令官!?」
先の発言との矛盾に管制室が混乱する。
「一瞬で、敵対生命体蒸発しました!」
『はぁ!?!?』
「じゃあ、今までのは……」
「多分、試運転だったんだろう」
元木が動揺する。
気の持ちが軽い奴だとは思っていたが、そこまでだとは思わなかった。
「お前………」
絶句する。
圧倒的な力を持っているが故の、余裕だった。
「私達の仕事は………なんだっていうんだ」
「そりゃ決まってる。給料もらう為に俺から仕事を奪うことだ」
「タカシ?」
帰投が早い。いつの間にか戻ってきていた彼に、皆が驚いた。
「なんだよあれ!」
「私達は何をすればいいの!?」
再び騒めく。
「ふーむ、そうだな。仕事奪えってのは曖昧すぎたか。じゃあ、これならどうだ」
本木の肩を抱く。
「お前らが俺に指示を出して戦わせる」
元木の肩が震える。
「お前!元より!司令部という!ものの!役割は!それだと!知らんのか!」
「あは、わりいわりい。なんせ目覚めたのがつい20年前なもんでな」
「十分すぎるだろう!?」
「という訳で、今日はお疲れ様でしたー!」
そそくさと退出する。
「なんだあいつ……」
その言葉に、皆が同意した。
感嘆の声。
皆が咆哮する獣に、釘付けになっている。
「まだだ。まだ力を残しているだろう!何故使わない!」
司令官、元木が叫ぶ。
「使えない、のか?まさか、第二次世界大戦の時の後遺症が……?」
「なんですか、それ」
オペレーターの1人が聞く。
第二次世界大戦末期。
三国協商側に捕虜として居たタカシは、厚さ20メートルの壁と、タングステンの足枷と手枷を掛けられていた。
しかし3分で、抜け出してしまった。
壁には大穴が空いて、姿はなかった。
実の所、彼は硫黄島に向かっていた。
米国が上陸作戦を決行して制圧していく中、彼は舞い降りた。
見られたものは解け、触れたものは融ける。
臨界域に達した異能力が、米兵を苦しめていく。
撤退する暇も与えず、ただ虐殺していく。
彼は、黄泉と呼ばれた。
黙示録の騎士のように、死を運ぶ。
クリスチャン達は畏怖した。
罰が訪れるのだと。
彼に殺されることを、救いと感じた者もいた。
「あの後、彼は眠りについた。どんな悪逆を行ったのかは記録にも残っていない。彼が悪魔と呼ばれるのも、それ故なのだろうな」
沈黙。
誰も彼の話に答えるものはいない。
ただ、彼の悍ましい過去に戦慄した。
だが、それは容易に吹き飛ぶ。
極光。
それはタカシだったものから放たれたもの。
「なんだあれ!」
「ちょっと!司令官!?」
先の発言との矛盾に管制室が混乱する。
「一瞬で、敵対生命体蒸発しました!」
『はぁ!?!?』
「じゃあ、今までのは……」
「多分、試運転だったんだろう」
元木が動揺する。
気の持ちが軽い奴だとは思っていたが、そこまでだとは思わなかった。
「お前………」
絶句する。
圧倒的な力を持っているが故の、余裕だった。
「私達の仕事は………なんだっていうんだ」
「そりゃ決まってる。給料もらう為に俺から仕事を奪うことだ」
「タカシ?」
帰投が早い。いつの間にか戻ってきていた彼に、皆が驚いた。
「なんだよあれ!」
「私達は何をすればいいの!?」
再び騒めく。
「ふーむ、そうだな。仕事奪えってのは曖昧すぎたか。じゃあ、これならどうだ」
本木の肩を抱く。
「お前らが俺に指示を出して戦わせる」
元木の肩が震える。
「お前!元より!司令部という!ものの!役割は!それだと!知らんのか!」
「あは、わりいわりい。なんせ目覚めたのがつい20年前なもんでな」
「十分すぎるだろう!?」
「という訳で、今日はお疲れ様でしたー!」
そそくさと退出する。
「なんだあいつ……」
その言葉に、皆が同意した。
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