界外の契約者(コール)
青春の神の苦痛
へべという神が東條絵里という少女に出会ったのは少女がまだ8歳の頃だった。
へべは少女に会う前は、人間というモノを下劣で下等な家畜として見ていた。
女神は幾億もの界外術師に界外されて、その度に己の願望のみを口走る者と対面した。
中には友の血を、肉親の血を生贄に捧げてまで自分の欲望を叶えようとする。
そんな人間たちの醜い姿に、『青春の神』は正直うんざりした。
『私に若さをください』
『僕を有名人にして』
『私を高名な騎士としたまえ』
『オレを子供の姿にしてくれ』
『自分を軍の幹部に』
『王に』
『永延の命を』
会うたびに、会うたびにそんな願望を言われ、しょうがなく叶えてあげていた。
だが、『神』という者が他人の運命に介入するという事は、その本人の運命を大きく変えてしまうのと同義だ。
ある者は、永遠の美貌を得て数年後に嫉妬した友人に惨殺され。
ある者は、王国一の騎士となったために敵に捕まって、凄惨な拷問を受けて死んだ。
ある者は、世界大戦で敗北して幹部だったために戦犯として死刑になり。
しまいには、永延の命を手に入れた者たちはみんな肢体バラバラとなって、今でもどこかの施設や研究所に内臓一個単位で別々に保管されている。
全員が同じような願いのために彼女を界外し、全員が同じ結末を迎えていった。
もう、うんざりだ。
へべは、自らの神話の全能の神ゼウスがなんでこんな人間の行く末を見守っているのか分からなかった。
『人間は愚かだが、小麦の中に極上の粒があるのと同じように愚か者ではない者もいる。しかし、麦は腐ればダメになり、同じ愚か者となる』
主神は与太話で私たちにそう言った。
その話を『青春』を司るせいで信じていたからこそ彼女の落胆は大きかった。
そして、また界外されようとしていた。
今度も同じ。
どうせ、人間が界外するのだから。
しかし、呼び出された彼女の目の前には…………。
『……お母さんの病気を有名にして』
へべは少女に会う前は、人間というモノを下劣で下等な家畜として見ていた。
女神は幾億もの界外術師に界外されて、その度に己の願望のみを口走る者と対面した。
中には友の血を、肉親の血を生贄に捧げてまで自分の欲望を叶えようとする。
そんな人間たちの醜い姿に、『青春の神』は正直うんざりした。
『私に若さをください』
『僕を有名人にして』
『私を高名な騎士としたまえ』
『オレを子供の姿にしてくれ』
『自分を軍の幹部に』
『王に』
『永延の命を』
会うたびに、会うたびにそんな願望を言われ、しょうがなく叶えてあげていた。
だが、『神』という者が他人の運命に介入するという事は、その本人の運命を大きく変えてしまうのと同義だ。
ある者は、永遠の美貌を得て数年後に嫉妬した友人に惨殺され。
ある者は、王国一の騎士となったために敵に捕まって、凄惨な拷問を受けて死んだ。
ある者は、世界大戦で敗北して幹部だったために戦犯として死刑になり。
しまいには、永延の命を手に入れた者たちはみんな肢体バラバラとなって、今でもどこかの施設や研究所に内臓一個単位で別々に保管されている。
全員が同じような願いのために彼女を界外し、全員が同じ結末を迎えていった。
もう、うんざりだ。
へべは、自らの神話の全能の神ゼウスがなんでこんな人間の行く末を見守っているのか分からなかった。
『人間は愚かだが、小麦の中に極上の粒があるのと同じように愚か者ではない者もいる。しかし、麦は腐ればダメになり、同じ愚か者となる』
主神は与太話で私たちにそう言った。
その話を『青春』を司るせいで信じていたからこそ彼女の落胆は大きかった。
そして、また界外されようとしていた。
今度も同じ。
どうせ、人間が界外するのだから。
しかし、呼び出された彼女の目の前には…………。
『……お母さんの病気を有名にして』
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