転生しているヒマはねぇ!
71話 出陣
対応係、企画係を中心とした魂魄消滅緊急対策チームは、遂に初陣の日を迎えた。
今、対応係と企画係の職員たちがソレイユの指揮のもと、会場となる神界大評議場の最終チェック、会場の外に設けた特設ブースで、冥界説明会に参加してくれる神々の受付などをしてくれている。
神界大評議場は横長の長方形で、入り口側の傍聴席が高く、発表等を行うであろう壇が低い位置に作られていた。
傍聴席は長机付きで、中央の通路で左右に分けられており、それぞれ10名ずつ座れる。それが10段。つまり最大で200名が傍聴できる。
オレとシャンセ係長、ラヴァーの3名は、会場の壇上に設けられた冥界側代表席で、そんな職員たちの働きを見ながら、神々の会場入りを待っていた。
実は、魂魄消滅対策としては、僅かながらではあるが、すでに結果が出始めている。
会場内を、忙しそうに走り回る対応係の職員。
対応係の職員12名は、いずれも仮体年齢60越えの、疲れきった爺さん婆さんだった。
それが、この冥界説明会会の準備が始まってから、生き生きと活動している様子が窺えた。
はっきり若返ったと言える程、明確な変化が仮体に現れているわけではないが、肌の色つやが良くなったようには感じられる。
企画係の職員と違って、自身の目標みたいなものを持ちきれてないから、まだこんなものだろうが、個魂個魂が神界との交流に興味を持つようになってくれれば、状況はもっと改善するのではないだろうか。
さて話は変わるが、今回の説明会はあくまでも自由参加だ。
冥界と現界神との仲を改善しようというのに、参加を強制しては本末転倒になってしまうからな。
今回残念ながら、参加をしてもらえなかった神に対しては、今回の説明会の様子をまとめたものを、参加してくれる神に協力してもらい配布する予定である。
もちろん、次回に繋げる為だ。
「できるだけ多くの神様が来てくれれば良いんですが……」
「従属神、地方神も合わせ、現界のいまの神総数は137名。
内、冥界から連絡がつけられたのは、交流会参加の12神を含む50神のみ。これまでの経緯から警戒される可能性あり。過度の期待は禁物」
「ええ、わかってはいるのですが……」
「シャンセ。今回が駄目でも、2回、3回。
継続が大事。逆に上手くいっても、そこで止まっては駄目。
企画係はその為に生まれた。期待している」
「もちろんです!
説明会以外にも企画案は、たくさんあります!
今回がどんな結果で終わろうと、必ず次の為の糧にしてみせますとも!」
「うん。期待大」
不安げに説明会のタイムスケジュールを確認していたシャンセ係長の呟きに、ラヴァーが相変わらずのポーカーフェイスで激励する。
ラヴァーは淡々とした口調の割りに、相手を乗せるのが上手い。
いや、だからこそか。言葉にこちらを励まそうという意図を感じず、ただ現実のみを語っているという雰囲気が、逆にこちらを励ましてくれる。
「ダイチ。どう進行するか、最終的判断は全てダイチに任せる。
ダイチの進む道が私達の歩む道」
なのに、なぜオレにはプレッシャーを!
「いやー、責任重大ですね」
当然ながら、シャンセ係長も俺たちの関係は知っているので、冷やかし全開のコメントを投げてよこす。
クソッ、さっきまで不安で死にそうな顔してたくせに!
プレッシャーの半分分けてやろうか!
「気負う必要はない。責任は全て私。ダイチはのびのびとやることを推奨」
余計気負うわ!
自分の好き勝手やって、大好きな嫁さんにケツ拭いてもらうとかないから!
まだ介護の必要な歳じゃないから!
つーか、オレ死んでるし!
「あの子たちは!ダイチが笑顔で戻って来るのを待っている。
結果はさておき、全力推奨」
やっぱ乗せるの上手いわ、オレの嫁さん。
今回はさすがに3子魂は連れてきていない。
アイシス預かりである。
でも実際に、仮体代わりにぬいぐるみを使うようになったアイツらの相手をしているのはマーシャだろう。
アイシスはその様子を魂写機で撮影するのに夢中なはずだ。可愛いモノ好きだからな、アイツは。
精神年齢が近いからか、3子魂とマーシャはとても仲が良い。
もっとも遊んでもらってるのか、遊んでやっているのかは不明だが。
そのマーシャから昨日渡された巻物を手に取る。
マーシャ曰く『これを神々の前で、開くとよい。儂に出来る精一杯の詫びを込めておるでな』とのことだが、大丈夫かコレ?
不安しかないが……。
『神族の皆様、ご来場です』
ソレイユの涼やかな声と共に、神界大評議場の重々しい扉が開かれた。
今、対応係と企画係の職員たちがソレイユの指揮のもと、会場となる神界大評議場の最終チェック、会場の外に設けた特設ブースで、冥界説明会に参加してくれる神々の受付などをしてくれている。
神界大評議場は横長の長方形で、入り口側の傍聴席が高く、発表等を行うであろう壇が低い位置に作られていた。
傍聴席は長机付きで、中央の通路で左右に分けられており、それぞれ10名ずつ座れる。それが10段。つまり最大で200名が傍聴できる。
オレとシャンセ係長、ラヴァーの3名は、会場の壇上に設けられた冥界側代表席で、そんな職員たちの働きを見ながら、神々の会場入りを待っていた。
実は、魂魄消滅対策としては、僅かながらではあるが、すでに結果が出始めている。
会場内を、忙しそうに走り回る対応係の職員。
対応係の職員12名は、いずれも仮体年齢60越えの、疲れきった爺さん婆さんだった。
それが、この冥界説明会会の準備が始まってから、生き生きと活動している様子が窺えた。
はっきり若返ったと言える程、明確な変化が仮体に現れているわけではないが、肌の色つやが良くなったようには感じられる。
企画係の職員と違って、自身の目標みたいなものを持ちきれてないから、まだこんなものだろうが、個魂個魂が神界との交流に興味を持つようになってくれれば、状況はもっと改善するのではないだろうか。
さて話は変わるが、今回の説明会はあくまでも自由参加だ。
冥界と現界神との仲を改善しようというのに、参加を強制しては本末転倒になってしまうからな。
今回残念ながら、参加をしてもらえなかった神に対しては、今回の説明会の様子をまとめたものを、参加してくれる神に協力してもらい配布する予定である。
もちろん、次回に繋げる為だ。
「できるだけ多くの神様が来てくれれば良いんですが……」
「従属神、地方神も合わせ、現界のいまの神総数は137名。
内、冥界から連絡がつけられたのは、交流会参加の12神を含む50神のみ。これまでの経緯から警戒される可能性あり。過度の期待は禁物」
「ええ、わかってはいるのですが……」
「シャンセ。今回が駄目でも、2回、3回。
継続が大事。逆に上手くいっても、そこで止まっては駄目。
企画係はその為に生まれた。期待している」
「もちろんです!
説明会以外にも企画案は、たくさんあります!
今回がどんな結果で終わろうと、必ず次の為の糧にしてみせますとも!」
「うん。期待大」
不安げに説明会のタイムスケジュールを確認していたシャンセ係長の呟きに、ラヴァーが相変わらずのポーカーフェイスで激励する。
ラヴァーは淡々とした口調の割りに、相手を乗せるのが上手い。
いや、だからこそか。言葉にこちらを励まそうという意図を感じず、ただ現実のみを語っているという雰囲気が、逆にこちらを励ましてくれる。
「ダイチ。どう進行するか、最終的判断は全てダイチに任せる。
ダイチの進む道が私達の歩む道」
なのに、なぜオレにはプレッシャーを!
「いやー、責任重大ですね」
当然ながら、シャンセ係長も俺たちの関係は知っているので、冷やかし全開のコメントを投げてよこす。
クソッ、さっきまで不安で死にそうな顔してたくせに!
プレッシャーの半分分けてやろうか!
「気負う必要はない。責任は全て私。ダイチはのびのびとやることを推奨」
余計気負うわ!
自分の好き勝手やって、大好きな嫁さんにケツ拭いてもらうとかないから!
まだ介護の必要な歳じゃないから!
つーか、オレ死んでるし!
「あの子たちは!ダイチが笑顔で戻って来るのを待っている。
結果はさておき、全力推奨」
やっぱ乗せるの上手いわ、オレの嫁さん。
今回はさすがに3子魂は連れてきていない。
アイシス預かりである。
でも実際に、仮体代わりにぬいぐるみを使うようになったアイツらの相手をしているのはマーシャだろう。
アイシスはその様子を魂写機で撮影するのに夢中なはずだ。可愛いモノ好きだからな、アイツは。
精神年齢が近いからか、3子魂とマーシャはとても仲が良い。
もっとも遊んでもらってるのか、遊んでやっているのかは不明だが。
そのマーシャから昨日渡された巻物を手に取る。
マーシャ曰く『これを神々の前で、開くとよい。儂に出来る精一杯の詫びを込めておるでな』とのことだが、大丈夫かコレ?
不安しかないが……。
『神族の皆様、ご来場です』
ソレイユの涼やかな声と共に、神界大評議場の重々しい扉が開かれた。
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