勝部??

伊達\\u3000虎浩

第2章12 自宅訪問?? 上

(主な登場人物)
 ・部長 林道 茜りんどう あかね・副部長 敗北 勝負はいきた かつま
 ・会計 山月やまつき ありさ・騎士(書記)結城ゆうき ひかり
 ・秘書 服部 彩はっとり さやか・顧問 西園寺 麗子さいおんじ れいこ


【本編】


 季節は変わり6月に入った。
 6月と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?
 六月灯?
 いや待て。六月灯は、鹿児島や宮崎などでおこなわれる祭りであって、他の地域はやらない所もある。
 修学旅行?
 あれも、学生のイベントであって、大人には関係ない話しだ。


 もっとあるだろう?
 日本人なら、誰もが思い浮かべる事が。


 先に言っておくが、夏アニメのチェックではない。
 丁度この時期に、PVやらキャストの名前やらが公開されるからなぁ・・おっと話しを戻そう。


 6月といえば、そう梅雨つゆである。


 梅雨が明けると夏がやってくるのだが、とにかくこの時期は憂鬱だ。
 雨ばかりなのである。


 体育が中止になって、変わりに他の授業になるって事を教師陣は、おかしいと思わないだろうか?
 体を動かす予定でしたよね?
 頭を動かすのではないですよ。
 頭ばかり使っていたら、ハゲるという言葉を是非知っていただきたい。


 化学は発達しても、天気だけはよめない。
 天気は気まぐれオレンジ道ってやつだ。
 すみません。天気は気まぐれってやつだ。


 そもそも、って書く事じたいが間違っていると、私は思います。


 日本で、一番雨が多い月なのですよ?
 何故、梅の雨と書いて梅雨なのですか?
 松竹梅で言ったら、一番下じゃぁないですか。


 そういう訳で、私は梅雨について考えてみました。


 松の雨・・松雨。
 何だか、松ぼっくりの雨みたいだ。
 竹の雨・・竹雨。
 こえぇよ!竹やりが空から降ってくる何て事になったら、死んじゃうよ!
 梅の雨・・梅雨。
 うむ。雨が梅なら、毎日空を見上げて口を開けちゃう。


 つまり、梅=雨を想像させるために、梅雨としたのではないだろうか。
 そう考えると、梅雨もあんがい、悪くはないかもしれません。


 1-A    敗北   勝負


「ふー。やっと終わったか。全く、何が悲しくて梅雨についてのレポートなんかを書かなくてはならんのだ」


 かつまは、うーんと、背伸びをする。
 椅子に座り、カタカタとキーボードを叩いていたのだが、全くもってはかどらなかった。
 理科の先生から、梅雨についてのレポートを宿題に出され、調べずに書いてこいと言う、謎の条件を出されたら、はかどらないのも無理はないだろう。
 おそらく梅雨に対して、どれぐらいの知識を持っているかをみたいのだろうが、今時の男子高校生など、こんなものだ。


 梅雨前線ばいうぜんせんとか習った記憶があるが、梅雨前線何て書いてしまったら、梅雨前線って何ですか?と質問されてしまうだろう。


 知らねぇよ。


 まぁちょっと、読書感想文みたいになってしまったが、100字は超えているから、問題はないだろう。


 とりあえず、夏アニメのチェックでもしようかと、かつまがマウスを握った時であった。


「メール?誰からだ・・?」


 このクソ忙しい時に、何処のどいつだよと、かつまは心の中で呟きながら携帯電話を開き、差出人の名前を確認する。


 差出人は、我が勝負部の秘書、服部彩であった。


 ーーーーーーーーーー


 彩からか・・何のようだ?
 とりあえず、内容を確認するかつま。


「今日はお暇でござるか?」


 う、うーん。
 かつまは考える。
 こういったメールは、悪意をかんじてしまう。
 暇だと答えた場合、なら付き合えと言われる可能性が高く、最も断りづらくなってしまう返信だ。


 ならば、忙しいと答えるべきなのか?
 しかし、何で忙しいのかと聞かれたら、返信に困ってしまう。
 実際、夏アニメのチェックで、忙しくなるのだが、そんな事を言えるはずもない。


 それに、誘う内容も気になってしまうし、もしかしたら自分が興味がある内容かもしれない。
 なら、雨の中でも足を運ぶ価値はあるが、相手は結城ひかりではなく、服部彩である。


「何時からだ?」


 無難に、こう返信するのがベストである。
 何故ならば、今は忙しいんだぜとアピールできるし、14時からとか言われたら大体何の用事か予想がつくだろう。


 12時ぐらいなら、昼ごはんの誘いかもしれないし、14時なら映画とかショッピングだろう。
 夕方なら夜ごはんとか呑みに行く誘いだろうが、生憎俺は未成年だし、夜ごはんとなると、深夜徘徊で捕まる恐れもある。
 つまり、断る口実が生まれるのだ。


「できるなら早い方がいいでござる」


「・・・だから何時だよ」


 彩からの返信をみながら、ポツリと呟くかつま。
 おそらく彩にも、今、忙しいアピールは届いているはずだ。
 と、返信に書いてあるのがその証拠だろう。
 しかし困った事になった。
 どう返信するべきか。


「今ちょっと宿題をやっているのだが、俺に急ぎの要件なのか?」


 これでヨシ。
 宿題をやっていて忙しいと、アピールできたし、とつけ加えるだけで、どんな内容かを聞き出す口実もできる。


「終わったはずでござる」


「・・・何でわかるんだよ」


 相変わらず怖い女だ。
 そういえばメールも、丁度宿題が終わったタイミングだった。
 まるで、この部屋をずっとのぞいていたかのよ・・う・・な。


「彩。出てこい」


「お呼びでござるか?」


 かつまの呼び出しに、ベッドの下から顔をヒョコッと出して彩が答えた。


「・・いつからそこに隠れていた」


「拙者は忍び故に神出鬼没でござる」


 お前は、怪盗なんちゃらなのかとツッコミたい所だがとりあえず置いておく。
    何故ならば、コイツはベッドの下から現れたのだ。
 男子高校生のベッドの下は、秘密の花園であり、隠し物をするならそこだと、誰もが思うだろう。
 無論、かつまもそれは理解している。
 しかしだからこそ、あるものをベタな場所に隠していたのだ。
 灯台下暗しというやつだ。
 勿論、見えにくいように隠していたはずだったのだが、服部彩は両方の手にそれを握り締めて、ベッドに腰掛けた。


「うむ。拙者は悩んでいるのでござるよ」


「聞きましょう」


 即答であった。
 聞くから、どんなお願いや悩みだって聞いてやるから!エロ本で顔を扇ぐのをやめて!!


 ーーーーーーーーーー


 彩から相談される事って今まであったか?などと、現実逃避気味に考えるかつまの足元に、何冊かのエロ本が転がってきた。


「いいご趣味を、お持ちのようでござるな」


 エロ本なんて、男の子なら誰しもが持っているマジックアイテムではないか。
 趣味も何も無・・に!!


 "お、お姉ちゃん何て好きじゃないんだからね"


 あ、あの姉貴アマ!!!
 本をすり替えやがったな!


「かつま殿の姉君に、ご挨拶をしたいのでござるが、任務中でござるか?」


「・・・し、仕事です」


「左様でござるか。拙者がよろしくと伝えといてもらえないでござるか?」


「は、はい」


 弁解する事を考えたが、女子高生さやかに対し、必死にこのエロ本について喋る自分の姿を想像したら怖くてたまらない。
 おそらくこのエロ本について姉貴にも、聞く事はないだろう。


「そ、そういえば喉が渇いただろう?な、何か取ってきてやるよ」


「うむ。かたじけない。拙者お〜い権左衛門ごんざえもんを所望するでござる」


 雨の中、自販機まで買ってこいだとよ。
 チ、チッキショー!!
 かつまは、シブシブ買いに行くのであった。


 自販機で飲み物を買って部屋に入ると、顔を真っ赤にした彩が、ベッドの隅に正座して座っている。
 チラっと横目で見ると、エロ本の位置が少しずれている事に気付いた。


「買ってきたぞ。コップいるか?」


「い、いらぬでこざる!!」


 何故か、顔を更に赤く染め上げながら、彩は激怒する。
 訳も解らないが、触る祟りに何とかということだろうと解釈し、ペットボトルを投げ渡した。


「なぁ。そろそろ悩みってやつを聞かせろよ」


「さ、左様でござるな。しばし待たれよ」


 ピンポーンと、インターホンが鳴ったのは、丁度そんな会話をしている時であった。
 携帯を取り出し、インターホンマークをタップする。
 これで玄関まで行かなくても済むのだ。


「はい。どちら様でしょう」


「ク、ク、ク。汝と契約を結びし者だ」


「・・ひかりか。何のようだ」


「愚かなり。愚かなりかつま。我が名を忘れてしもうたか?思いだせ!本当の自分を」


「あっ。間に合ってます」


 プツリと電話を切るかつま。
 最後何故、C.Cっぽく言うのかは置いておこう。
 再度鳴り響く呼び鈴を聞きながら、かつまは彩にたずねた。


「左様でござる。拙者が皆をお呼びしたでござるが、かつま殿が拙者と二人きりが良いとおっしゃるのであれば」


「いいから玄関を開けて呼んでこい」


 彩の言葉を遮るかつまは、皆んなを出迎えてこいと指示をだした。
 本来であれば、この家の主でもあるかつまが迎えに行くのが普通であるが、残念ながらかつまにはやらなくてはいけない事がある。


 緊急クエスト!エロ本を隠せ!


 彩が玄関に行っている間に、大急ぎでブツを引き出しに入れて鍵をかける。
 これでとりあえずは大丈夫だろう。
 男子高校生の隠し場所、ナンバー3に入るであろう引き出し。
 あとは、押入れかタンスの中ぐらいなのだが、押入れだけは入れないであげてほしいと切に願う。
 ネコ型ロボットがいつ来てもいいようにと、綺麗にしているかつまであった。


 ーーーーーーーーーーーー


 かつまの部屋に入って来たのは、いうまでもなく、いつものメンバーである。


「ったく。わざわざ来てやったっていうのに、お茶しかでないなんて、どうかしてるわ」


 どうかしてるのはお前だよと、ツッコミたい所である。
 勝負部部長の林道茜は、部屋に入るなりベッドに腰掛けた。


「ク、ク、ク。真打ち登場」


 右手で左眼をおさえ、左手を真っ直ぐ伸ばしている女の子は、勝負部書記の結城ひかりである。


「宿題は終わってんのか」


 終わってないなら帰れ。
 そう願いつつ、質問するかつま。


「ハァ?あんなの適当に憂鬱だとか書いとけばいいのよ?すぐに終わったわよ」


 茜は、人を小馬鹿にしたような態度と共に、宿題は終わってると答える。
 コイツと同じような事を書いているのかと思うと、悲しくなるがまぁいい。
 かつまは、ひかりと彩に目を向ける。


「つゆは日本の文化でござるよ」


「我が眷属の言う通り。この時期になると目にするとても良いものじゃ」


 どうやらこの二人は、全く違った感想のようであった。
 考えてみれば、体育の苦手な子は雨が降るとテンションがあがると聞いた事があるし、あじさいやカタツムリなど、この時期でしか見かけない物も多い。
 後でこっそり書き直そうと決心するかつまは、二人に質問する。


「日本の文化って言ったが、海外じゃぁはないのか?」


「ク、ク、ク。これだからうぬはダメなのじゃ」


「ランニングマンの言う通りでござる」


「ラ、ライトニングじゃ!」


「ダメって・・。じゃぁやっぱりあるのか?」


 俺はまた一つ人として、ステップアップする事になる。
 知識を身につけ、クイズ雑学王に、俺はなる!


「そりぁあるじゃろ?輸入もできる事だし」


「冷やし中華始めましたを見かけると、心が踊るでござる」


「・・・。」


 だ、誰か・・この可哀想な二人に祝福を!


 心からそう願うかつまであった。


 ーーーーーーーーーー


 理科の先生が出した、宿題の意味を説明するかつま。


「お、おのれ・・ハメおったな」


「せ、拙者とした事が・・無念でござる」


「考えたらわかるだろ?理科の先生がなんで麺つゆについて宿題を出すんだよ」


 家庭科の先生ならまぁ、勘違いするのも無理はないだろう。
 しかし、麺つゆについて書いたこいつらの答案がとても気になってしまう。


 かつてテレビ番組で、大人気だったと言われている、バカ解答を皆んなで見て、笑いあって元気をもらってたバラエティ番組があったらしいが、是非復活してほしいものだ。
 超イケてるっす!


 かつまがそんな事を考えていると、不意にある事に気がついた。
 変態がいない・・嫌、ありさがいない。


「そういえば、ありさはどうしたんだ?」


 質問した後に、後悔するかつま。
 一人だけ呼ばない理由など決まっている。


「な、仲良くしなきゃ、ダメだろう」


 イジメは良くないと、涙ながらに訴えるかつま。


「アンタが何を想像したか大体予想がつくけど、違うわよ」


「ク、ク、ク。誕プレの相談でもないわ」


 あ、なるほどと、ようやく理解する。
 イジメ以外に、一人だけ呼ばない理由があった事を思い出す。
 ありさに、聞かれたくない話しがあるのだろう。
    そして、呼ばない理由に、心当たりがあった。


 チラっと横を見ると、彩はうつむきながら、皆んなをここに呼んだ理由を語り出す。


 先日、リンという転校生と勝負する事になったのだが、ありさの事を忘れてしまった。
 そのせいなのかはともかく別として、次の日、ありさが体調不良を理由に学校を休んだのだ。


 かつま達にも責任がある。
 しかし、この勝負内容を決めたのは彩であり、彩は気にしていた節があった。


「ク、ク、ク。我が眷属が泣きながらこうべを垂れるので「た、垂らしてないでござる!!」


「まぁ部長である私としては、部下の身が心配なのよ」


 それぞれがかつまに向かって、喋りかけてくる。


 うん。


 全くわかりません。


 一人、一人が順番に喋ってくれなくては、聞き取れないからなと三人に説明すると、ひかりが一歩前に出てきた。


「我がしもべゴン太よ。さぁ我を導きたもぉ」


「たもぉじなないわ!全くもぉ」


 話しを聞いてたのか?と、ひかりの頭をガシガシしながら文句を唱える。
 そんな二人の前に、彩は姿勢を正しかつまに向かって頭を下げてきた。


「か、かつま殿。この度は拙者が未熟者故に招いてしまった事とは言え、このような不足な事態を招いてしまった事を深く反省致して・・何が可笑しいでござるか?」


 彩が顔をあげると、二人はクスクスと笑っていた。


「言葉がめちゃくちゃだぞ」


 彩は彩なりに、悩んでいたのだろう。
 自分の所為で、ありさが体調を崩してしまったのではないかと。


「ク、ク、ク。我が眷属よ。らしくない」


「いい彩。部員の心配をするのは、部長である私の役目よ。次にもし何かある時は、真っ先にに相談しなさい」


 両腕を組みながら、ふてぶてしく私にと、アクセントをつける茜。
 どうやら彩が、自分よりかつまを頼ったのが悔しかったようだ。


「それじゃぁ今日の活動内容を発表するわ!」


 いつもより明るく振る舞っているのは、茜は茜なりに、部長として気にかけているからであろう。


 誰にだって?


 俺たち、勝負部の部員にだよ。


 次回第2章12   自宅訪問??   中

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