界外の契約者(コール)
56話 強力で最弱の都市伝説
こっくりさんとその他に連絡が取れた下田アリアは安堵の息を吐いて一安心していた。
一応はあの獣耳の小動物に任せても大丈夫だろう。
アリアはそう思いながらビルの外、人や車が大勢そこかしこにいる中で屈み込むと、ある物を作っていた。
「なんだそりゃ?」
側にいた彼女の幼馴染の神宮寺孝作は不思議そうに言いながら同じように腰を曲げ、アリアが作っていた物を見る。
「儀式場よ。まぁ簡単で持ち運びできる儀式だけどね」
「? あれ、儀式って複数人でやんなきゃいけないんだろう。たしか前にお前が教えてくれたはずだけど」
「それは結構強力な力が備わっている神とか桁違いな大きさの神を出す際につかうやつ」
下田アリアは手早く準備をしながら神宮寺に説明する。
「いつも私が行う界外は単独で行う術者の実力が伴う物で、儀式は実力なしでも複数人でも強力な物が出せる物。しかも、儀式は感情の媒体を周りに求めなくとも術者達の持っている物や考えの統一だけで自由に呼べるの。まぁ、術者が儀式場から動けなくなるリスクが発生するけどね」
そこらに落ちていた雑草と適当な土、砂利同然の小さな石ころを使って円形約20センチの物を作り出す。
「だから私は考えたわけ。儀式場と一緒に動ける強力で最弱の神の界外術ってのを」
アリアの今の発言内容に神宮寺が「こいつ胸がなさすぎてついに壊れちゃったかな……」と思ったのだが、それに気づかずアリアは持ってきた手持ちのポーチからある物を取り出す。
携帯電話。
それも二つ折りの懐かしい形の物だ。
「ご、ごめんなアリア!!」
携帯電話を見て何を思ったのか、急に神宮寺は謝りながら土下座する。
あまりの事に少し動揺したアリアだったが、この後神宮寺が発言する言葉の内容に予測がついてこめかみの辺りがピクピクと動く。
「……何を謝っているのかな孝作?」
「いや、本当にごめん。まさかそれを買うほどまでにお前が追い込まれているとは思っていなくて。俺が言いすぎたのが悪かったんだな本当にごめん。俺ってば幼馴染失格だよな……」
下田アリアは目の前でまだ頭を地面につける神宮寺に、努めて笑みを作って優しく問いかける。
「何が、私を追い込んだと思ったの? このパカパカの懐かしい携帯電話が、どうして私のメンタル面を写していると思ったのかなぁ?」
しかし、目は笑っていなかった。
それどころか笑みも若干ひくつかせている。
その問いに、神宮寺は頭を上げて自分を見下すアリアの顔を見ながら、本当に最高とも思える爽やかな顔で言った。
「ガラパゴスってあだ名がここまでお前を追い込んで」
言い終わる前に突然視界がフェードアウトし、意識が暗闇に落ちていった。
そこから先の記憶が、神宮寺の中から一生抜け落ちた。
気づが付くとなぜか路上の上にのびており。服ははだけ、身体中がものすごい激痛でいっぱいであった。
それとは反対に、アリアの方はすっきりとした顔で神宮寺の顔を覗き込むように顔を近づけてきた。
「お、おは」
「次言ったらぶち殺すぞ」
挨拶したらまるで天使の笑顔のまま、悪魔のように低く太い声で脅迫された。
神宮寺はコクコクと幼馴染に首を縦に振って立ち上がる。
腰に手を当てて「っったく」と毒吐くと、アリアは神宮寺にあるものを差し出す。
「ほれ、こいつが儀式で呼んだ通常以上の力と手軽さを兼ね備えたヤツ。あんたが持ってなさい」
二つ折りの携帯電話。
電話は開いており、通話中の文字が画面に映し出されている。
「これが、今回の事件を収束させる打開策になるかもしれないから。あんたが使いなさい」
神宮寺はよく分からなかったが、とりあえず携帯電話を受け取り、耳に近づける。
するとーーーーー。
一応はあの獣耳の小動物に任せても大丈夫だろう。
アリアはそう思いながらビルの外、人や車が大勢そこかしこにいる中で屈み込むと、ある物を作っていた。
「なんだそりゃ?」
側にいた彼女の幼馴染の神宮寺孝作は不思議そうに言いながら同じように腰を曲げ、アリアが作っていた物を見る。
「儀式場よ。まぁ簡単で持ち運びできる儀式だけどね」
「? あれ、儀式って複数人でやんなきゃいけないんだろう。たしか前にお前が教えてくれたはずだけど」
「それは結構強力な力が備わっている神とか桁違いな大きさの神を出す際につかうやつ」
下田アリアは手早く準備をしながら神宮寺に説明する。
「いつも私が行う界外は単独で行う術者の実力が伴う物で、儀式は実力なしでも複数人でも強力な物が出せる物。しかも、儀式は感情の媒体を周りに求めなくとも術者達の持っている物や考えの統一だけで自由に呼べるの。まぁ、術者が儀式場から動けなくなるリスクが発生するけどね」
そこらに落ちていた雑草と適当な土、砂利同然の小さな石ころを使って円形約20センチの物を作り出す。
「だから私は考えたわけ。儀式場と一緒に動ける強力で最弱の神の界外術ってのを」
アリアの今の発言内容に神宮寺が「こいつ胸がなさすぎてついに壊れちゃったかな……」と思ったのだが、それに気づかずアリアは持ってきた手持ちのポーチからある物を取り出す。
携帯電話。
それも二つ折りの懐かしい形の物だ。
「ご、ごめんなアリア!!」
携帯電話を見て何を思ったのか、急に神宮寺は謝りながら土下座する。
あまりの事に少し動揺したアリアだったが、この後神宮寺が発言する言葉の内容に予測がついてこめかみの辺りがピクピクと動く。
「……何を謝っているのかな孝作?」
「いや、本当にごめん。まさかそれを買うほどまでにお前が追い込まれているとは思っていなくて。俺が言いすぎたのが悪かったんだな本当にごめん。俺ってば幼馴染失格だよな……」
下田アリアは目の前でまだ頭を地面につける神宮寺に、努めて笑みを作って優しく問いかける。
「何が、私を追い込んだと思ったの? このパカパカの懐かしい携帯電話が、どうして私のメンタル面を写していると思ったのかなぁ?」
しかし、目は笑っていなかった。
それどころか笑みも若干ひくつかせている。
その問いに、神宮寺は頭を上げて自分を見下すアリアの顔を見ながら、本当に最高とも思える爽やかな顔で言った。
「ガラパゴスってあだ名がここまでお前を追い込んで」
言い終わる前に突然視界がフェードアウトし、意識が暗闇に落ちていった。
そこから先の記憶が、神宮寺の中から一生抜け落ちた。
気づが付くとなぜか路上の上にのびており。服ははだけ、身体中がものすごい激痛でいっぱいであった。
それとは反対に、アリアの方はすっきりとした顔で神宮寺の顔を覗き込むように顔を近づけてきた。
「お、おは」
「次言ったらぶち殺すぞ」
挨拶したらまるで天使の笑顔のまま、悪魔のように低く太い声で脅迫された。
神宮寺はコクコクと幼馴染に首を縦に振って立ち上がる。
腰に手を当てて「っったく」と毒吐くと、アリアは神宮寺にあるものを差し出す。
「ほれ、こいつが儀式で呼んだ通常以上の力と手軽さを兼ね備えたヤツ。あんたが持ってなさい」
二つ折りの携帯電話。
電話は開いており、通話中の文字が画面に映し出されている。
「これが、今回の事件を収束させる打開策になるかもしれないから。あんたが使いなさい」
神宮寺はよく分からなかったが、とりあえず携帯電話を受け取り、耳に近づける。
するとーーーーー。
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