界外の契約者(コール)
54話 間話
「ったく、なんだかこんなにもやられていると萎えてこない? こっちは護衛ってのに、顔も見たこともない同僚が倒れているって状況。あいつら舐めすぎ」
ドレス姿、容姿やスタイルからセクシーさを醸し出す女。
正しくは、女性のような神。
ヨグ=ソトースはウンザリとしながらも、隣にいる自分の界外術師である霧島に愚痴る。
「そう言うなって。俺たちは今起きている状況を把握できてないんだ。さっきのシルクハットのおっさんといい、魔法少女の襲撃で意味がわかってないんだから。敵を知らずに攻撃するより、少しでも襲撃された護衛の奴らを助けて攻撃パターンを聞き出せば良いんだ」
そう言い、霧島は自分のそばに横たわる中年の男の傷を見ていた。
ヨグは先ほど気絶した霧島を無理やり起こして、今後はどう動くかについてを打診した。
自分の界外術師でも、ただの人間に神が命令を促せてもらうのは今までの彼女ならあり得ないだろうが、そこに失敗はないと思っての行為だったのだろう。
気が付いた霧島はすぐにヨグの空間を移動する力を使い、ビル内で戦闘不能となって倒れている自分たちと同じ護衛の界外術師達を一階の広間に運び出して寝かせていた。
8名の男女。
どれらも重傷を負っているようだったが、命には別状はない。
その旨をヨグから聞かされて霧島は少しばかりの安堵を浮かべた。
しかし、霧島はそれよりもと襲撃された護衛者達の傷跡を見比べた。
まず屋上で発見されて自分と歳が近い男女は打撲と多少の切り傷で、血は出ているがそれだけというもの。
しかし、一階で見つかった者の傷は腕の骨が折れていたり、銃で撃たれたような弾痕が肩から見つかった。
非常階段の者は火傷による気絶。
会場内にいた者は目立った外傷はなく、眠っているだけだった。
こんなにもバリエーション豊富な護衛者達の鎮圧を見て、霧島は素人ながらも推測を口にした。
「……襲撃者は4名、シルクハットと少女の他に2名。しかも一名は拳銃を所持していて、もう一人の方は界外術師……かな?」
「あたしもそう思うわ。とにかく、今やることは雑ながらも敵の殲滅でいいわけ?」
「そうだなぁ……、本当なら俺たちはあんまり動かずにバックアップ的な立場でいたいもんだけど。状況は切羽詰まるかもしれないから、動くとするか」
霧島は言うと、寝かせている8人の面倒を近くにいたパーティー関係者に任せ、人目につかないところからヨグの力を使って空間を割り、移動しようとする。
しかし。
「ま、待ってくんねーかな!?」
そう言って霧島の腕を引きずるように掴む男の声。
ヨグと霧島は振り返ってその男を見る。
男は、いや男と女は傷だらけの体をしていた。
さっき助けて屋上にいた二人。
霧島はそう思い返して彼らを見る。
「なんか用?」
「あ、あんた主神級の神を界外しているんだよな! だったら、俺たちと組んで襲撃者を殺らねーか?」
「はぁ? 何言ってんだよお前ら……」
いきなりさっきまで横になっていた二人が起き上がったと思ったら、協力しようと言い出す。
霧島はあまりの言動に少しポカンとしたが、それでも努めて会話をする。
「……お前達は何者なんだ? 見たところ歳に違いがなさそうに思えるけど」
「お、俺は渡って言うんだ」
「あたいは浅倉って呼んでくれたら良いよ。歳はお互いに17」
「微妙に同年代か。俺は霧島って言うんだ。よろしくな渡、浅倉さん」
「あたしはヨグ=ソトースよ。よろしくね人間」
お互いに挨拶と共に自己紹介を済ませる。
だが霧島はそもそもこの二人が気に入らなかった。
なぜか、その身にまとう雰囲気があの8人の中でも異質で、そもそも高校生が政治家の護衛というものに雇われているという状況もおかしい。
m
(なに考えていやがるのかね……)
胸中にそう思い、理由を聞いてみた。
「君たちはさっき襲撃者に負けたんだろ。なら一旦引いていた方が」
「そんなのいやですよ! 俺たちが負けたっていうのは恥なんですから! かかされた恥はきっちり取り返しますのが俺らなんすから」
「そーそー、黙って寝ているのは納得いかないんだし」
二人がそう言って連れて行ってくれとさらに言い詰めてくる。
まいった。
霧島とヨグはお互いに「ウゼェ」と思いながらも、とりあえずの戦力になるかもしれないという霧島の提案によって、渋々ながらも連れて行くことにした。
「そんで、あんたはどこに向かいたいわけ?」
「そうだな……」
霧島は悩みながらも、さっきヨグからきいた神宮寺達の状況を想像し、妥当と思う階を選択する。
まずは2階。
そこから順に上に行って、ちょうど良い頃合いの襲撃者倒す作戦だ。
「二階から行こうか。空間の到着口はトイレが良いかな」
「はーい、なら二階にご案なーい!」
破れた空間に霧島が先に入り込むとその後にヨグと、それに手を引かれるボロボロの二人の男女が順に入っていく。
ドレス姿、容姿やスタイルからセクシーさを醸し出す女。
正しくは、女性のような神。
ヨグ=ソトースはウンザリとしながらも、隣にいる自分の界外術師である霧島に愚痴る。
「そう言うなって。俺たちは今起きている状況を把握できてないんだ。さっきのシルクハットのおっさんといい、魔法少女の襲撃で意味がわかってないんだから。敵を知らずに攻撃するより、少しでも襲撃された護衛の奴らを助けて攻撃パターンを聞き出せば良いんだ」
そう言い、霧島は自分のそばに横たわる中年の男の傷を見ていた。
ヨグは先ほど気絶した霧島を無理やり起こして、今後はどう動くかについてを打診した。
自分の界外術師でも、ただの人間に神が命令を促せてもらうのは今までの彼女ならあり得ないだろうが、そこに失敗はないと思っての行為だったのだろう。
気が付いた霧島はすぐにヨグの空間を移動する力を使い、ビル内で戦闘不能となって倒れている自分たちと同じ護衛の界外術師達を一階の広間に運び出して寝かせていた。
8名の男女。
どれらも重傷を負っているようだったが、命には別状はない。
その旨をヨグから聞かされて霧島は少しばかりの安堵を浮かべた。
しかし、霧島はそれよりもと襲撃された護衛者達の傷跡を見比べた。
まず屋上で発見されて自分と歳が近い男女は打撲と多少の切り傷で、血は出ているがそれだけというもの。
しかし、一階で見つかった者の傷は腕の骨が折れていたり、銃で撃たれたような弾痕が肩から見つかった。
非常階段の者は火傷による気絶。
会場内にいた者は目立った外傷はなく、眠っているだけだった。
こんなにもバリエーション豊富な護衛者達の鎮圧を見て、霧島は素人ながらも推測を口にした。
「……襲撃者は4名、シルクハットと少女の他に2名。しかも一名は拳銃を所持していて、もう一人の方は界外術師……かな?」
「あたしもそう思うわ。とにかく、今やることは雑ながらも敵の殲滅でいいわけ?」
「そうだなぁ……、本当なら俺たちはあんまり動かずにバックアップ的な立場でいたいもんだけど。状況は切羽詰まるかもしれないから、動くとするか」
霧島は言うと、寝かせている8人の面倒を近くにいたパーティー関係者に任せ、人目につかないところからヨグの力を使って空間を割り、移動しようとする。
しかし。
「ま、待ってくんねーかな!?」
そう言って霧島の腕を引きずるように掴む男の声。
ヨグと霧島は振り返ってその男を見る。
男は、いや男と女は傷だらけの体をしていた。
さっき助けて屋上にいた二人。
霧島はそう思い返して彼らを見る。
「なんか用?」
「あ、あんた主神級の神を界外しているんだよな! だったら、俺たちと組んで襲撃者を殺らねーか?」
「はぁ? 何言ってんだよお前ら……」
いきなりさっきまで横になっていた二人が起き上がったと思ったら、協力しようと言い出す。
霧島はあまりの言動に少しポカンとしたが、それでも努めて会話をする。
「……お前達は何者なんだ? 見たところ歳に違いがなさそうに思えるけど」
「お、俺は渡って言うんだ」
「あたいは浅倉って呼んでくれたら良いよ。歳はお互いに17」
「微妙に同年代か。俺は霧島って言うんだ。よろしくな渡、浅倉さん」
「あたしはヨグ=ソトースよ。よろしくね人間」
お互いに挨拶と共に自己紹介を済ませる。
だが霧島はそもそもこの二人が気に入らなかった。
なぜか、その身にまとう雰囲気があの8人の中でも異質で、そもそも高校生が政治家の護衛というものに雇われているという状況もおかしい。
m
(なに考えていやがるのかね……)
胸中にそう思い、理由を聞いてみた。
「君たちはさっき襲撃者に負けたんだろ。なら一旦引いていた方が」
「そんなのいやですよ! 俺たちが負けたっていうのは恥なんですから! かかされた恥はきっちり取り返しますのが俺らなんすから」
「そーそー、黙って寝ているのは納得いかないんだし」
二人がそう言って連れて行ってくれとさらに言い詰めてくる。
まいった。
霧島とヨグはお互いに「ウゼェ」と思いながらも、とりあえずの戦力になるかもしれないという霧島の提案によって、渋々ながらも連れて行くことにした。
「そんで、あんたはどこに向かいたいわけ?」
「そうだな……」
霧島は悩みながらも、さっきヨグからきいた神宮寺達の状況を想像し、妥当と思う階を選択する。
まずは2階。
そこから順に上に行って、ちょうど良い頃合いの襲撃者倒す作戦だ。
「二階から行こうか。空間の到着口はトイレが良いかな」
「はーい、なら二階にご案なーい!」
破れた空間に霧島が先に入り込むとその後にヨグと、それに手を引かれるボロボロの二人の男女が順に入っていく。
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