聖剣に選ばれたスライムは、魔物なので勇者失格です!?

アイララ

受付嬢は誤解する

『ようやく着きましたね。ここが冒険者ギルドです。ここで冒険者登録をお願いします、勇者様。』

お連れの騎士、ルドラル・ゼルドラントに連れられて、私は今冒険者ギルドにいる。屈強な冒険者から可憐な魔術師まで、様々な人間が出入りし慌ただしい。

彼に手を引かれながら人混みの中を進み、私達は受付のお姉さんの前まで来た。恐らく、この人が冒険者登録をしてくれるのだろう。

「なるほど、ここで冒険者になれと言うのね。、、、なんで魔王討伐しにきたのに冒険者登録するの?直接倒しに行けばいいじゃない。」

『情報が足りないのです、勇者様。この国の政治家達は自身の帝国にしか関心がなく、魔王討伐に動いてくれないのです。

しかも無用な混乱を避ける為、彼らは魔王に関する情報を隠そうとしています。ですが幸い、冒険者ギルドは帝国の力が及びにくいです。

ここでなら帝国に邪魔されず、魔王の情報が集められます。ささ、冒険者登録をどうぞ。』

そう言われて、私は受付の前に立たされる。いきなり冒険者登録と言われても何すればいいかわかんないな?まぁ、聞けばわかるか。

「あの〜、冒険者登録したいのですけど。」

『あれっ?いつもゼルドラントくん一人だよね。それなのに今日は女の人と一緒、それもいつも口が悪い君が丁寧な言葉遣いをする相手。

これは、、、もしかしなくても恋人だよね!!!あぁ、ずっと前から君の事狙ってたのに、もう!』

どうやら冒険者登録どころではなさそう。この人、私の事を彼の恋人と勘違いしてるよ。

「恋人じゃないですよ、彼とは友達みたいな関係です。そんな事より冒険者登録をお願いしたいのですけど。」

『友達って!!!そういう関係から発展する予定なんでしょ、貴女!彼は私が一番最初に目を付けてたの!渡しませんからね!」

駄目だこの人、全然私の話を聞いてくれない。彼とは会ったばかりで別に何の関係もないのに、勝手に勘違いしてるよ。

どうやって誤解を解こうかな。こう言う時は、私が何言っても聞いてくれないだろうしね。そんな事を考えてると、『任せてください。』と彼が動いてくれた。

『リンドル、彼女と俺は何の関係もない。お偉いさんから彼女のお世話をしろと頼まれただけだ。これ以上ガタガタ言うならもう会ってやらんぞ。』

『えっ、そう?よかった〜、待ちに待った私の春が台無しになるかと思っちゃってね。少し焦り過ぎちゃった、ごめんね。

コホン。さて、冒険者登録に来たとの事ですが、登録の内容についてはご存知ですか?知らないのであれば、私が説明しますが。』

随分、切り替えが早いなこの人。まあいいや、登録については何も知らないし教えてもらおう。

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く