勝部??

伊達\\u3000虎浩

第2章 8 ときめきガール??

 (主な登場人物)
・部長 林道 茜りんどう あかね・副部長 敗北 勝負はいきた かつま
・会計 山月やまつき ありさ・騎士(書記) 結城ゆうき ひかり
・秘書 服部 彩はっとり さやか・顧問 西園寺 麗子さいおんじ れいこ
【本編】


 ありさがやりたい事をやろうという事で、ゲームをやる事になった俺たちは、恋愛シュミレーションゲーム『ときめきガール』をやっていたのだが、かつまは早くもこのゲーム否、女の子の恐ろしさを体験していた。


『光君は、松井れいらちゃんと知り合いました』


 TV画面にはテロップが映し出され、TV画面の前ではひかりが悶絶していた。
 れいらちゃんの声が、大好きなTVアニメ『世界を救った俺は魔王軍にスカウトされて・・』通称せかすくにでてくる人気No.1キャラ、レイラと同じ声優さんだからである。


 リメイクされる度に声優さんが変わるのが普通なのだが、現代の技術で初代の声優さんの声が復刻されているのも、この作品が人気な理由である。


 なるほど・・・。
 ありさがこのゲームをやろうと言い出した理由が、かつまには理解できた。
 ありさは仲間を作ろうとしているのだ。
 このままでは、中二病で変態さんになってしまうおそれがある。


 それはマズイ。


 かつまはゲームの中止を呼びかけようとしたのだが、ひかりがありさに、嬉しそうに声をかける姿を見て、何も言えなくなってしまう。


「ありさ!ありさ!ありがとうな」


 満面の笑みでありさに抱きつくひかり。
 気持ちはわからなくもない。
 好きな声優さんに、自分に対してではないが、名前を呼んでもらえたのだ。
 悶絶級だろ?


 アニメや漫画、ラノベ作家さん。
 どうか、はいきたという名前のキャラクターを作って下さい。


 かつまが、佐藤や鈴木という苗字を羨ましがっていると、恥ずかしくなったのか、ありさが少し大げさに咳をし、ゲームに戻ろうと提案する。


「よし。よいな?レイラちゃんとデデデデートをするぞ」


「まぁ慌てるなひかり。知り合っていきなりデートに誘うという行為は、別の目的があるのでは?と返って嫌われてしまう」


 大興奮するひかりをなだめるように、ありさが解説する。
 言われてみればそうなのだろう。
 知り合って何回目でデートに誘うのが正解なのか、誰か教えてくれ。


「とりあえず、沢田に聞いてみよう」


 ありさがひかりに、このゲームの攻略のコツを教える。
 ・・・おぉ!!沢田ーー!!
 沢田は、色んな女の子の高感度を教えてくれる、有難い男なのである。


 ありさが、コントローラを操作していく。
 どうやら長かったオリエンテーションが終わりを告げ、受けたい授業の選択科目を選んでいるみたいだ。


 基本的に大学は自由登校である。
 この授業を受けようと決めたものの、月曜日にその授業がなければ、他の曜日にその授業を受ける事になる為、月曜日は休みになる。


 ただし、必須科目や、授業を受ける回数などが決められており、それを達成しないと卒業できないのだ。


「なるほどね。受ける授業によって出会うビッチ達が変わるというわけね」


「待て。大学生=ビッチという発想はやめろ」


「ふむ。拙者はお市殿みたいな子と仲良くなりたいでござる」


「ク、クク馬鹿な事を言うでないぞ!レイラちゃんと仲良くなるのだ!」


 何だかんだ言いながら、ときめきガールを楽しむ一同であった。


 沢田にデートのコツを教わった後、じゃぁな!と帰り間際に手を振るシーンは、果たして必要なのだろうか?
 かつまが首をかしげていると、ゲーム内では、どうやら光君の部屋についたようだ。


『何をしようか・・』


 TV画面にはテロップが映し出され、カーソルキーがでてきた。


「おぉ!こやつひかりと同じでござるよ」


「こ、ここまで酷くないわい」


 光君のパラメーターは全て0である。
 一体どうやって、大学に入学したのか不思議なくらいだ。
 ひかりみたいに賢者の杖でもつかったのか、これが噂に聞く裏口入学というやつなのか。
 ・・イケメンリッチー恐るべしだな。
 かつまがそんな事を考えていると、茜が提案する。


「まずは勉強させましょう」


 勉強、遊ぶ、働く、鍛える、沢田と遊ぶ。
 基本的にこれらから選び、パラメーターをあげて行くのだが、沢田と遊ぶについては謎であった。
 茜の提案に、レイラと遊ぶんだと、駄々をこねるひかりに対し、茜が解説する。


「いいひかり。世の中は頭が良くないとやっていけないものなのよ。例えば、貴女が遊びたいと思っている、れいらと遊んだとしましょう。食事の後、れいらが割り勘ね、と言ってきたらどうする?」


「愚か者!!レイラにお金を出させるとは・・恥を知れ」


「・・・質問を変えるわ。例えば貴女が好きなれいらは、頭の良い男と付き合うべきだとは思わない?」


「フ。レイラは中身を重視する素晴らしい女の子なのだ」


「・・・・。」


 おぉ!!あの茜を黙らせるとは、ひかりのやつやるな!
 ひかりに対してかつまが感激していると、ありさが話しの輪に入る。


「ひかり落ちつけ。多数決で、だろ?」


 熱くなりすぎたひかりを、なだめるありさ。
 こう言われてしまっては、ひかりも納得せざるを得ない。


「さすがはひかり。勉強しても3しかあがらないとは、恐れ入ったでござる」


「ぐぬぬぬ」


 光君は図書館で勉強をするのだが、あまり成果はみられなかった。
 勉強の息抜きなのか、本を探しに行くようだ。


『あっ、ごめんなさい』


 眼鏡をかけた女の子が、光君に向かって謝罪する。
 どうやら、お目当ての本が被ってしまい、譲ってくれるみたいだ。


 これも定番ではあるが、ここから仲良くなる意味が俺には解らない。
 共通の趣味を持っている異性だからという理由なのであれば、なろう作家達はどうすべきなのだ。
 ・・全く、なろう作家に出会いを求めるのは間違っているだろうか、否、間違っていない!


 かつまがそんな事を考えていると、ここでも選択肢がでてきた。
 A→ゆずる。
 B→ゆずってもらう。
 C→いっしょに読む。


「待て。一緒に読むって何だ?」


「嫌、一緒に読むのだろ?』


 かつまの質問に、ありさが答えた。
 さて、どうしようと言う質問に、多数決を取って決める。


「全く。馬鹿なんだから、本を読む暇があるなら勉強しなさい」


「ぐぬぬ」


「茜殿の言う通りでござる」


 勝負部の多数決の結果はゆずるであった。


『や、優しいんですね。私は長井ゆきといいます』


 長井ゆきの高感度があがった。
 もしかしたら、この子は宇宙人なのかもしれないと、かつまは心配してしまう。
 しかし、思っていたのと何か違う気がする。


 チョロすぎないか?
 いや、イケメンリッチーだからなのかもしれない。
 もしくは、最初ありさがやろうとした百合ゲーがあまりにも難しすぎて、こうなっているかもしれない。




 かつまがそんな事を思っていると、こうして光君の一日が終わりをつげるという、テロップが流れた。


 次の日。


『あれ?光君もこの授業を受けるんだ』


 授業開始前に、松井れいらから話しかけられる。
 隣いい?と聞かれ、光君はどうぞっと答えた。
 れいらが喋る度に、ぐはとか、く〜とか騒ぐひかり。
 ・・昨日知り合ってすぐに友達面するなんて、この子はもしかしたら、ビッチなのではないだろうか?


 かつまが偏見の目をしていると、隣の方から声がかけられる。


『よっ!お二人さん♪』


 沢田である。
 この男はいつの間に、れいらと仲良くなったのだろうか。
 逆に言えばれいらは、沢田とも仲良くなっているという事だ。
 やはりビッチなのだろうか。


「何だこの男は!我の恋の応援をすると言っときながら、邪魔をしに来ているではないか!!」


 言われてみれば、そうとれなくもない。
 しかし、沢田だけは許してあげてほしい。
 ひかりの中で、沢田の高感度が下がった。


 そのまま家に帰った光。
 さっきと同じように、カーソルキーが表示される。


「なぁ?せっかくだから、他のやつも見てないか」


「それもそうね。鍛えるを選んでみましょう」


 全員同じ気持ちだったらしく、鍛えるを選ぶ。


『今日は体でも鍛えよう』


 そう言って光君はジャージ姿に着替え、スポーツジムに向かっていった。


『初めてですか?私は光君の担当インストラクターを務めさせていただきます、松原あきといいます。宜しくね』


 なるほど。
 ジムに行って身体を鍛えるフリをして、インストラクターとの恋を鍛えるということなのか。


 かつまが、コレ使えるかもしれないと、心の中でメモをとっていると、またもや選択肢がでてきた。


 A→宜しくお願いします。
 B→自分で勝手にやるから。
 C→チェンジで。


「・・最後のを選んだらどうなるのかが、凄く気になる所ね」


「た、確かに。別のインストラクターが来るのか、別のジムに行けと言われるかも知れん」


「レ、レイラが来るのか?」


 《それは絶対ない》「でござる」


 四人が断固宣言する。
 ここはあきには可哀想だが、気になってしまう為、Cを選んでみないか?ということで、Cのチェンジを選択する。


『フフフ。ギニュー隊長ですね』


 松原あきの高感度があがった。


「いやいやいや。何でドラゴンボールネタなんだよ」


「ど、どうやらこの子はアニメが好きなようだな」


 かつまの疑問にありさが答える。
 ・・・マジかよ!アニメが好きだなんて最高じゃん。
 かつまの中で、松原あきの高感度があがった。
 TV画面では、ドラゴンボールネタで盛り上がっているのか、あきがポーズをとりながら何か言っていた。


『お命ちょうだい』


 このセリフが誰のものか解ってしまうかつまは、今度ジムに行ってみようと心に誓うのであった。


「ふむ。ここまでくるとひかりは最低でござるな」


「な、なんだと!!」


「確かに。色んな女の子とすぐ仲良くなってしまうあたり、女好きにもほどがあるわね」


「ぐはっ」


 光君が責められているのに、女好きというワードにありさが反応する。
 しかし、女の子と知り合わない事には、ゲームが進展しないんじゃないのか?と言うかつまの結論に、全員納得したようだ。


 ここまでを整理しよう。
 大学で出会ったビッチっぽい女の子松井れいら。
 図書館で出会った人気アニメキャラっぽい女の子長井ゆき。
 ジムで知り合ったアニメ好きな女の子松原あき。
 後、残されているのは働くと沢田と遊ぶである。


「な、なぁ?これって何人ぐらいの女の子と知り会うんだ?」


「ん?あぁこのゲームはアップデートなどがあるから、人数は決まっていない」


 ありさは続けて解説する。
 かつまはその話しを聞いて感心してしまう。
 初めてプレイする俺たちが全員を攻略すると、アップデートしますか?となり、増えていくそうだ。
 クリアーする度に違う女の子と知り合えるのだから、ファンにはたまらないゲームだろう。


 それに、女の子が増えまくるという事は、難易度もあがっていくという事になる。
 デートを目撃される回数が増えたり、休みの日に複数の女の子からの遊びの誘いなど、要はハーレム状態になり、クリアーが難しくなるのだ。


「とりあえず、最後の働くを選びましょう」


 茜の提案に反対の声はあがらなかった。
 ・・イケメンリッチーなのに働くだなんて、どう考えても女の子目当てだなこいつ。


 働く。
 何とも嫌な響きである。
 できることなら一生お家で過ごせる機械を、作ってほしいと心の底から願っている。


『君が今日からバイトに入る光君だね?私はここのコンビニの店員をやっている渡辺まいだ』


「面接もなしで働くなんて、こいつ何者かしら」


「まぁゲームだからな」


 茜の疑問にかつまがつっこむ。
 どうやらここでも、選択肢を選ぶみたいだ。
 A→宜しくお願いします。
 B→やめさせて下さい。
 C→歳幾つですか?


「こやつ、今日から働くと言っておいて、辞めると申すでござるか」


「冷やかしもいい所だな」


 とりあえず無難にAを選択する。
 しかし、高感度があがる所か下がってしまった。
 首を傾げる一同に、ありさが解説する。


「この店長はどうやら、かまってちゃんみたいだな」


 女性に年齢を聞くなとは常識であるが、一定の年齢を過ぎると、逆に聞いてくれと雰囲気で言ってくる。
 相手に歳を聞いて〇〇歳です!と言われたとしよう。
 全然見えないですね!〇〇歳かと思いました、と言ってほしいのだ。


「ま、まぁ。どんななのかの確認が目的なんだし、いいんじゃないか」


 一通りのゲームの流れを理解した俺達は、誰と付き合うかを話しあったのだが、誰の高感度をあげる事になったのかは言うまでもない。


「とりあえず、デートに誘ってみましょう」


 物語が進展しないため、デートに誘ってみる事にしたのだが、どんな感じになるのかが解らない。
 そこでゆきで試す事にした。
 ・・おそらく文芸サークルだろうからとなれば。
 TV画面には何処に誘いますか?と表示され、選択肢が出てきた。


 A→遊園地。
 B→図書館。
 C→映画館。
 D→ショッピング。


「ふむ。どれも同じ結果の気がするでござるよ」


「確かにそうね。けど、初デートが遊園地というのはどうなのかしら」


「え?ダメなのか?」


「普通にダメだろ。いいかかつま。初デートで観覧車に乗った所を想像してみろ!」


「・・た、確かに。無言が続いてしまう」


「それに初めての相手を、密室空間に誘うのは良くない」


 ありさにそう言われて、かつまは考える。
 密室空間じゃなく、閉鎖空間ならよいのか聞こうとしたかつまだったのだが、四人が真剣に悩んでいる所を見て別の疑問がうまれる。


「ちなみになんだが、お前達って初デートは何処だったんだ?」


「・・・・・。」


 四人はかつまから顔を背けた。
 かつまは茜の方に顔を向け、じーっと見ていた。
 かつまの無言のプレッシャーに負けたのか、茜が答える。


「バ、バカにしないでくれる!!初デートでしょ?確か・・そうアレよ!アレ」


「どれだよ?」


「あ〜残念だわ。この私がど忘れしてしまうなんて」


 何だか嘘くさいがとりあえず無視して、ありさを見る。


「わわわ私か?私はアレだ!そう幼稚園の頃だ」


 それってノーカウントでは?と思ったがとりあえずかつまは、ひかりにきく。


「ク、クク。我は来世でちょっとな・・こ、これ以上は魔の物が見張っているやもしれぬから言えぬ」


 来世という事は、まだしてないと言う意味なんだが、解っているのだろうか。
 ひかりの頭が心配になるかつまは、最後に彩に聞く。


「拙者でござるか?拙者は忍び。ゆえにそんなものにうつつをぬかしてはおれぬでござるよ」


 何だかカッコよく聞こえてしまうが、忍びもデートするよ?ナルトを読んで出直せってばよ!
 かつまが心の中でつっこんでいると、茜が質問してきた。


「あんたはどうなのよ!!」


「ん?俺か?う〜ん。昔の事過ぎて覚えてねぇな」


 かつまの答えを聞いて、四人は一斉にかつまの頭をはたいた。
 何するんだと言うかつまの声はスルーされてしまい、かつまが四人を見渡すと、こう答えれば良かったのかと、それぞれ顔に書いてあった。
 ぐぬぬ、と聞こえてくる声をスルーして、かつまはゲームの再開を提案した。


「そ、そうね。ありさのアドバイスを考えるなら、映画館も空間と言えば空間だし、同様に図書館も空間と言えば空間よね。ならショッピングしかないじゃない」


「そそそうだな。女の子はショッピングが好きだもんな」


「いや待だて!図書館で出会ったんだから、ここは図書館だろう?」


「かつま殿。図書館でデートと言うが、何をするのでござる?あそこは私語厳禁でござるよ」


 彩のこの質問に答えれないのが決定打となり、ショッピングでデートするを選択する。


『ショッピングはちょっと・・・』


『デートを断られ、ゆきの好感度が下がりました』


「・・・・・。」


 固まってしまう一同。
 誘うのが早すぎたのだろうか。
 ・・もしくは人ゴミ、いや人ごみが苦手なのかもしれない。
 しかし、断り方が問題だ。
 ショッピングはちょっと・・と言うけれど、お買い物って絶対するはずなのだ。


 デパートに行くのだって、コンビニに行くのだって、ゆきが好きな本を買いに行くのだって、立派なショッピングだ。
 それなのにだ。
 どこに買い物に行くかも伝えていないのに、ショッピングはちょっと・・と言ってきた。
 つまりだ。
 俺とのショッピングはちょっと・・と言っているという事なのだ。
 全員がこの考えに思いついたらしく、少しの沈黙が部室内に流れた。


「ショッピングはちょっと・・と言われたが」


「そうでござるな。しかし買い物を嫌がるのに映画館とかならいいのでござるか?」


「我は解っておったわ。この女はクソだと」


「待て。長門ゆきをクソ呼ばわりは許せん」


「・・長井よ。字も読めなくなったのかしら」


 TV画面には落ち込む光君の姿が映し出されていた。


 とりあえず、どうすればいいのか解らない一同はゆきの攻略を諦める事にし、別のキャラクターで再度デートを申し込む事にした。
 本命であるれいらに嫌われてしまわない為にも、予習は欠かせないのだ。


『デート・ア・ライブですか・・』


 ジムでアニメ好きのあきをデートに誘うと、何故かこう言ってきた。
 流石にアニメ好きなら、映画館だろうと一同の意見は一致したのだが、ここで問題が発生する。


「く、ここでも選択肢なのか」


「まぁ落ち着けありさ。アニメ好きにおいて俺の右にでるものはいない」


 映画といっても色々あるのだ。
 邦画、洋画、アニメ、海外アニメなどなどだ。
 そんな中現れた選択肢に一同は悩む。


 A→世界を救った俺は魔王軍にスカウトされて・・。
 B→おうこく!。
 C→世界は「 」で溢れている。


「Aだ!!A以外有り得ないだろう!!」


「いやいやいや、いいかひかり。異世界と現実世界を救うこの異世界ファンタジーは確かに面白い。しかしだ、アニメ好きの彼女が、これを見ていないという事はありえないんじゃないか?」


「Bしかありえんぞかつま!水瀬りの!!く~可愛すぎる」


「いやいやいや、いいか変態ありさ。0から異世界で国を作るこの異世界ファンタジーは、確かに面白い。水瀬りのが可愛いのも解る。まさかあきがりのを知らない何て事はないんじゃないか」


「ふむ。なら消去法でCでござるな」


「その言い方だとまるでCが一番面白くないみたいな言い方に聞こえるからやめろ」


 Cの世界は「 」で溢れているだって面白いんだから。
 かつまが心の中でつっこんでいると、あきの好感度が下がった。


『その作品はちょっと・・』


「何でだよ!!同じhiroto先生の作品だろうが!!あぁん?何とか言えや!!」


「待てかつま!TVが壊れるぞ」


 TVを揺らすかつまを必死にとめる四人であった。
 何とか落ち着きを取り戻したかつまは四人に謝り、ゲームを再開させる。
 やはりれいらとデートをする前に予習は欠かせないからと、店長のまいをデートに誘う。


『フ。部下との信頼を築くのも私の役目か』


 少し頬が赤いまいに、ちょっと可愛いかもと五人が思っていた時、ある事に気付いた。


「な、なぁ?年上の女性とデートするならどこなんだ?」


「い、居酒屋とかじゃないかしら」


「しかしだ茜。光君は未成年だし、向こうが酒乱の可能性もある」


 ありさの解説に悩む一同。
 確かに、私を酔わせてどうするの?とか言われたらたまらん。
 どうもしねぇよと答えたら嫌われてしまうだろうし、ちょっと・・などと答えたらひかれてしまうだろう。
 年上とデートをした事がない一同は助っ人に電話をかけた。


「呼ばれて飛び出た・わ・たしーー」


 勝負部顧問の麗子である。


「さて、要件を聞こうじゃないか」


「実はですね・・という訳で、年上の人とのデートについて何ですがって聞いてます?」


 かつまが事情を説明すると、事情を聞いていた麗子は額から汗を流す。
 両腕を組んで、カッコ良く立っていた麗子であったのだが、突然何故か両目に涙をためる。


「か、かつまのバカーーー」


「ちょ、先生!?」


 麗子は泣きながら部室を走り去ってしまった。
 じーっと見られるかつま。
 ・・あれ?俺が悪いのか?まさかした事がなかったなんて普通思わないじゃん。
 これは女性にとって、触れてほしくない案件のようだ。
 かつまは何とも言えない気まずい雰囲気に、居心地が悪くなってしまった。


「おほん。とりあえず、どうするかだな」


 ありさが空気を変えようとする。
 しかし、問題は解決していない。
 遊園地、ショッピング、映画、居酒屋の中からどれを選んでもダメな気がする。


 年上の人と遊園地。
 想像がつかない。
 メリーゴーランドとか、コーヒーカップとか、マカロンのミュージックシアターとか。
 マカロンは気分屋さんだからなぁ・・全くロン。
 かつまは首をふり、甘ブリからはなれる。


 年上の人とショッピング。
 まぁ無難ではあるが、ブランドショップとかに連れて行かれても困ってしまう。
 どうかな?と聞かれても困るミー。
 かつまは首をふり、甘ブリからはなれる。


 年上の人映画。
 これも無難ではあるが、アニメを見るのだろうか。
 かといって邦画や洋画でちょっとHなシーンが流れると困ってしまう。
 思わず前かがみで恐縮してしまう。
 かつまは首を強くふって、甘ブリからはなれる。
 ・・となれば消去法で。


「ここは無難に居酒屋を選ぶフモ」


「・・・ふも?」


 何故か急に拳を固く握りしめ、変な語尾をつけるかつまに、困惑する一同であった。
 ともあれ居酒屋にやってきた光君。
 そこで待ち受けていたのは・・永遠と聞かされる上司の愚痴であった。
 まいの好感度は上昇したものの、聞かされるこっちの身にもなってほしいものだ。
 かつまは絶対に働かない事を決意する。


「さて、そろそろれいらを誘ってみるか」


「おおおお!!いよいよだな」


 大興奮のひかり。
 光君は、れいらを誘ってみた。


『ごめんなさい』


 この言葉に固まる一同。
 デートをする以前の問題である。
 デートに誘ったのだが、何故か断られてしまった。
 日にちがダメっだったのでは?と他の日を選択するも、答えは同じであった。


「どういう事なのかしら」


「どうしてくれるのだ!!レ、レイラちゃんに嫌われてしまったではないか!!」


 泣きながら講義するひかり。
 何回か試してみるが結果は同じであった。


「そ、そうだ!安心しろひかり。こんな時のあいつだ」


「ぐす。あいつ・・・?」


 かつまは不敵な笑みを浮かべ、ありさからコントローラーを借りて操作する。
 選んだカーソルは沢田と遊ぶだ。


『お前から誘いが来るなんて・・何だよ』


「ハ、ハハハハ。さぁ教えるがいい沢田!心の友よ」


 困った時の沢田である。
 やつは好感度や、攻略のヒントをくれる有り難い男、否、救世主なのだ。
 しかし、何故かどこで遊ぶ?という表示画面がでてきた。
 首をかしげながら、かつまは操作する。


『ゆ、遊園地か・・ち、しょうがねぇな』


 それはカオスであった。


 映し出される沢田の数々。


 アイスクリームを食べさせあう沢田。


 何故か隣いいか・・と観覧車で照れながら喋りかける沢田。


 お化け屋敷で何故か手・・握っといてやるよと言ってくる沢田。


 沢田。沢田。沢田。沢田。沢田。


『きょ、今日はその・・楽しかったぜ』


 別れまぎわにさり気なく耳打ちしてくる沢田。


「・・・・・。」


「ななな何てものを見せるのよ!!このお馬鹿!!」


「ひひひひひかり。拙者との関係を改めるでござる」


「ちちちち違う。こいつはひかりではない」


「おおおお俺じゃねえ!!ま、待てありさ!!」


「し、知らなかったんだ」


 こうして俺たちのときめきガールは幕を閉じた。
 後から解った事ではあるが、どうやら最初にルートを間違えると強制的に沢田ルートへと突入するらしく、一部の女子や男子に人気となっている。
 ちなみに、ひかりはありさからこのゲームを借りて、れいらルートを5回見たそうだ。


 次回 第2章9 クラス委員?? 上


 ※ここまで読んで頂きありがとうございます。
 さて、今回はいかがだったでしょうか?
 おかげさまで、皆様から愛される作品となりまして、感謝の気持ちを伝えたく、上中下とセットでお届け致しました。
 少しでも面白かったと思っていただけたら幸いです。
 では次回もお楽しみに。

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