勝部??

伊達\\u3000虎浩

第1章1 勝部??

 最初の第一印象はと聞かれたら、まずこう答えるであろう。


「この女はおかしい」


 西暦2118年。科学や産業もすっかり発展し、今では魔法という物が研究されている時代。
 そんな時代の中、俺は高校に通っているのだが、気分は晴れない。
 この高校は名門で、毎年数多くの受験生であふれ、受かる事は不可能だと俺は思っていたのだが・・受かってしまった。
 喜べって?だったら代わってやるぜ!!気分が晴れない理由それは・・。


 今年の入学男子生徒は俺しかいないからだ!


 普通に考えたらありえない事だよ!
 世の中の男子生徒諸君もっと頑張れよ!
 そんな事より、校長なのか理事長なのか知らんが入学生1人だけが男子生徒ってどうよ?
 学校こなくなったらお前らのせいだからな!
 ん?もちろんいいに言ったさ!
 校長室でキレイな爆乳な校長先生にな!
 そしたら校長はこう言ったよ。


「君は勝負に勝ったんだ。それは誇らしい事で・・?男子生徒が1人なのはおかしくないかって?じゃぁ君はテストの平均点で80点の幼女と平均点10点のクズならどっちをとるんだい」


 こええよ。絶対趣味入ってるから。
 幼女とか言ったし。
 挙句の果てには・・・。


「もしかして君は男の子がいなくて寂しいといいにきたのかね?まさか・・ホ」


「違うわ」とこんな感じである。


 そんな感じで入学式が終わった1週間後、俺はトボトボと下校する。
 当然友達もできていない・・あぁそうだよ!
 ぼっちだよ!友達が少ないよ!
 青春もラブコメも間違いも何もねぇ!
 1人大好きだった本のタイトルでつっこんでいると正門前についた。


 上級生であろう男子生徒が3人こっちを見て・・ん?俺を見てる?
 まさか今どき漫画やアニメでしか聞かないあのセリフを吐くのではないのであろうか?


「おおぉ!一年坊主!ちょいとツラぁかしなぁ」


 でたぁぁぁぁあ!このセリフって死亡フラグなんだよなぁ・・。
 こう言って勝ったヤツを俺は知らない。
 知ってる人がいたら是非お便りをくださ・・とそんな事考えてる場合じゃないか。


「あぁん?聞こえてないんかぁ」


 俺は思うんだよ。
 なんで大声をあげるのだろうか?正々堂々と勝負しにきたと世間に知らしめたいのだろうか?
 喧嘩したいなら小声なり手紙なりして呼び出せばいいのに・・まぁ行かないんだけど(笑)


「先輩!俺とやろうってんですか」


 右拳をギュッとにぎりしめ低い声で相手を見上げるようにする。
 いいか?間違ってもビクビクするな!後にらむように見るなよ!因縁つけられちゃうからね。
 後、これやっても「いい度胸だなぁ」とか言ってやる気になるお馬鹿ちゃんもいるから気をつけて!


「いい度胸だなぁ」


 ヤバいヤバいヤバい後者の方だったよ・・
 ん?どうするかって?ここでとるべき行動は1つだ!
 誰もいない校舎裏で謝るんだよ!
 いや待て!謝る前にとりあえず確認しておこう。


「つまり先輩は俺と勝負したいと?」


 もしかしたら部活のお誘いかも・・と絶対ないであろう先輩のリーゼントを見て聞く。
 そう言われた3人の先輩の顔が青ざめる。
 あれ?なんかひるんでるぞ・・ならダメだしで・・。


「自慢じゃないんですが俺の鉄拳は最強ですよ」


 口元を少しだけ緩め余裕そうに言う。
 喧嘩をしたことはないが、こう言えば場数を踏んでるのでは?と思わせられる。
 少年が心の中でそんな事を考えていると、3人の先輩が慌て始めた。


「バ、馬鹿野郎!この高校でその言葉を口にするんじゃねぇ」


「時と場所を考えんか」「そうだ」


 え?何?俺が悪いの?3人の先輩に言われた俺はキョトンとする。


「勝負って言った?」


 後ろを振り返ると、そこには茶色いショートボブの女が、仁王立ちし両腕を組み、満面の笑みで俺を見てきた。
 後ろでは先輩達があわあわと震えているようだ。


「あ!先輩!ちょっとこの子借りていっていいですか?」


 その声はどこかご機嫌そうな感じである。


「どうぞ。どうぞ。」


 昔のお笑いトリオみたいな感じで3人の先輩がはもる。
 あれ?なにこの状況?
 1人ついていけず突っ立ていると、その少女は俺に指をさし宣言してきた。


「かつま!私と勝負しなさい!いい?ついてきて」


 俺の確認もとらず1人スタスタと校舎に向かう。
 どうやら俺に拒否権はないらしい。
(まぁ先輩達に土下座するよっかはいいか・・)
 それにしてもなんで俺の名前を知っているんだ・・?


 校舎に入りスタスタと歩く少女についていくかつま。


「ここよ」


 そう言って少女は部屋に入って行く。
 どこだよここは?部室なら上の名札を見ればわかるか・・
 かつまは上を見て、思わず腕から鞄を落としてしまった。




 今にもニパーっと聞こえてきそうな満面な笑みで、両腕を広げ彼女はこう言うのであった。


「ようこそ勝負部へ!」


 次回 入部?

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