異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?

守村 肇

03 ゲームでいうところのチュートリアルその2

 「なにこれ」




 目の前に現れた鉄の大門は見上げると首が痛くなるほどだ。何メートルあるかなんて俺にはわからない。あるよねこういうマンガ。主人公が第一話で食われるやつ。




 「王都への出入口は東西南北に一つずつあるの、ここは北門で王宮に一番近いわね」




 エレーナがバングルを門の中央部分に向けると、青い光が一直線に伸びる。
 錆び付いた音をたてながら門がこちら側に向かって開……かない。なんで。




 「いつまで上見てるの?こっちよこっち」




 エレーナに呼ばれた方を見てみると右下に通常サイズのドアがあって、彼女はそこに向かっていた。
 装飾とかレリーフで上手く隠れてるけど、なるほどそこから入るのね。夢もへったくれもねぇな。




 「門が開くと思った?」


 「そりゃまあ、あんなデカイ門だし」


 「王族が通る時と、他のエリアの重鎮が来るときにしか門は開かないのよ」




 面白くないわよねー、とエレーナは頬を膨らました。かわいい。凄くかわいい。何回でも言うがわりとタイプだ。
 1歩踏み込んだだけで、外とは大分景色が違った。
 西洋風な石畳にガス灯みたいなランプがあり、カラフルな屋根の一軒家がぽんぽん乱立している。


 気になることといえばランプが空中にぷかぷか浮いてることと、住民の服がどう見てもファンタジーってことと、みんななんかしら武器を持ってることだ。


 あと忘れちゃいけないけど髪の毛も屋根に負けず劣らずカラフル。赤とか緑とか紫とかいる。
 細部までみたらきっと他にも色々と普通じゃないんだろう。あの肉屋の肉だって何の肉だか分かったもんじゃない。




 「あそこに白い塔がいくつも見えるでしょ?」


 「あそこがお城か」


 「そうなの、北門は近いけどお城の裏側なのよ」




 ジーパンにTシャツの俺はめちゃくちゃ浮いているはずなのに、住民はあんまり気にしてない。日常茶飯事っていうのは本当らしい。




 「ウタキー、はぐれたら危ないわー」


 「お、おぉ、ごめん」


 「目を離したらどっか行きそうね、あなた」




 ぎゅっとエレーナが俺の手を握り、これでよし、と満足げな顔をした。
 おいおいおいおいこれはあれか、なんかそういうフラグが乱立するやつか。フラグじゃないものもたちそうですけど!


 女の子に耐性がないわけじゃないから、まあこれくらいはなんてことない。


 とかいう人生送りたかったけどなー! 俺だってー! そんな訳にもいかなかったんだよなー! クソッ!
 あいにく俺は鈍感主人公みたいな反応は出来ないので下心丸出しか、わかった上でのフラグクラッシュしか出来そうにないけどな!





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