異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?
02 二人の旅路
「エレーナはどうするの?またダンジョン調査に戻るのか?」
「ううん、決め手ないわ。みんなは迎えてくれるでしょうけど、クラスがもうガンナーじゃないから前と同じみたいに活動するの難しいと思うし」
城をあとにしてエレーナと近くの喫茶店で食事をとることにした。
魔法使いなんだからどこ行ったってなんでもできそうだけど、初期エレーナとネオ・エレーナではいろいろ違うんだろうし、少なからず戻りにくいのもあるんだろう。リト?あいつ管理局戻ってから魔王戦どうだったんだよーって周りからもみくちゃにされてるらしいって聞いたし。助けてやる気はない。
「っていうかウタキこそどうするのよ?家、は別にここにいてもいいんでしょうし借りるなり買うなりできるでしょうし」
「一応、報奨金くれたからな王様も。宿は出てく。クレアとクレオと同じ屋根の下こわい」
「でしょうね・・・」
本拠地的な体で宿の部屋を長いこと善意で借りてたけど、俺はそもそも荷物がないし最低限の家をどっかに買うか借りるかしてしばらくこの世界にいるつもりだ。もう勇者じゃないから宿にずっと置いてもらうのは悪いよなっていうのもあるし。まあさっきも言った通り一番の理由はクレアとクレオが怖いからなんだけど。
「なにするの?働いたりするのかしら?」
「それも興味あるけど、まだやらなきゃならないこと残ってんだよな」
「あら、もう勇者じゃないのに?」
「うん。調べものっていうか、俺が帰る手がかりになるかもしれないこと」
「それなら私も手伝うわ!お金ならしばらく余裕もあるし・・・」
「いや、エレーナはかかわらないほうがいいと思う」
「なんでよ!?」
ぶっすー、と頬を膨らませてエレーナは俺の手の甲をつねる。痛いって。痛いって。
関わらないほうがいい、っていうかこれは俺の杞憂かもしれないけど、っていうかおもっくそエゴ全開なんだけど、魔王と戦っておいてこれ以上危険なことなんてあるもんかと思われるかもしれないけど。魔法使いが、というかほかのパーティーメンバーがエレーナの立場だったら手伝ってくれって言ったと思う。
でも、エレーナはだめだ。
「俺が調べようとしてんの、食人鬼なんだよ」
「なんでそんな危険なことするの!?それこそ一人じゃなおさらだめよ」
アシュタルさんが言っていた。南の谷に咲く青い花。マツリカさんとロータスさんをつなぐ場所にある、彼女を示す真っ青な世界。
『自分がエリューニスだってことよ』
エレーナは、それしか知らない。
マツリカさんの話は聞いた。食人鬼についても知っている。血の零時事件についても知識はある。だけど一番大切な、自分がロータスさんの娘であることをしらない。
「事情は言えないけど、とにかくまた旅することになると思うしエレーナは連れてけな「ぜええええっっっったいに嫌!ウタキがダメって言っても私ついてくわよ!!」えええ・・・」
おっかしいな、俺たちは今日で解散だって話しようと思ってたのに。
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