世界を救った俺は魔王軍にスカウトされて

伊達\\u3000虎浩

第三章6 魔女  上

 突如ナナがカズトに向けて魔法を放ち、カズトは至近距離から魔法を受けてしまうのであった。
傷つくカズトを支えるアリス。
傷つけられたカズトを見て、レイラは”バーサーカーモード”に。
ナナは逃走し、ナナを追うレイラ。


 カズトに攻撃魔法を放った後、即座に逃げ出したナナだったのだが、疾風の如き速さで追うレイラに追いつかれそうになる。
「・・ダークフレイア」
ナナは走りながら、杖をレイラに向けて呪文を唱える。
「・・ルミナスフレイム」
レイラはナナに向けて右手を向けて呪文を唱える。
(・・く・・やはり)
ナナの放った魔法をレイラの魔法が飲み込み、ナナに向かって襲い掛かる。
「ダークウィンド」
ナナの周りを風が舞い、ナナに襲い掛かる魔法の威力を和らげる。
完全に防ぐ事はできない。
何故なら、自分が今相手をしているのは”あの”レイラなのだ。
「きゃ」
直撃ではないが攻撃を受けるナナ。
攻撃を受け、地面を転がるナナは、即座に立ち上がり再び逃走をはかる。
「・・ハァ・・ハァ・・・・ゃだ」
ナナが後ろを振り返ると、レイラがコウモリバットに囲まれているのが見えた。
一呼吸入れて再び逃走に全神経を注ぐ。
後ろで鳴り響く爆音を聞きながら、少しの運の良さに感謝しながらナナは走り出した。


 ナナとレイラが魔法を放っていた頃、アリスとカズトは魔女の森に取り残されていた。
アリスには気を失ってしまったカズトを背負う事ができない。
身長が違いすぎるからである。
「・・ちっ・・いでよ!ゴン太!」
アリスが地面に手を置いて、ゴン太を召喚するのだが、それでもカズトを背負う事ができない。
「・・LVがあがったからいけるかと思ったけど・・まだ無理ね」
召喚魔法は術者の力によって変わる。
レイラと闘った時のアリスであればケルベロス級のゴン太だが、今はぬいぐるみサイズであった。
アリスはしゃがみ、ゴン太を持ち上げて自分の顔の前にもってくる。
「いいゴン太!馬鹿レイラの匂いを追って頂戴。あと敵が来たら知らせること。できるわね?」
「アン」
ゴン太の返事を聞いたアリスは優しく微笑んで、ゴン太を地面におろす。
「アンアンアン」
おろした途端、ゴン太が吠え出した。
「・・こんな時に」
アリスの目の前に現れたのは、木こり兵であった。
木こり兵。
ぬいぐるみサイズの敵であるが小さい為、攻撃が当たりにくく、またすばしっこい敵である。
手に持っている斧による攻撃はかなり強烈なものである。
「フン。私に出会った事を死んで後悔しなさい」
木こり兵が斧をかまえる。
アリスは腰を落とし、右手に力をこめる。
・・・・!?
先に動いたのは木こり兵であった。
あまりの速さにアリスは身をひねらせ、間一髪で攻撃をかわした。
アリスの頬から血がながれる。
木こり兵の攻撃が頬をかすったためである。
しかしそんな事は関係ないとアリスが拳を振りぬく。
「死になさい・・ヘルズアタック」
木こり兵が吹き飛び、木に激突する。
「アンアンアン」
再びゴン太が吠える。
「・・・噓」
アリスの目の前に現れたのは、アリ兵隊であった。


 ナナが遠くに行く光景を見ながらレイラは焦っていた。
「・・・邪魔を・・・・するなぁぁぁあ!!」
コウモリバットをかかと落としで蹴り落とし、目の前に現れた木こり兵を斧ごと蹴り飛ばす。
しかし、レイラがいくら倒してもモンスターの群れがやむ事はない。
「ルミナスレイン」
宙高く飛び上がり、地面のモンスターの群れに光の雨を降らせる。
「・・・またですか」
そのモンスターの群れの中にアリ軍隊がいたらしく、アリ騎士が3体、姿を現す。
レイラの姿が消え、レイラが駆け抜けた地面に火があがる。
3体のアリ騎士が宙に舞いレイラがアリ騎士の頭上に姿を見せる。
「ルミナスブレイク」
3体のアリ騎士を串刺し状にし、かかと落としで蹴り落とす。
「・・・!?」
1体、2体と蹴り落とすが3体目だけ威力がたりなかった。
たりなかったというより、3体目を他の2体が守り、3体目は防御体勢であった事をレイラは悟る。
地面に激突したアリ騎士の内の1体がおしりを振っている。
「・・・・」
ここにカズトがいたら間違いなく、とどめをさせと言うところであるが、レイラはその光景を無言で見ていた。
見る事しかできなかったが正しいのかもしれない。
レイラの頭上に大きな物体が現れた。
アリ騎士が呼んだのは、背中に羽を生やし、頭に王冠のような物を被ったアリ。
レイラの目の前に降り立ったのは、アリ女王であった。


 どうしてこうなったのかと聞かれて自分は何て答えられるだろうか・・。
レイラの闘いを遠くから魔法で見ていたナナは考える。
人をだまして・・しかし・・自分には・・言い訳だ。
自分なんかのわがままに、心よく応じてくれた人達・・。
結果は裏切ったのだ。
裏切った。
うら・・ぎっ・・た。
(・・・うぅ)
ナナは木の上でうずくまってしまう。


 魔女。
自然的な力を使う彼女達は、人間達から迫害、差別を受けていた。
ある土地で、雨が半年降らないという異常気象がおきた。
人間達は雨が降らないのは、魔女の仕業に違いないと決めつけ、魔女を迫害、または捕まえて、自分達の土地に雨を降らせようと魔女狩りを始める。
怒った魔女は人間に対して強い敵対心をみせる。
しかし、魔女達だけでは限界がある。
農作物を育てるには土地が必要である。
当然人口が増えれば土地が必要になる。
隠れながら暮らすには限界がある為、魔女の森ではある掟が定められた。
1つ・人間を利用する以外では、接触を禁ずる。
1つ・この村の位置は他言無用。
これはもし捕まった場合、自害せよという意味である。
そして最後にある掟。




弱い子孫は生まれた時に処分するということであった。


 ナナは両親と姉の4人家族で、魔女の村に住んでいた。
裕福な家庭とは言えないし、なぜか周りの人たちも両親も自分に冷たい。
自分を見てこそこそ何か話しをしている気がする。
両親に怒られた事は一度もない。
お姉ちゃんと同じように食事を与えられる。
お姉ちゃんと同じように飲み物を与えられる。
お姉ちゃんと同じように絹を与えられる。
だけど何故こんなに冷たいと感じてしまうのだろうか。
子供の頃のナナには理解ができなかった。




 お姉ちゃんは私より3つ年上であり、とても優しいし、才能もあり、私にとって自慢のお姉ちゃんだ。
こんな風になりたい・・いつか私も・・お姉ちゃんをこえるんだ・・10歳の頃の私はそんな事ばかり考えていた。
しかしそんな幸せな日は突如終わりを告げた。
それは15歳のある日のことであった。
私にとってこの世界が終わりを告げる日。
魔女の村の掟はもう一つあったのだ。


ナナにだけは真実を伝えないこと


私には理解ができない事であった。
初めて母親から怒られた日の事である。
しかしあまりにも衝撃が大きすぎてなんで怒られたのかが、覚えていない。
どういう事なのか聞いた私に、母親はお姉ちゃんに聞くようにと告げた。
お姉ちゃんに聞くように言われた私は、泣きながらお姉ちゃんに聞く事にした。
お姉ちゃんは、泣いている私を見て優しく微笑んで抱きしめてくれる。
ナナは気にしなくて大丈夫だからと、繰り返し、繰り返し私の耳元で囁いてくれた、大好きなお姉ちゃん。
私は初めてお姉ちゃんに反抗した。
子供扱いしないでと。
そう言った後、私の胸を何かが締め付けてきたのを感じた。
お姉ちゃんがとても寂しそうな顔をしてまた私を抱きしめてくれた。
あの時の顔を私は忘れる事はないだろう。
お姉ちゃんが重い口を開いて私に教えてくれた。


 私が産まれた時、私には才能がないとされ、私は処分される事になった。
そこを救ってくれたのがお姉ちゃんだという事だった。
お姉ちゃんは当時から才能に溢れ、3歳にして村一番の魔女として期待されており、処分が決まった瞬間、私を抱えて大人達から逃げ回り、もしこの子に危害を加える者がいたら、自分がこの村を滅ぼすことになる。
だけどこの子を救ってくれるのであれば、自分に与えられる全てをこの子に半分与えてほしい。
この事件をきっかけに”ナナにだけは真実を伝えない”という掟が追加された。
もし喋る者がいたら殺されると村の人たちは、お姉ちゃんを恐れ今日にいたるとのことであった。


 お姉ちゃんから聞かされた私は、言葉がでなかった。
でてくるのは涙しかない。
何故気付かなかったのだろう。
5歳の自分と同じ食事をするお姉ちゃん・・。
10歳の頃、お姉ちゃんは外で食べたからとほとんど家で食べなくなった。
お姉ちゃんの姿は自分より、身長が低い。
お姉ちゃんは笑いながら、身長で負けても魔法では負けないからなと・・噓だった。
私は、お姉ちゃんに泣きながら謝った。
そんな私をお姉ちゃんは優しく微笑んで、抱きしめてくれた。
大好きなお姉ちゃん。
私は、この人には絶対に勝てない。
勝てなくてもいい。
お姉ちゃんだけいれば、他には何もいらない。








わたしに私にとって大好きなお姉ちゃん。






大好きお姉ちゃんは、この村を滅ぼしたのだった。




※ここまで読んで頂きありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
いやぁすいません。
上、中、下ではなく、一つにまとめてみようかと思ったのですが、毎日の更新を楽しみにしてくれる方が、いらしゃるのかと思うとつい分けてしまいます。
一気に読みたい方は申し訳ありません。
いつか一つにまとめたのを書いてみますのでお待ちください。(1万文字ぐらいの)
では、引き続きお楽しみください。











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