もしも理想のパーティー構成に実力以外が考慮されなかったら?

雪月 桜

プリムのお礼

「えっ、じゃあ俺達のパーティーに入ってくれるって事か?」

「いいえ? わたくしが言ったのは、暇な時に、あなたのパーティーへしてあげるという意味よ。回復魔法を掛けてあげても良いけど、その時は治療院と同じ代金を貰うから、そのつもりで」

シスターさんの説教が終わり、プリムの治療院となっている教会の一室に移動した俺たち。

そこで、プリムが切り出したのは、昨日の借りを返してくれるという話だった。

それについては、予想どおりだったが、その内容に関しては正直、想像の斜め上だ。

てっきり、適当な謝礼を渡されて終わりだと思っていたからな。

というか、一応、お礼という名目の筈なのに、相変わらず態度がでかい。

まぁ、プリムらしいっちゃ、らしいけどさ。

「感謝しろよ! プリムさんが、お前らのために時間を割いてくれるってんだからな!」

ミルクが買ってきた見舞いの果物をモリモリと食いつつ、ふんぞり返っているカム。

そんな彼に、プリムの冷たい視線が向けられた。

「ねぇ、そこの駄犬? それは、わたくしの可愛いミルクが、わざわざ差し入れてくれた品よ。一口、一口、感謝と共に丁寧に噛み締めなさい。いくら品のない駄犬だからって乱雑に貪るのは許さないわよ?」

「すいませんっしたぁ! ミルクさん、ありがたく頂戴しますぅ!」

手に持っていた果物を皿に置き、一瞬で土下座の体勢になったカムに、ミルクが引き気味に笑みを浮かべる。

「そ、そんなに畏まらなくても大丈夫ですます。好きなように食べて下さい」

「あらあら、あまり甘やかしてはダメよ、ミルク。あなたの優しい所は大好きだけど、この子はすぐ調子に乗るから」

そう言って、腕の中のミルクを抱きしめ、頭をなでなでするプリム。

そう、ミルクは今、プリムの膝に載せられてベッドに座っているのだ。

二人が密着しているため、プリムの豊満な胸はミルクの後頭部に潰されている。

それを気にした様子もなく……というか、むしろ自分から押し付けるように、プリムはミルクの頭を抱き寄せていた。

二人の美少女が絡み合う光景は、非常に眼福なんだけど……。

何故だろう、今にも狼に襲われそうな、羊を見ている気分になる。

「なぁ、もしかして、プリムって、そっち系?」

「正確には、どっちもイケる系だな。可愛い年下限定だけど」

「あー、なるほど。納得だわ……」

ひそひそとカムに話しかけ、プリムの本性を知る俺。

プリムの歳がいくつかは知らないけど、これはアインもターゲットに入ってるかもな。

「じー……」

それと、さっきからミルクが滅茶苦茶、こっちに視線を送ってる。

どう考えても救難信号だろうけど、すまん、ミルク。

実はプリムも、さっきから、ちょこちょこ視線を向けてくるんだ。

『邪魔したら……分かってるわね?』

って、感じで! それも、満面の笑みで!

仮にプリムが一線を越えそうなら、怯まず取り返す所だけど、今はただ、可愛いがられてるだけ。

ここは、友好を示すため、大人しくでられてくれ!

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