偶像は神に祈る夢をみる
一年後の結末 7
残された僕は呆然とした。
僕がショウたちに頼んで姉さんの私物を処分した?そんなはずはない。
昨日あのデミが漁っていたものは何だったというんだ。
昨日まであの家には姉さんの私物は確かにあった。
僕の記憶がおかしい?いや、正常なはずだ。
そう思いながらも僕は思わず空間に情報デバイスを立ち上げ、
歩きながら電話をかける。
「なに?」
三回のコールの後、不機嫌そうな声の人物がでた。
「こんばんは、リサさん」
とりあえずの挨拶。
「こんばんはじゃないよ。今何時だと思ってるの?」
彼女のジトリとしたやる気のない目が浮かぶようだ。
「午前一時です。どうせ起きてるかなと思って」
「起きてたわよ。あの後、事後処理して、報告書かいて、飯食って、シャワー浴びて一息ってとこ」
確かこ彼女は昨日急に呼び出されて寝てないといっていたはずだ。同情の気持ちが湧いた。
「あの、ちょっと聞きたいことがあって」
「くだらない話なら切るよ。今からようやくゲームに戻れるのに」
同情の気持ちが消えた。彼女はちょっとぐらい追い込んだほうがいい人間だ。
「前に、神様に潜っているうちに夢見に記憶の欠落や混濁が生まれるって聞いたことがあるんですけど」
「そりゃ、あるけど…、あんたの事?」
嫌そうな声が遠慮がちに尋ねてくる。
「えっと、はい」
そういった瞬間電話がブツリと切れた。僕はすぐさまかけ直す。
「もしもし、リサさん」
「何かあっても私に報告しないでって言ったよね。余計な仕事はごめんなの」
電話は再び切れた。僕は再びかけ直す。
「実は、友達の話なんですが」
白々しい建前で切り出した。
「…で、何?」
なんとか納得したもらえたようで今度は切られなかった。僕は自分の記憶に齟齬が生じていることを《《友達》》の話として伝える。
「…なるほどね。つまりそのお友達は、その友達の友達の認識と自分の記憶にずれがあるんだ」
「そうです」
「大丈夫よ」
彼女は即答する。
「それは記憶の混濁じゃない。そのお友達か、お友達のお友達の記憶違い」
「いや、でも…」
「それに、そのぐらいの記憶どっちだって同じでしょ?」
「そんな適当な…」
ため息が出た。
「大丈夫、大丈夫、ほんとに大丈夫だから。私、お勤めは嫌いだけど、これでもエンジニアとしたは優秀なのよ」
どこかおざなりな響きに聞こえる。
「まあ、そこまで言うなら」
僕は諦めて電話を切ろうとする。
「あっ、でも。今の話絶対に他の人にはしないでね。私の仕事が増えちゃうから」
冗談めかして言ういつもの一言は、どこか冷たく刺すように聞こえたのは気のせいだろうか。
気づけばもう家の前だった。
僕がショウたちに頼んで姉さんの私物を処分した?そんなはずはない。
昨日あのデミが漁っていたものは何だったというんだ。
昨日まであの家には姉さんの私物は確かにあった。
僕の記憶がおかしい?いや、正常なはずだ。
そう思いながらも僕は思わず空間に情報デバイスを立ち上げ、
歩きながら電話をかける。
「なに?」
三回のコールの後、不機嫌そうな声の人物がでた。
「こんばんは、リサさん」
とりあえずの挨拶。
「こんばんはじゃないよ。今何時だと思ってるの?」
彼女のジトリとしたやる気のない目が浮かぶようだ。
「午前一時です。どうせ起きてるかなと思って」
「起きてたわよ。あの後、事後処理して、報告書かいて、飯食って、シャワー浴びて一息ってとこ」
確かこ彼女は昨日急に呼び出されて寝てないといっていたはずだ。同情の気持ちが湧いた。
「あの、ちょっと聞きたいことがあって」
「くだらない話なら切るよ。今からようやくゲームに戻れるのに」
同情の気持ちが消えた。彼女はちょっとぐらい追い込んだほうがいい人間だ。
「前に、神様に潜っているうちに夢見に記憶の欠落や混濁が生まれるって聞いたことがあるんですけど」
「そりゃ、あるけど…、あんたの事?」
嫌そうな声が遠慮がちに尋ねてくる。
「えっと、はい」
そういった瞬間電話がブツリと切れた。僕はすぐさまかけ直す。
「もしもし、リサさん」
「何かあっても私に報告しないでって言ったよね。余計な仕事はごめんなの」
電話は再び切れた。僕は再びかけ直す。
「実は、友達の話なんですが」
白々しい建前で切り出した。
「…で、何?」
なんとか納得したもらえたようで今度は切られなかった。僕は自分の記憶に齟齬が生じていることを《《友達》》の話として伝える。
「…なるほどね。つまりそのお友達は、その友達の友達の認識と自分の記憶にずれがあるんだ」
「そうです」
「大丈夫よ」
彼女は即答する。
「それは記憶の混濁じゃない。そのお友達か、お友達のお友達の記憶違い」
「いや、でも…」
「それに、そのぐらいの記憶どっちだって同じでしょ?」
「そんな適当な…」
ため息が出た。
「大丈夫、大丈夫、ほんとに大丈夫だから。私、お勤めは嫌いだけど、これでもエンジニアとしたは優秀なのよ」
どこかおざなりな響きに聞こえる。
「まあ、そこまで言うなら」
僕は諦めて電話を切ろうとする。
「あっ、でも。今の話絶対に他の人にはしないでね。私の仕事が増えちゃうから」
冗談めかして言ういつもの一言は、どこか冷たく刺すように聞こえたのは気のせいだろうか。
気づけばもう家の前だった。
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