界外の契約者(コール)
ヤンデレ妹は定番だけどこれは違う
寝て起きる行為というものには良い意味と悪い意味がある。
神宮寺 孝作はそう考えながら朝食の席に座る。
良い意味とは、その日を素晴らしい日にするぞっとする意志が起床時に湧き上がり。
悪い意味は、その日の予定やら過程を想像して絶望してしまうことだ。
そして、その絶望は早朝からさっそく起きてしまう。
問題は目の前に広がる朝食たち。
そして、それを作ったのは………。
「お兄ちゃーん!  ウチの手料理を前にしてそんなに緊張するなんて………ウチ嬉しい!!」
台所から顔を出すエプロン姿の少女。
神宮寺 詩織
神宮寺 孝作の実の妹である。
「おい、なんでお前が料理してるんだ?」
「えー? ヤダなお兄ちゃん、ウチがお母さんに頼んで作らせてくれたんだよ!!」
「おーーいお母さん!!! 少しお話があるのだけれども!? 何処にいるんだー!!」
そう言いながら、孝作は席を立ってリビングを出ようとする。もちろんカバンを持ってだ。
抗議のフリ。
本当はこのまま学校に登校する算段だ。
そうして、妹の料理から逃げ出そうと心に思っていたはずだった。
しかし……。
「お兄ちゃん………、なんでカバンを持っていくん? もしかしてこのまま学校いくんじゃないよね? 」
足が動かない。
その原因を見てみると、足元には無数の手が床から飛び出しており、孝作の両足を絡めるように掴んでいる。
「えへへへ、ウチのペット可愛いでしょ?  ウチのためにお兄ちゃんを捕まえてくれたんだ!」
「チクショー! まさかこんな事に界外を使うなんて卑怯だろ!! なんだこの腕!? 我が妹ながらその才能がすっごく怖いんですけど!?」
そう言いながらも、ズルズルと引っ張られるように食卓に戻されて席に座らせる孝作。
その向かい側には、自分の可愛い妹が座りながら孝作が食べるのを待っていた。
「ふふ〜ん、お兄ちゃんがウチの料理食べてくれるの楽しみ!! 」
そう笑顔を向ける詩織。
しかし、目の前に並んでいる料理はもはや料理ではなかった。
なんというか、全体的に黒くて、少し動いている。昨日の残りのご飯は真っ白で普通だというのに、置かれているだけでその瘴気に当てられたのか少し黒くなっている。
「………あ、あのう」
「んー?」
詩織は笑顔で、しかしその背には無数の手が飛び掛からんと構えている。
………もう、覚悟を決めるしかない。
孝作は、その黒くて動く化け物に箸を伸ばし、躊躇を入れずに口運ぶ。
一瞬、だがその一瞬で救われた。
「………あれ? 普通に食える」
孝作は前回、同じような料理を食べて倒れた事がある。その際、父さんと母さんは食っていないので倒れはしてない。薄情だ!
そして、今回も同じように倒れるのだと覚悟していたのだが。
「なんだこれ……歯応えは異常極まりないのに……普通に美味しいな」
「ほ、ホンマに!? 」
詩織は目を輝かせながら身を乗り出して孝作を見つめていた。
「あぁ、見た目はヤバイがそれ以外は良いな。どうしたんだ急に、お前料理勉強したのか?」
「え、違うけど。それよりソレって前に作ったのと同じ作り方だよ。味付けを新しくしただけ」
「…………はぁ? なんだよそ………うぅ!?」
そして急にお腹が痛くなる。
その痛さに孝作は耐えきれずに椅子から崩れて床に転がる。
「お、お兄ちゃん!?  大丈夫!!」
詩織が必死に介抱しようと駆けよって……来ない。
その代わりに無数の腕が孝作を無理やり立たせる。
「し、死ぬ………。お前の……料理で……死ぬ…………」
そう詩織に告げる。が、しかしーーー
「お兄ちゃん? ウチの料理全部食べてから死んで…………」
あれ? 目の色彩がおかしいな。
何故か光点が無くなって無感情の瞳になってる。
孝作は料理を持ってフラフラと近づいてくる妹に、心の底から恐怖し逃げようと必死にもがく。
だが、体は無数の手に纏われて動かない。
まずい。非常にまずい!
「し、詩織! いや、詩織さん!!  俺が死んだら悲しむ人がいるんだぞ!!」
「それって、もしかしてアリアさんの事?だったらなおさらウチも頑張らなきゃ…………。あの人の悲しむ顔…………あはは……楽しみだなぁー」
などと詩織は意味深なことを言い、笑いながら間近にまで来てしまった。
そして、黒くて動く食べ物ではない料理を箸でつまみ、孝作の口元に近付ける。
「はい、あーーん…………」
「あ……死んだな俺」
そう死を確信して受け入れようと、口を開ける。
その食材が、孝作の口に入るか入らないかの場面。
「…………何してんのよあんた達」
救世主はやってきた。
神宮寺 孝作はそう考えながら朝食の席に座る。
良い意味とは、その日を素晴らしい日にするぞっとする意志が起床時に湧き上がり。
悪い意味は、その日の予定やら過程を想像して絶望してしまうことだ。
そして、その絶望は早朝からさっそく起きてしまう。
問題は目の前に広がる朝食たち。
そして、それを作ったのは………。
「お兄ちゃーん!  ウチの手料理を前にしてそんなに緊張するなんて………ウチ嬉しい!!」
台所から顔を出すエプロン姿の少女。
神宮寺 詩織
神宮寺 孝作の実の妹である。
「おい、なんでお前が料理してるんだ?」
「えー? ヤダなお兄ちゃん、ウチがお母さんに頼んで作らせてくれたんだよ!!」
「おーーいお母さん!!! 少しお話があるのだけれども!? 何処にいるんだー!!」
そう言いながら、孝作は席を立ってリビングを出ようとする。もちろんカバンを持ってだ。
抗議のフリ。
本当はこのまま学校に登校する算段だ。
そうして、妹の料理から逃げ出そうと心に思っていたはずだった。
しかし……。
「お兄ちゃん………、なんでカバンを持っていくん? もしかしてこのまま学校いくんじゃないよね? 」
足が動かない。
その原因を見てみると、足元には無数の手が床から飛び出しており、孝作の両足を絡めるように掴んでいる。
「えへへへ、ウチのペット可愛いでしょ?  ウチのためにお兄ちゃんを捕まえてくれたんだ!」
「チクショー! まさかこんな事に界外を使うなんて卑怯だろ!! なんだこの腕!? 我が妹ながらその才能がすっごく怖いんですけど!?」
そう言いながらも、ズルズルと引っ張られるように食卓に戻されて席に座らせる孝作。
その向かい側には、自分の可愛い妹が座りながら孝作が食べるのを待っていた。
「ふふ〜ん、お兄ちゃんがウチの料理食べてくれるの楽しみ!! 」
そう笑顔を向ける詩織。
しかし、目の前に並んでいる料理はもはや料理ではなかった。
なんというか、全体的に黒くて、少し動いている。昨日の残りのご飯は真っ白で普通だというのに、置かれているだけでその瘴気に当てられたのか少し黒くなっている。
「………あ、あのう」
「んー?」
詩織は笑顔で、しかしその背には無数の手が飛び掛からんと構えている。
………もう、覚悟を決めるしかない。
孝作は、その黒くて動く化け物に箸を伸ばし、躊躇を入れずに口運ぶ。
一瞬、だがその一瞬で救われた。
「………あれ? 普通に食える」
孝作は前回、同じような料理を食べて倒れた事がある。その際、父さんと母さんは食っていないので倒れはしてない。薄情だ!
そして、今回も同じように倒れるのだと覚悟していたのだが。
「なんだこれ……歯応えは異常極まりないのに……普通に美味しいな」
「ほ、ホンマに!? 」
詩織は目を輝かせながら身を乗り出して孝作を見つめていた。
「あぁ、見た目はヤバイがそれ以外は良いな。どうしたんだ急に、お前料理勉強したのか?」
「え、違うけど。それよりソレって前に作ったのと同じ作り方だよ。味付けを新しくしただけ」
「…………はぁ? なんだよそ………うぅ!?」
そして急にお腹が痛くなる。
その痛さに孝作は耐えきれずに椅子から崩れて床に転がる。
「お、お兄ちゃん!?  大丈夫!!」
詩織が必死に介抱しようと駆けよって……来ない。
その代わりに無数の腕が孝作を無理やり立たせる。
「し、死ぬ………。お前の……料理で……死ぬ…………」
そう詩織に告げる。が、しかしーーー
「お兄ちゃん? ウチの料理全部食べてから死んで…………」
あれ? 目の色彩がおかしいな。
何故か光点が無くなって無感情の瞳になってる。
孝作は料理を持ってフラフラと近づいてくる妹に、心の底から恐怖し逃げようと必死にもがく。
だが、体は無数の手に纏われて動かない。
まずい。非常にまずい!
「し、詩織! いや、詩織さん!!  俺が死んだら悲しむ人がいるんだぞ!!」
「それって、もしかしてアリアさんの事?だったらなおさらウチも頑張らなきゃ…………。あの人の悲しむ顔…………あはは……楽しみだなぁー」
などと詩織は意味深なことを言い、笑いながら間近にまで来てしまった。
そして、黒くて動く食べ物ではない料理を箸でつまみ、孝作の口元に近付ける。
「はい、あーーん…………」
「あ……死んだな俺」
そう死を確信して受け入れようと、口を開ける。
その食材が、孝作の口に入るか入らないかの場面。
「…………何してんのよあんた達」
救世主はやってきた。
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