転生しているヒマはねぇ!
68話 室長
無駄にデカい転生役所の廊下は無駄に長い。
一直線の白い廊下の突き当たりが見えないくらいだ。この終わりのないように思える長い廊下を見ていると、オキョウが仕事をサボりたくなる気持ちもわからなくはない。
転生役所は平屋建ての建物だからな。大きく作ろうと思うとどうしてもこうなる。
転移魔方陣がなかったら、移動だけども一苦労だ。
もっとも使用する部屋は、モニター室を除けば部署ごとに別れているから、一日で何度も転移陣を使うのは総務部の清掃係くらい。
実際の話、自分も働き始めて4ヶ月になろうとしているが、関係のあるブロックに、転移陣で跳んで終わりなので、転生役所の半分も行ったことがない。
現在、3子魂はオレの頭の上に集合して、寄り添っている。
会話はまだできないはずなのだが、3魂ともオレの魂が入っているせいか、意思の疎通ができているように見える。
なんにしても仲良くやっているようで、父としては嬉しい。
活動範囲がオレの仮体の上中心というのは少し心配だがな。 
オレは、神類部専用の『転生予定魂第2待機所』に到着した。
扉には『臨時 冥界魂消滅緊急対策室』と書かれた大きな張り紙がされている。
以前のような、大きめの人事異動は来月に行われる予定で、今のところは、神族への対応を問題視された神類部部長、交流課課長共にそのまま神類部に在籍している。
あの二人の交流会への対応はやはり気に入らないが、さすがに本物の雷を落としたのはやり過ぎたと思ってはいたので謝罪しに行ったら、無茶苦茶ビビられて会話にならなかった。
そんな事情もあり、一時的に魂の消滅に対応する対策室を設け、この件に対する意思決定権を二人から、この対策室の室長に移す対応がとられ、オレが神族に提案した冥界説明会は行われる運びとなった。
それで先程のシャンセ係長との最終打ち合わせへと、話が繋がるわけ。
そして滅多に使われないこの部屋が、臨時の対策室とされている。
神類部ので取り扱う種族は主に3つ。
神族、天使族、巨人族。
神族と天使族は、寿命という概念はなく、巨人族はかなりの長寿の為、新たな個体の発生が少ない。
必然的に魂の待機部屋は、滅多に使われない訳だ。
資料片手に、オレは軽快に扉をノックする。
「ダイチです。室長、入ってもよろしいですか?」
「ん。入室を許可」
許可をもらったので、すぐに入室する。
部屋の中には、テーブルに山積みにされた書類に、次から次へと高速で目を通していくラヴァーの姿があった。
「説明会の段取りがまとまりましたので、お持ちしましたが……忙しそうですね」
オレが声をかけると、ラヴァーは顔を書類からあげる。
「問題ない。説明会は現在消滅対策の最重要案件。何よりも優先」
そう言って、俺から説明会当日のタイムスケジュールや神々に渡す資料を含めた書類を受け取り、これまた高速で目を通していく。速読術だ。俺にはただ書類を捲っているようにしか見えない。
以前に同じ状況があって、試しに内容の確認をしてみたら、完璧に答えられた。
さすがは元AI。隙はない。
「うん。問題なし。このまま進行を許可。
問題は、当日の神々の参加人数とその反応のみ。
ダイチ、シャンセ両名に一任。期待している。これからも協力してやってほしい。
尚、当日は私も出席する」
「了解です。段取りの中に、室長の挨拶を加えても?」
「許可。手短に済ませる予定。3分で。」
「わかりました。シャンセ係長にもタイムスケジュールの追加を説明しておきます」
「よろしく。
……私は一息いれる。ダイチも一緒にどう?」
「ああ。喜んで」
ラヴァーの向かい側の椅子に腰を下ろす。
「という事で、今は仕事時間外」
そう言って、両腕を広げる。
3子魂が、待ってましたとオレの頭からラヴァーの控えめな胸に飛び込む。
そのまま、ラヴァーの仮体の上を跳び跳ねたりしてはしゃいでいる。
ラヴァーは、母性愛に満ちた微笑でその様子を見守る。
オレの嫁さんは、3人ともできた嫁さんで、自分で生んだ魂以外の2魂にも平等に愛情を注いでいる。
3子魂にすれば、父親一人母親三人みたいな感覚だろう。
「先程、魂の揺れを感知。何かあった?」
ラヴァーが、地震観測装置みたいなことを言ってくる。
魂が繋がっているので、これまで以上にごまかしが効かない。
「あー、オキョウに会った。アイツ、若返ってたんだ」
オレの報告に、目を丸くする。
「すごい。やはりダイチと関わった魂は、私を含め、魂魄及び仮体に著しい変化が生じる。
私に言わせれば、これこそがダイチの『現象創造』の真の力」
3人の嫁の共通の欠点は、オレを過大評価しすぎるところだな。
そんなことを考えていると、3子魂がラヴァーを充分に堪能したのか、オレの仮体に戻ってくる。
「やっぱり、3魂とも、ママよりパパの方が好き。妬ける」
少しだけ寂しそうにオレの元に戻った3子魂を見る。
「い、いや! そんなことないと思うぞ。オレは……ほら! クッションがわり?」
「大丈夫。家に帰ったら、私もダイチに甘えるから問題ない」
ラヴァーがはにかんで答えた。
ああ! もう! オレの嫁さんたちカワイイ!
間にテーブルがなかったら、絶対にギュッてしてた。ギューッて♪  
今俺たちは、7魂で同じ家に住んでいる。しかも大豪邸である。
当然ながら、オレにそんなものを手にいれる資金はない!
全額ラヴァーの出費だ。
さすがにそれはと、ラヴァーに言ったら、すごく不思議そうな顔をされた。
『ダイチの今後のことを考えたら、これくらいは当然。すでにダイチは私の共同経営者。
私のすべてはダイチのモノ。
今のところダイチの3分の1は私のモノ。
だから、気にする必要はない』
いったいオレは、今後何等分される予定なんだろう?
一直線の白い廊下の突き当たりが見えないくらいだ。この終わりのないように思える長い廊下を見ていると、オキョウが仕事をサボりたくなる気持ちもわからなくはない。
転生役所は平屋建ての建物だからな。大きく作ろうと思うとどうしてもこうなる。
転移魔方陣がなかったら、移動だけども一苦労だ。
もっとも使用する部屋は、モニター室を除けば部署ごとに別れているから、一日で何度も転移陣を使うのは総務部の清掃係くらい。
実際の話、自分も働き始めて4ヶ月になろうとしているが、関係のあるブロックに、転移陣で跳んで終わりなので、転生役所の半分も行ったことがない。
現在、3子魂はオレの頭の上に集合して、寄り添っている。
会話はまだできないはずなのだが、3魂ともオレの魂が入っているせいか、意思の疎通ができているように見える。
なんにしても仲良くやっているようで、父としては嬉しい。
活動範囲がオレの仮体の上中心というのは少し心配だがな。 
オレは、神類部専用の『転生予定魂第2待機所』に到着した。
扉には『臨時 冥界魂消滅緊急対策室』と書かれた大きな張り紙がされている。
以前のような、大きめの人事異動は来月に行われる予定で、今のところは、神族への対応を問題視された神類部部長、交流課課長共にそのまま神類部に在籍している。
あの二人の交流会への対応はやはり気に入らないが、さすがに本物の雷を落としたのはやり過ぎたと思ってはいたので謝罪しに行ったら、無茶苦茶ビビられて会話にならなかった。
そんな事情もあり、一時的に魂の消滅に対応する対策室を設け、この件に対する意思決定権を二人から、この対策室の室長に移す対応がとられ、オレが神族に提案した冥界説明会は行われる運びとなった。
それで先程のシャンセ係長との最終打ち合わせへと、話が繋がるわけ。
そして滅多に使われないこの部屋が、臨時の対策室とされている。
神類部ので取り扱う種族は主に3つ。
神族、天使族、巨人族。
神族と天使族は、寿命という概念はなく、巨人族はかなりの長寿の為、新たな個体の発生が少ない。
必然的に魂の待機部屋は、滅多に使われない訳だ。
資料片手に、オレは軽快に扉をノックする。
「ダイチです。室長、入ってもよろしいですか?」
「ん。入室を許可」
許可をもらったので、すぐに入室する。
部屋の中には、テーブルに山積みにされた書類に、次から次へと高速で目を通していくラヴァーの姿があった。
「説明会の段取りがまとまりましたので、お持ちしましたが……忙しそうですね」
オレが声をかけると、ラヴァーは顔を書類からあげる。
「問題ない。説明会は現在消滅対策の最重要案件。何よりも優先」
そう言って、俺から説明会当日のタイムスケジュールや神々に渡す資料を含めた書類を受け取り、これまた高速で目を通していく。速読術だ。俺にはただ書類を捲っているようにしか見えない。
以前に同じ状況があって、試しに内容の確認をしてみたら、完璧に答えられた。
さすがは元AI。隙はない。
「うん。問題なし。このまま進行を許可。
問題は、当日の神々の参加人数とその反応のみ。
ダイチ、シャンセ両名に一任。期待している。これからも協力してやってほしい。
尚、当日は私も出席する」
「了解です。段取りの中に、室長の挨拶を加えても?」
「許可。手短に済ませる予定。3分で。」
「わかりました。シャンセ係長にもタイムスケジュールの追加を説明しておきます」
「よろしく。
……私は一息いれる。ダイチも一緒にどう?」
「ああ。喜んで」
ラヴァーの向かい側の椅子に腰を下ろす。
「という事で、今は仕事時間外」
そう言って、両腕を広げる。
3子魂が、待ってましたとオレの頭からラヴァーの控えめな胸に飛び込む。
そのまま、ラヴァーの仮体の上を跳び跳ねたりしてはしゃいでいる。
ラヴァーは、母性愛に満ちた微笑でその様子を見守る。
オレの嫁さんは、3人ともできた嫁さんで、自分で生んだ魂以外の2魂にも平等に愛情を注いでいる。
3子魂にすれば、父親一人母親三人みたいな感覚だろう。
「先程、魂の揺れを感知。何かあった?」
ラヴァーが、地震観測装置みたいなことを言ってくる。
魂が繋がっているので、これまで以上にごまかしが効かない。
「あー、オキョウに会った。アイツ、若返ってたんだ」
オレの報告に、目を丸くする。
「すごい。やはりダイチと関わった魂は、私を含め、魂魄及び仮体に著しい変化が生じる。
私に言わせれば、これこそがダイチの『現象創造』の真の力」
3人の嫁の共通の欠点は、オレを過大評価しすぎるところだな。
そんなことを考えていると、3子魂がラヴァーを充分に堪能したのか、オレの仮体に戻ってくる。
「やっぱり、3魂とも、ママよりパパの方が好き。妬ける」
少しだけ寂しそうにオレの元に戻った3子魂を見る。
「い、いや! そんなことないと思うぞ。オレは……ほら! クッションがわり?」
「大丈夫。家に帰ったら、私もダイチに甘えるから問題ない」
ラヴァーがはにかんで答えた。
ああ! もう! オレの嫁さんたちカワイイ!
間にテーブルがなかったら、絶対にギュッてしてた。ギューッて♪  
今俺たちは、7魂で同じ家に住んでいる。しかも大豪邸である。
当然ながら、オレにそんなものを手にいれる資金はない!
全額ラヴァーの出費だ。
さすがにそれはと、ラヴァーに言ったら、すごく不思議そうな顔をされた。
『ダイチの今後のことを考えたら、これくらいは当然。すでにダイチは私の共同経営者。
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