勝部??

伊達\\u3000虎浩

第2章2  柔道?? 中

 勝負部 議事録
校長が顧問になり、突然ありさが柔道部を助けてほしいと言い出した。


1-A 勝負部 副部長 敗北 勝負


 これでよし!っとかつまは入力画面を閉じて、ありさの言葉を思い出す。
あの後、詳しい話しは明日するという事で解散した俺達。
そういえば、昼休みありさの様子がおかしかったな・・。
まぁ明日話しを聞けばわかるか。
そう考えてかつまは眠りについた。


 翌日。部活の時間になり、3人は部室でありさを待っていた。
ガラガラという音と共にありさが入ってきた。
急いできたのか少し息があがっている。
「ハァ・ハァ遅れてすまない」
扉を閉め、ありさがホワイトボードの前に立って何かを書いていく。


 ”柔道部の危機を救え”
でっかく書いた文字を背にありさは両手を机にのせて語り始めた。
「先日私とかつまが柔道部の練習を見学していた時の話しだ」
のぞきは見学とは言わないし、さらりと俺の名前をださないでほしいんだけど・・。
「いつもその練習風景に萌え・・じゃなく感心していた私とかつまだったんだが」
やめて!本当にやめて!萌えとかばっちり聞こえた後に名前をださないで!!
「いつもと様子がおかしいと気付いたのだ。そこでB組の柔道部の詩織を呼んで、事情を聞いたんが、どうやら新人戦にエントリーできないかもしれないと詩織が言うのだ」
ありさは3人に力説する。
「どうか我々の手で新人戦を勝たせてあげて、萌えを取り戻そうじゃないか」
固く握り締めた拳をプルプル震わせながら力説するありさ。
・・いや本音が漏れちゃってますよ。
かつまがげんなりしていると、茜が満面の笑みをありさに向ける。
どうやら”勝たせる”というワードにピンっときたのだろう。
「よくやったわありさ!!では部長としてみんなに今回の活動内容を発表するわ!」
そう言って席を立ち、ホワイトボードの前に立った茜は何かを書き始めた。
 茜が何かを書いている間にありさは席につく。
”柔道部の危機を救え”
救えの部分に横線を入れてその下に文字を書いたみたいだ。
”柔道部の危機を救う”
そう書いたホワイトボードを背に茜が宣言する。
「柔道で勝負よ!!!」
 その言葉に深くうなずくありさ、ひかりは羨ましがっている表情だ。
どうやら指示をだしたいのだろう。
こうして俺達の部活動が始まりを告げるのであった。


 とりあえず柔道部の詩織って子に、話しを聞く事にした俺達は柔道場にやってきた。
「すみません。詩織はきてますか?」
上級生にありさがたずねる。
「詩織なら体育館じゃないかな?」
どうやらここにはいないみたいだ。
柔道場は柔道の練習をする場所で、筋トレなどは体育館でおこなわれているとの事らしい。
上級生にお礼を言って体育館へと向かう事にした。


 季節はまだ春先という事もあり、暑くもなく寒くもない丁度いい季節だ。
花粉がなければ最高なのに・・かつまがそんな事を考えながら歩いていると、体育館へとたどり着いた。
「あ、いた。おーい詩織」
友人なのか親しげに手を振って声をかけるありさ。
呼ばれた詩織って子がこっちへと向かってきた。
柔道部だからか見た目はボーイッシュな感じの女の子だ。
「ありさちゃん?どうしたの?」
「いゃこの間、詩織が新人戦にでられないと聞いただろ?心配で様子を見にきたんだ」
「えっ?私でるわよ?」
「え?」ありさが固まる。
 待ってくれと、ありさがこれまでのいきさつを説明する。
さすがにのぞいてたとか、萌えとかは言わず説明するありさ。
ありさの話しを聞いた詩織は、ごめん、ごめんと謝って落ち込んでいた理由を話してくれた。
「新人戦の団体戦に出られなくてちょっと残念だなって思って・・やっぱりみんなで勝って笑いあいたいじゃない?」
 今年の柔道部の新入部員は詩織だけらしい。
その話しを聞いたかつまは、自分と立場は違えど似ているなぁっと親近感をもつ。
今年の男子生徒の新入生はかつまだけだからだ。
「なぁ。なんとかしてあげないか?」
かつまのこの発言に、真っ先に反応したのはいうまでもなく、ありさであった。
・・さすがかつま!みたいな顔でみるのやめてほしい。ちがうよ?のぞきの為じゃないんだよ?
自分と境遇が似てるからだよ?
当然かつまの思いなど届くはずなく、ありさは嬉しそうにうなずいている。
「なんとかする為にここにきてるんじゃない!」
両腕を組んで、茜が答える。
「うむ。我の力を持ってすればビッチなど余裕で倒してくれようぞ」
ハァァっと謎の動きをするひかり。
・・柔道部はビッチじなかいからな!


しかしここで問題が発生する。
「なぁ。やるっていっても人数が足りなくないか?」
かつまがたずねる。
 通常、柔道の団体戦は5VS5で行われる為、茜、ありさ、ひかり、詩織では1人足りていない。
「男女混合ならいけるけど・・大丈夫?」
詩織が心配そうに聞いてくる。
・・え?俺もでるの?
かつまの気持ちなど全く考えず、3人は大丈夫だと返事をする。
「よかった。本当は出たかったんだけど、人数も足りてないから諦めちゃってたの」
詩織の表情が、さっきまでとは全く違う表情に変わる。
「でも男女混合は男の子3人と女の子3人の合計6人じゃないと、いけなかったんじゃなかったかしら?ちょっと顧問の先生や先輩に聞いてみるね」
そう言って詩織は柔道場へと走っていった。


 俺達は一度部室に戻り、体育服に着替えていた。
着換え終わり細長いテーブルに座って、今後について話し合いをはじめる。
「かつま!ホワイトボードお願い」
茜がホワイトボードを指さし命令してきた。
・・だからそれ書記の仕事だから!
チラッとひかりを見ると、ひかりは目を閉じて瞑想中のようだ。
・・こいつ!!仕事を放り出すのは騎士道に反してるんじゃないんですかね?
イラッとしながらも、仕方なくホワイトボードの前に行く。
「話し合う前に、ちょっと練習相手が1人足りないわね・・ちょっと待ってて」
そう言うと携帯を片手に部屋を出ていく茜。
・・立つ前に言ってほしい。
ホント、話しがあると自分を呼びだしといて、あっ忘れ物したからちょっと待ってて!って言うのなんなのだろう?待ってるあの時間に何かやっちゃったか?と不安になるんだからやめてほしい。
 仕方なく座りなおすかつまはひかりに話しかけた。
「おぃひかり!議事録当番ひかりの番だからコレ・・?」
メモリーキーを渡そうとするが返事がない。
「・・?おぃひかり!ひかり!」
だがやはり返事がない、寝てるのか?
「・・・・?ライトニングさん?」
「フム。我の名を呼んだか?」
めんどくせーーーー。
「呼んだよ!ほらコレ!議事録書いてこいよ」
メモリーキーを手渡すと、ひかりが目を輝かせた。
「おぉぉ!遂に我の出番なのだな?フ、フ、フ。では我の冒険の書を書き綴るとしよう」
こめかみに手を当ててそんな事を言いだした。
まぁどうせ俺がチェックするから好きに書かせよう。
かつまは、茜から副部長として議事録チェックを命じられている。


 お待たせーと茜が戻ってきて、席につくと同時に部室のドアがノックされる。
どうぞーと返事をすると、現れたのは演劇部、部長にしてエースのさゆりであった。
「茜ちゃん!”ここさけ”の舞台劇をやりたいって本当?」
息を切らせながらも満面の笑みでさゆりが聞いてくる。
演劇が本当に好きなんだろうが、もちろん演劇などしない。
さゆりを呼んだのは茜であって、自分達ではないのだが、3人は罪悪感を覚える。
「えぇそうよ。さゆり先輩!もちろん協力してくれるわよね?」
えっ?っと3人は驚いたのだが、さゆりの満面の笑みに対して、茜がありがとう!と返事をしているのを見て何も言えずにいた。
じゃぁ私も体育服に着替えてくるね♪と物凄く嬉しそうな顔をするさゆりを、茜はニヤリと見送るのであった。


 当然さゆりが、着替えに行っている間に茜にどうするんだ?と聞く事になる。
我らが部長は拳を熱く握って力説する。
「これも詩織の為。さゆりには申し訳ないけど、犠牲になってもらいましょう。汚名を被るかもしれないけど、皆んなも協力してくれるわね?」
「詩織の」とか「汚名」という単語にアクセントをつけながら、ありさとひかりをチラチラ見る茜。
ぐぐ・・と唸るありさ、おぉぉと目を輝かせるひかり。
丸く収まりかけた話しだったのだが、茜の次の言葉で空気が変わった。
「解ってくれたみたいでよかったわ。じゃぁ順番を決めましょう。当然大将は部長である私として・・」
この発言にありさとひかりの目つきが変わる。
「ちょっと待った!」
ありさとひかりが声を揃えて、同時に手を挙げる。
茜が舌打ちしたのが、かつまにはわかった。
 ありさは左手を腰に当て、髪をかきあげながら語る。
「大将は私が務めさせてもらおう。この話しを持ってきた責任感があるからな」
ひかりはこめかみに右手をそえ、左手を真っ直ぐ伸ばしながら語る。
「くっくく。我が大将以外ありえんではないか。ヒーローは最後に遅れてやってくる。基本じゃろうが」
どうやら大将は譲らないと言う2人。
それに対して茜は、両腕を組んで仁王立で語る。
「コレだから困るわ。いい?柔道の経験者である詩織が先発、次に経験者である私だとした場合、私が負けたら勝ち目0になるじゃない。ここは経験者を先発と大将に添えるのがセオリーよ」
・・おぉ!我が部長がまともな事を言っているぞ。
誰がどう聞いても、ここは茜が大将だろう。
「茜が柔道の経験者だったとは以外だな?」
かつまがそう言うと、茜がビクっとする。
「ま、まぁね。習い始めて、もう5年ぐらいかしら」
・・なんだか嘘くさい。
「と、とにかく大将は私!いいわね!」
茜が強引に話しをまとめようとするが、どうしても譲らない2人。
 もめ始めて5分たったが、まだもめている為、かつまはとめにはいる。
「だぁぁあ!もう順番なんてどうでもいいだろ?」
だがこの発言に3人が噛み付いた。
「バカかつま!いい?順番は大事なのよ?あんたに解りやすいように、説明してあげるから良く聞きなさい!
大将=リーダー。リーダー=部長じゃない!!」
・・確かにそうなんだが。
「かつま目を覚ませ!かつまなら解るはずだ!もし先発で負けてみろ?下手したら保健室行きだ。保健室に行く事にでもなったら、私の楽しみが、この目に焼き付けられないではないか!!」
・・ぐぐ認めたくないがその気持ちは解る。
「愚か者!!貴様が冒険者だとして考えてみろ!魔王サタンが出てきたとしよう。頑張って頑張って倒した後がスライム4体・・どうだ!!恐ろしいだろ」
・・ぐぐぐその気持ちは解るがって誰がスライムだ。
 3人がもめていると、部室のドアがあいてさゆりが入ってきた。
「あれ?どうしたの?もしかして誰が主役かで、もめてるのかな?」
ニコニコしながらさゆりが椅子に座る。
茜がこのままでは埒が明かないと、結論を出す。


「こうなったら、誰が大将をやるか・・勝負よ!」


次回第2章2 柔道?? 下


※ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回、柔道という事だったのですが、正直全くの無知でして色々調べながら書きました。
柔道に男女混合があるってご存知だったでしょうか?
次回は柔道 下となります。引き続きお楽しみください。



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