勝部??

伊達\\u3000虎浩

第2章9 クラス委員?? 下

 クラスの学級委員に選ばれた二人。
 ひかりは、学年主席という理由で選ばれ、俺はというと、男だからだという理由である。
・・何だか俺だけ理由が軽くない?誰でもいいみたいな感じやめてほしい。


 放課後、学年のクラス委員長が集まる会議に、参加させられたひかりとかつま。
 かつまは両腕を組んで黒板を睨みつけていた。
 黒板にはデカデカと、学年副委員長     敗北    勝負の文字。


「か、かつま!我を巻き込むなよ」


 かつまがイライラしているのが伝わったのか、隣のひかりがくぎをさしてくる。
 こうなったら、道づれにしようと考えていたかつまだったが、ガラガラと音を立てるドアに、気を取られた。


「お?これはこれは、かつま君にひかり君ではないか」


 入ってきたのは、我が勝負部顧問の麗子であった。
・・何故いるんだ?仮にも校長だろ?
 学年委員長を決める話し合いに、わざわざ参加するべき階級ではないはずなのだが、何故か麗子は少しご機嫌であった。


 クイクイ、クイクイっと人差し指で麗子じぶんに指を向けながら、かつまに合図を送ってくる麗子。
 どうやら、何故ここにいるのか聞いてほしいらしい。
 無視、無視とかつまは麗子から視線を外したのだが、隣のひかりが麗子にたずねた。


「し、師匠!何故ここに?」


 師匠という呼び名に、ざわつく教室内。
 麗子は、仕方がないから教えてあげよう的な態度で、一つ咳をしてから語り始めた。


「ハゲじゃなく、いや教頭がな、若いんだから働けと、若いんだからと言ってだね、若いんだからと」


 3回も言わなくても、聞こえているから、そのアピールやめてほしい。
 後、ハゲで通さないと誰の事だか解っちゃうから、それもやめて!!
 若いんだからと4回アピールしてくる麗子に、心の中でつっこむ。


 若いんだから働け。


 誰だよこの言葉を世に広めたやつ。
 何かある度に、若いんだから働けとか言うのやめてほしい。
 冷静になって考えてほしい。
 我が国は、定年退職が70歳にあがったばかりだよ?


 つまり、70歳まで働かなくてはならないのだ。
 どんだけ若いんだよ!
 70歳すぎたら、もう若くないんだから働かなくていいよ、とでも言うつもりなのかい?
 誰でもいいから法律を変えてくれ!
 30過ぎたら定年退職させる法案を!!
 嫌、まてよ?
 俺は一生ニートだから、関係ないのでは?
 いかんいかん。


 かつまは、心の中で葛藤していたのだが、ニート最高!!と決着がついた。
 そんなかつまに、いいかね?と声がかけられる。


「ハ、ハイ!!いいと思います」


 あぶねーあぶね、全くもって聞いてなかったわ。
 適当に相づちをうったかつまだったのだが、次の言葉で早くも後悔する羽目になる。


「さすがかつま君。では、副委員長就任に拍手!」


 え?と言うかつまの声は、巻き起こる拍手にかき消されてしまう。
・・まずい!!こいつら連合を組みやがった。
 厄介ごとをかつまに、押し付けようとしているのがみえみえである。


 女子連合は最強である。
 一人の女子に嫌われたら、五人の女子から嫌われたと言ってもいい。


 例えばの話をしよう。
 昨日A子、敗北に告られたらしいよ。
 えーまじーー。で結果は?
 名前通り・・ギャハハ。


 次の日には、クラスの女子全員がそれを知っている。
 1週間後には、学年の女子全員がそれを知っている。
 2週間後には、学校の女子全員がそれを知っている。
 1ヶ月後には、他校の女子数名がそれを知っている。
 アレ?
 俺、他校に名を轟かせてしまったよ?と勘違いしてしまう。
 つまり女子は、噂話しとキティーちゃんが大好きだと言う事だ。


 このままではマズイと思うのだが、ここで駄々をこねたら、明日から学校に来るのが怖い。
 何故ならこの学年には、女子しかいないからだ。
 た、助けてくれ!ライトニング!
 かつまは祈るように、ひかりに目を向ける。


「かつま!共に天下をしずめようぞ!!」


 何故かやる気になるひかり。
・・天下ってこいつ何を言ってんだ?ん?
 よく見ると、レイラフィギュアを持つひかり。
 かつまは気づいた。
 ひかりは買収され、かつまの説得もお願いされたらしい。
・・さすがは女子連合軍。噂話し大好きなだけはある。
 女子連合軍は、事前に打ち合わせていたのであろう。


 かつまは考える。
 何処かに逃げ道がないかを考えるのだったが、残念ながら時間切れである。


「ハーハハハハ!我が必ずや良い学校にしてやるわ」


 胸ポケットにレイラをいれ、両手で腰を抑えながらひかりは高らかに宣言する。
 ち、ちくしょーっと、昔のピン芸人を思いだしながら、かつまは椅子の上で固まるのであった。


 クラスだけでなく、学年での委員長に選ばれたひかりとかつま。


「か、か、かつま。どどどどうしよう」


「えぇい!!鬱陶うっとうしいから、その手を離せ」


 ひかりは涙組みながら、かつまに助けを求める。
 まさか、自分が学年の委員長なんかに選ばれる何て、思ってもいなかったし、なるつもりも無かったのであろう。


「大体そのレイラ人形は何だ!?」


 買収されやがってと、嫌味っぽくひかりに指摘する。


「は?レイラ人形ではない。バーサーカーレイラだ!間違えるでない!!」


「・・・だからレイラだろ?」


 何故か急に怒りだすひかりに、かつまはわけもわからず首をかしげる。
 するとひかりは胸元のレイラ人形を手に取り、かつまに突き出してきた。


「見ろ!!どうだかつま??」


 どうだと言われても、超絶可愛いとしか言えない雰囲気である。
 とりあえず怒っているし、ここはひかりをなだめる為にも、超絶可愛いと言っておこう。


「愚か者!!超絶可愛いのは当たり前じゃろうが!!仕方がない。かつま!明日せかすくを1期から見直して、我にレポート提出な」


「待て!?1期からってアレ何期あると思っている」


「愚問なりかつま。我を誰だと思うておる」


 マズイぞ。
 オタクやマニアの火をつけてしまったらしい。
 生半可な知識だけで挑むと大火傷するし、ネットに晒されてしまうか、ツイッターなどが炎上してしまう恐れがある。


 hiroto先生はそれが怖くて、エゴサができなかったが、アニメ化が決まったら速攻、エゴサ三昧、すし三昧だったらしい。
 全くげんきんなやつだ、実に羨ましい。
 かつまが、最近お寿司食べてないなーと、どうでもいい事を考えていると、ひかりがニヤリと笑う。


「ク、クク。愚か者じゃまったく。かつま気づいておるのか?貴様の立ち位置を」


 ひかりに言われ、かつまは自分の立ち位置というものを考える。
・・立ち位置って、ボケとかツッコミって事なのか?
 首をかしげるかつま。


「これだから貴様は愚か者なのじゃ!」


 右手を額にあて、左手を真っ直ぐ向けてくるひかり。
 うぜーと思いながらも、どういうことなのかを聞かずにはいられない。
 しかし、ひかりにたずねる寸前でかつまは気づいてしまう。




 副委員長。
 つまりはどういうことなのか。
 いい事は委員長にもっていかれ、悪い事は委員長と一緒に責められ、謝る羽目になる。
 その挙句、委員長の指示に従ったり、他の委員に色々報告、指導する役割であり、いわば委員長の右腕的存在だ。
・・右腕と言われると、何だか誇らしさを感じてしまう。


 かつまは首を振って、雑念を振り払った。
・・危ない危ない。ん?ということは。
 かつまは気づいてしまった。


 クラスでは副委員長。
 学年でも副委員。
 そして、部活動では副部長だということ。


「ク、クク。さぁかつまよ!我の右腕となって働いてもらうぞ」


「く、クソ。いつの時代も2番目って嫌な役割ばかりじゃねぇか」


「解る!解るぞかつま君!何が悲しくて色んな人に頭を下げなきゃならん!理事長め」


 かつまの言葉に反応したのは、麗子であった。
・・それは、日頃のあんたのおこないのせいだ。
 全くもって共感できないかつまであった。


 翌日。
 麗子から、これからの説明を受け、まずは朝の全校朝礼の時に、あいさつをするようお願いされたかつまとひかり。


 放送室の前で、放送部の部員さんから、マイクなどの使い方の説明をうけるかつまとひかり。
・・眠いし、だりぃ。ん?ひかり?
 面倒くさいなぁと思いながらも、説明を聞いていたかつまだったのだが、隣にいるひかりが、震えている事に気がついた。


 ひかりは緊張しまくりであった。
 顔色も悪いし、小刻みに震えている。
・・・しょうがねぇなぁ。
 かつまは仕方なく、ひかりに声をかける。


「おーい。ライトニングさん。まさか緊張してんのか?」


「バババ、バカなことを。我がきき緊張などと」


 わざと、ひかりのテンションがあがるよう、ライトニングさんと呼んでみたが、どうやらダメらしい。
 かつまは、頭をかきながら再度ひかりに声をかける。


「ひかり。ホイ」


「・・・メモリーキー?」


 かつまはひかりにメモリーキーを手渡した。


「レポートだよ!レポート。おかげで俺、昨日寝てないんだよ」


 あくびをしながら、事情を説明する。
 手渡されたメモリーキーを、じっと眺めるひかり。


「全く。2期まで一気見したんだぞ!まぁ何だ。面白かったかな」


 かつまにそう言われたひかりは、少し頬を赤らめて、口元が緩んでしまう。


「愚か者!かったかなとは何だ!」


 左手を腰にあて、右手を突き出してくるひかり。
 どうやら、いつもの調子にもどったようだ。


「緊張はほぐれたみたいだな。頼むぜ委員長さんよ」


 かつまにそう言われたひかりは、いつものように高らかに宣言する。


「ク、クク。我は緊張などしとらん。武者震いというやつだ。我はライトニング!世界を救う者である」


 そう言って、放送室に入っていき、マイクの前に座るひかり。
 これで後は適当に俺がスピーチすれば問題ないか。
 かつまは、ひかりが終わった後の、自分のスピーチを考えていた。
 しかし、それは全くの無駄になってしまう。


「初めまして愚民共。今日から我がこの学年の隊長になる事になったライトニングだ。ク、クク。我が指揮するからには敗北の二文字はない。愚民共は愚民共らしく、我に従ってついてこれば良い!!」


 こ、こいつやりやがった。
 かつまは放送室のドアの前で固まってしまう。
・・あ、あいつ。どうなっても知らねぇぞ。
 かつまは、ひかりのこれからを心配するのだが、それはほんの数分で終わる。


「ク、クク。愚民共に紹介しよう。オイかつま!こっちに来い」


 ひかりに呼ばれて固まるかつま。
 嫌な予感しかしない。
 かつまは、絶対行かないと首を強く横に振るのだが、放送部員に連行されてしまう。
 口元をニヤニヤさせながら、かつまをひかりの隣に連行する放送部員たち。


「愚民共に紹介しよう。彼の名前はゴン太だ!今日から貴様らの相手をって痛いわ!!」


「や、やりすぎだバカ!!大体ゴン太ってペットじゃねぇか!!」


「ち、違うわ!!ゴン太はアリスの召喚獣でって、こ、コラ何をする!!」


 かつまは、放送室の電源をオフにした。
 ど、どうしてくれんだよ。
 泣きそうになるかつま。


 この日、ゴン太かつまライトニングひかりは学年の有名人になるのであった。


次回      特別篇        感謝


※ここまで読んでいただきありがとうございます。
さて今回はいかがだったでしょうか?
作者、レイラ好きすぎ問題が発生していると思われるかもですが、レイラが好きなのはひかりであり、私ではありません!多分。
私は全てのキャラクターが大好きであります。
読んでみて、好きなキャラクターが読者様の中で生まれる日を楽しみにしております。
では次回特別篇をお楽しみください。

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