勝部??

伊達\\u3000虎浩

第2章7 G.Wエクストラ?? 下

(主な登場人物)
・部長 林道 茜りんどう あかね・副部長 敗北 勝負はいきた かつま
・会計 山月やまつき ありさ・騎士(書記) 結城ゆうき ひかり
・秘書 服部 彩はっとり さやか・顧問 西園寺 麗子さいおんじ れいこ


【本編】


 5月5日が何の日かをご存知だろうか?
 子どもの日ではないそうだ。
 こどものじかん?いやアレはアニメだ。
 民放テレビは、5月5日に一挙放送するべきだよ!最高のアニメだから是非見てほしい・・っと話を戻そう。


 我が勝負部会計、山月ありさは言う。


 GO!GO!の日だと。


 そんなGO!GO!の日の話である。


「うぃ~す」「遅い!!」


 いつものように、ダラダラと部室にやってきた俺を待っていたのは、いつもの茜様の説教であった。
 チラッと時計を見ると10時前であり、10時集合と言われていたのに何故怒られているのか、理解に苦しむ。


 逆に褒めてほしいものだ。
・・いや、早い!!と言われてもそれはそれで何だか怖い。
 とりあえず、右から左へ聞き流して俺は、いつもの席へと座る。
 部室に来て俺は常々思う。


 みくるちゃんが欲しいと。


 何が悲しくて毎回飲み物を、持参して来ないといけないのだろうか。
 科学の進歩した時代なので、給湯ロボやメイドロボは販売されてはいるのだが、クーラーを買うお金すらない我が部室に、そんなものは存在しない。
 校長かありさをたきつければ、もしかしたら手に入るかもしれないな、と考えていたかつまはありさの席を見る。


「ん?ありさが来てないみたいだが・・」


 部室内を見渡すと、ソファーの上で座禅を組む忍者と中二病の姿が目に入る。
 二人が座るソファーの前には”修行中”と書かれた紙が貼られていた。
・・チラチラ彩を見るなよひかり。
 どうやらひかりは飽きたのか、早く終わりたいのだが、彩より先にやめると言う事ができない様子であった。
 とりあえずほっとく事にして茜を見ると、茜が俺の質問に答えた。


「ありさは準備している所よ」


「準備?何の?」


 それは・・と言いかけた茜を遮るように、ありさが部室へと入ってきた。
 息を切らしながら入ってくるありさの顔が赤い。
 ありさは、ホワイトボードにでかでかと文字を書き始め、書き終わると俺たちの顔を見渡してきた。


「ゲームをします!!」


 バンっとホワイトボードを叩きながら説明をするありさ。
・・・ホワイトボードにゲームをしますと書く必要あったのか。
 ありさの説明を補足する茜。


「こないだ言ったわよね?みんながやりたい事をやりましょうって。今日はありさのやりたい事をやるわ」


 どうやら、ありさがやりたい事と言うのがゲームだという事だ。
 茜の言葉を聞いたひかりと彩も、ありさの方へ顔を向ける。
 ありさは満面の笑みで、やりたいゲームを発表する。


「ときめきガールをみんなでやろう」


 ときめきガールとは、恋愛シュミレーションゲームの事である。
 プレイヤーは高校に入学し、色々な女の子と仲良くなり、卒業までの3年間の中で、彼女を作るというゲームで、女心を学べるゲームとして人気なのだが、それ以外の目的でも人気である。
 主に一部男子にだが。


「まてまて!何故、高校生の俺たちが、高校生の恋愛シュミレーションゲームをやらなきゃならんのだ」


「ふ、ふ、ふ。甘いぞかつま!時代は進化して、このゲームは大学生編なのだ」


「何・・だと!?」


 訂正しよう。
 どうやら大学生編らしい。
 プレイヤーは大学に入学し、4年間の中で様々な女の子と知り合い、付き合ったりしていくのだが、社会の縮図を学べるゲームとしても人気なのである。
 ちなみに、専門学生編や社会人編などシリーズ化されているの。


 しかし、専門学生編の場合、同じ夢を持った女の子達と知り合う為、すぐに高感度が上昇してしまう為、あまり人気は出ていない。


 社会人編の場合は、新入社員として入社するという事と、18禁という情報しか今の俺には解らない為、18歳に俺がなった時にでも説明しよう。


「とにかくだ!今日は私がやりたい事をやる日なのだから、文句は無しだ!」


 ありさにそう言われてしまっては、反論のしようがない。
 嬉しそうにゲームディスクを入れるありさを、俺達は無言で見ていた。


『ときめきガール』


 ゲームに登場する豪華声優陣が、声を揃えてタイトルコールをする。


「よし!いいか?私が操作するが、基本的には多数決で選択肢を決めるぞ」


 ありさの言う選択肢とは何かを説明しよう。
 例えばの話しである。


 モンスターが現れた。


 AたたかうBにげるC捕まえて売る。


 これを多数決で決めて、選択するのだが、間違った選択を選んでしまっては、高感度フラグが下がってしまい、嫌われてしまうのだ。
 捕まえて売るなど、ありえない。
 むしろ側に置いておきたいレベルである。
・・モンスター娘のいる日常。最高だぜ!
 話しを戻そう。
 要は高感度をあげて、彼女を作ろうというゲームになる。


 ありさの意見に反論はないようなので、ありさが操作していく。
 かつまは何故ありさが急に、このゲームをみんなでやろうと言い出したのかが解らなかった。


「なぁ?主人公は男なんだろ?なら名前はかつましかなくないか?」


 その言葉を聞いた、ありさの目の色がかわる。


「馬鹿な事を言うなかつま!ヒロインは女の子だ」


「ん??そりゃヒロインは女の子だろ」


 かつまはそう返しながら、TV画面を見る。
 映っていたのは、可愛らしい女の子であり、名前を決めてね♪という文字。


 かつまは気づいた。


「百合ゲーーーじゃねぇか!!!」


 急いで、ゲームのスイッチを切りに行くかつまを、ありさは泣きながらとめ、茜、ひかり、彩は何だ?と首をかしげるのであった。


「ぐす。しょうがないからぐす。こっちをぐす。やろう」


 ありさは泣きながらディスクを変えて、コマンド入力をしていく。


『ときめきガール』


 どうやら、タイトルは同じらしい。


「名前をどうするかだが・・かつまでいいか?」


 主人公は男の子なので、かつまでよいのではと提案したのだが、絶対ダメと否定されてしまう。


「よく見なさい!主人公はイケメンリッチーなのよ。かつま何て名前にしたら、主人公が可哀想じゃない」


 茜のこの発言に、深く傷つくかつま。
 するとありさが提案してきた。


「この中でなら、ひかりが一番男の子っぽいんじゃないか?ほら、こうやって」


 ありさはそう言いながら、コマンドを入力していく。
 ひかりを変換して「光」にする。
 言われてみれば、確かに四人の女の子の中でなら一番ありえる名前だ。


「く、くく。我の名を貸して欲しいとは、本来ならば消してやる所であるが、まぁよかろう!よいか?ライトニング君と呼ぶのだぞ」


 右目を抑えながら、TV画面の前に立って宣言するひかり。
 ありさの口元がニヤリと微笑んだのを、かつまだけは見逃さなかった。


 何とか名前も決まり、ゲームが始まる。
 大学受験に成功した光は、今日から大学生だ。
 そんなナレーションがゲームから流れている。
 だが次の瞬間、かつまは歓喜する。


「よ!また同じ学校だな!4年間宜しく頼むぜ」


「さ、沢田ーー!!」


 このゲームに欠かせない人物沢田。
 この男は、ゲームの攻略に必要なヒントを教えてくれる。
 あの子は映画が好きとか、あの子はカラオケが好きとか、あの娘は綾波レイが好き等など。
 ・・いゃ、最後のは曲名なのか、キャラクターなのか解らんぞ沢田。


 そして、やつは何処から仕入れてきたのか解らないが、現時点での高感度を教えてくれる。
 この情報を頼りに、プレイヤーはゲームを進めていくのが一連の流れである。


 かつまが、久しぶりに見た親友に心をうたれていると、ゲームの中でも進展があった。


「きゃ!?ご、ごめんなさい。怪我はありませんか?」


 どうやら、女の子とぶつかってしまったようだ。
・・定番中の定番だよなコレ。女の子とぶつかっただけで仲良くなれるのであれば、俺は毎日スクランブル交差点で待ち構えているぜ。


 かつまがTV画面をジト目で見ていると、きゃっの部分でひかりが歓喜する。


「こここここの声は!?レレレ、レイラちゃんではないか!!」


 TV画面に食いつくひかり。
 ぶつかってきた女の子の声優さんは、どうやらTVアニメ、せかすくのヒロインレイラの担当声優さんと同じ人のようだ。


「私ってドジっ子で・・本当にごめんなさい」


「ぐはっ」


ひかり君ね。私は松井れいらといいます」


「なななな。よよよよいか!この男はライトニングではない!ひかりちゃんだ!!」


「だぁぁあ!うるさい」


 レイラ好きのひかりには、たまらないご褒美なのであろうが、ゲームの邪魔でしかない。
 かつまはひかりをTV画面から遠ざける。
 すると早速、選択肢がでてきた。


 A→よろしく!
 B→君。可愛いね!
 C→うるさい。あっち行け。


「Bだ!!B以外あり得ないではないか!!」


 ひかりが大興奮しながら叫ぶ。
 ようやくありさが、光君にしようと言いだした事の意味を悟ったかつま。
 ありさが嬉しそうにに微笑む姿が、何よりもの証拠であった。


「待て。Bの選択肢はどう考えても無いだろ?チャラ男すぎるだろ」


 かつまはひかりをなだめる。


「ク、クク。これだからかつまはダメなのだ。見よこの可愛さを!レイラちゃんに言う言葉はこれしかないではないか」


 お前が言っているのは、せかすくのレイラちゃんに対してだろうが!とかつまは口を開きかけたが、茜にとめられる。


「最初に言ったじゃない!多数決だって。では決をとりましょう」


結果。


「かかか可愛いだなんて。そんな事ないよ」


    松井れいらの高感度があがった。
    固まってしまうかつまにありさが解説をする。


「いいかかつま?イケメンに可愛いと言われて喜ばない女の子はいない」


「ふむ。かつま殿もまだまだでござる」


「待て彩。お前Cを選んでいただろうが」


    女の子って本当に怖いなっと心から思うかつまに対して、ひかりはTV画面の前でうずくまっていた。


こうして光君の大学生活が始まりを告げる。


次回第2章8      ときめきガール


※ここまで読んでいただきありがとうございます。
さて、今回はいかがだったでしょうか?
読み返してみると、GOGOの日について触れていない事に気づいたのですが、次回で触れます。
次回予告を見ていただくと、気づいた方もいらっしゃるかと思います。
次回は上中下をくっつけますので、長くなってしまいますがお付き合い下さい。
では次回もお楽しみに!

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