世界を救った俺は魔王軍にスカウトされて

伊達\\u3000虎浩

第1章6 アリスとレイラ高校に通う

 ※読む前にこの先ネタバレになる恐れがある為、初めてこの作品を読んで頂いている方は第1章から読んで頂けたらと思います。


【8】


 クリフを捕まえる。


(アリスはそう言ったが、実際どうする・・)


 アリス、レイラ、カズトの三人は、カズトの部屋で今後の方針を考えていた、否、考えていたのはカズト一人である。
 アリスとレイラは、カズトの部屋にある物全てに興味を示している。


「とりあえずこれまでの事をおさらいするぞ」


 カズトはけん玉で遊んでいる二人を呼び、二人にこれまでの事を説明しだした。


 アリスはカズトを召喚した。
 それはブラッククリスタルを取り戻すのに協力させるためであった。
 ブラッククリスタルとは色々な物の負の感情をコントロールするのに必要な物である。
 そのクリスタルがないと世界で争いがおきてしまったり、人々が病に倒れてしまう恐れがある。
 だが、ブラッククリスタルは勇者一行が持って行ってしまった。
 カズトとアリスは、お互い間違いがないかを確認しながらレイラに聞かせる。


 レイラは守護神ダンの助言を受けて、魔王サタン城に乗り込んだ。
 乗り込んだ理由は勇者テトを取り戻すのと、操られている可能性が高い魔法剣士クリフを元に戻す為であった。
 しかし、実際にはテトしかおらず、クリフはブラッククリスタルのせいでおかしくなってしまっていた。
 カズトは、レイラに確認をとりながらアリスに聞かせる。
 アリスはテトじゃないとレイラに聞かせたが、レイラはそれを否定した。
 カズト自身、否定しようと考えたが、ダンがいなくなり、クリフがおかしくなり、テトまで居なくなったとしたら?レイラの気持ちを考えると、頑なに否定できなかった。


 テトの件をうやむやにする形になるが、カズトは続きを説明しだした。


 魔王サタン城に現れたクリフのメテオスラッシュを回避する為に、アリスは魔法を使い現在いるカズトの部屋にワープ(時空移動)したが、その前にクリフによって力を奪われてしまった。


 カズトの部屋(現実世界)に帰ってきたが東京タワーがなくなっており、何故かアリスや部下のリザードマン、そしてクリフの魔力が感知された。


 ここまでで間違いがないかを確認しあった三人は、再度クリフをどう捕まえるのかについて話し合う。


「はっきり言って今すぐにっていうのは無理だ」


 カズトは両腕を組み、両目を閉じながらアリスとレイラに聞かせる。


「その根拠は?」


 アリスはカズトに説明を求めるが、それに答えたのはレイラであった。


「アリスが力を失ってしまったから・・ですか?」


 レイラは姿勢正しく座り、アリスにそう答えてからカズトを見る。


「そうだ。ダンと合流できれば話しは別になるが、火力不足なのは否めない」


 相手はあのクリフだ。
 レイラにそう答えてからアリスに向き合う。


「アリス。今8歳ぐらいだと言っていたが、実際の力はどのくらいなんだ?」


 カズトに質問されたアリスは左手を胸の前にもっていく。


「マップ!」


 そう唱えるとアリスの左手首らへんから、パソコンのウィンドウ画面みたいなのがでてきた。


「・・そうね。8歳の頃の私は、お父様にお稽古をつけてもらってた時期だからLv6ぐらいかしら」


「ステータスの確認ができるのか・・」


 カズトの質問にうなずくアリス。


「マップ!」


 カズトは見よう見まねでステータスを確認する。


「・・・Lv1か」


 カズトはもしかしたらと思っていた。
 レイラとクリフは、自分を見てテトと呼んだ。
 アリスが自分を召喚したらテトが消えた事などから、自分がテトなのでは?っと考えたのである。


 もしもテトなのだとしたらLv88あり、すぐにクリフを捕まえられるかと思ったのだが・・考えが甘かった。


 ちなみにレイラはLv83あるが攻撃ができない。
 レイラは、ある条件が満たされない限り絶対に攻撃しないのだが、条件を満たせば最強になる。


(バーサーカーレイラ・・か)


 こんなのでクリフは捕まえられるのかと不安になったカズトに、レイラはにっこりと微笑む。


「大丈夫です。テトは誰にも負けません。勇者なんですから」


 だからテトじゃないとアリスが突っかかる。


(自分がテトなのかを、判断する方法はある)


 カズトはレイラに質問する。


「レイラ。勇者の剣とか装飾品はどこにある?」


 カズトの質問に、レイラはカズトの方を向く。


「サタンシティーをぬけて、魔女の森を真っ直ぐ行った所のボステムという村の近くです」


「魔女の森?」


(ゲームの中にそんな森あったか?)


「はい。森の中央に魔女の村があり、名前の通り魔女が住んでいる森です」


 フムっとあごに手を当てて、カズトは少し考えてからアリスに聞く。


「アリス。ボステムまで行きたいんだが頼めるか?」


 できるだけ戦闘をさけたいので、アリスにボステムまでワープしてもらえないかをたずねる。


「無理ね。全盛期の頃なら可能だったけど、今の私には最後にワープした所にしかワープできないわ」


 お手上げポーズをとるアリス。


「ボステムまで行く途中、敵はでてくるのか?」


「でてくるわ」


 アリスとレイラの話から、どうするか悩んでいたその時。


 ドタドタと階段を駆け上がってくる音がする。


(マズい!!)


「アリス!レイラ!隠れろ!」


 カズトはクローゼットを開けて二人を呼ぶ。


「なんでよ」


 アリスはカズトをにらむ。レイラも首をかしげキョトンとしている。


「それならアリス!ブラッシングで隠れろ」


「だから理由を教えなさいよ」


(マズい、マズい!どうする?どうごまかす?)


 カズトが焦っているなんて思いもせず、音の主は扉を開ける。


「お兄ちゃん!勉強教えて!」


 音の主の正体は、カズトの妹であった。
 目があった兄妹は、ピタリと動きが止まる。


「お、お兄ちゃんが・・浮気したぁああああ」


 妹が頭を抱えながら叫んだのを見て、その反応にカズトは頭を抱える事になる。


 ーーーーーーーー


「美姫・・勉強なら後で教えるから部屋で待っていてくれ」


「・・・ご、ごまかさないでよ」


(ごまかすも何も・・。友達という設定はアリスがいる為まず無理だろう・・。どうする?どうする)


 カズトはほっぺたをふくらます妹を、どうごまかすか考えていたのだが、レイラが美姫の前にでる。


「ご無事でなによりです。美姫様」


 右手を胸に当てながら、軽く会釈するレイラ。


「えっ・・・何?」


 自分が何を言われたのか訳も分からず、美姫は顔をひきつらせた。


「え、演劇部の練習していた所だったんだ」


 カズトは慌てながら、二人の間に割って入る。


「服が破けているけど・・まさか・・お兄ちゃん・・」


「衣装だ!衣装」


「ふ~ん。それでこの人達は高校の部活動の人かなにか?」


 美姫から疑いの眼差しを向けられる。


「と、とにかく。後で部屋に行くから・・な?」


 美姫を無理やり部屋から追い出すと、絶対だからね!っと言う言葉を背に部屋を閉めた。


「レイラ。どういう意味だったんだ?」


 さっきのレイラの行動が気になりカズトはたずねる。レイラはカズトの前に立ち、両手を前で組みながらカズトを見上げる。


「はい。美姫様はテトの妹であり、サクラ王国の王女様です」


(・・・・!?な、何を言っている)


 カズトは絶句する。
 言われている事の意味がわからず固まってしまう。レイラの気のせいだろうと思ったのか思いたかったのか・・この時のカズトにはわからなかった。


 アリスは二人のやりとりには興味を示さず、カズトが開けたクローゼットに興味を示していた。
 何か気に入ったのがあったのか、取り出すとそれをカズトに向けて、何これ?と聞いてきた。


「ん?あぁ、それは学生服というやつだ。学校に通う時はそれを着なくてはならないんだ」


「・・学校?」


「学校を知らないのか?同い年の子供が一つの場所に数十人集まって勉強する所だ」


 カズトはアリスにわかりやすく説明する。


「つまり一緒に修行する所ってことね」


「ま、まぁ大体そんな所だ」


 カズトはそう言いながら、アリスから学生服を取り上げる。返しなさいという、アリスの謎の言葉を聞き流しているとレイラがやってきた。


「着ている所・・見たいです」


 レイラは、胸の上に両手を組みながら見上げてくる。


「確かにそうね。一度着てみなさいよ」


 アリスは偉そうに言う。断わる理由も特にないので、仕方なく制服を着るカズト。


「ふ~ん。なかなかいいんじゃない」


「・・・・カッコいい」


 二人とも小声の為、よく聞こえないなぁと思っていたら、アリスが手を伸ばしてきた。


「次!私が着るから貸しなさい」


 アリスの発言を聞いたレイラの目がするどくなる。


「ありえません。テトの次は私と決まっています」


「なんでよ!」


「大体アリスには大きすぎて、着られないと思いますが」


 何故か、喧嘩を始めてしまう。カズトは、頭を抱えながらも二人を止める事にしたが、更に頭を抱える羽目になった。


「それは男性用だから、二人とも着られないぞ」


 男性用だろうと着れない訳ではない為、本来この言葉はおかしいのだが、二人を止める為にはこれで充分だと、カズトの考えての発言であった。


 バッと二人がカズトを見る。一瞬目が光ったように見えた二人はカズトに注文をつけてきた。


「いますぐ買ってきて」


「・・テトとまた一緒に修行したいです」


 カズトは頭を抱えるのであった。


「・・ちょっと二人ともこっちに来い。確か・・こうすれば・・良し!二人とも見ろ」


「へ~可愛いじゃない」


「メイド服と少し似ていますね」


 カズトは直ぐに買えるものではないと説明し、パソコンで画像を見せる事にした。
 当然二人はパソコンにも興味津々で、色々聞かれる羽目になったカズト。


「よし!決めた!私もここで修行させてもらうわ」


 両腕を組み偉そうに宣言するアリス。


「異存ありません」


 うんうんっと首を縦にふるレイラ。
 こういう時だけは仲が良いんだなと、やや現実逃避気味にカズトは考えるのであった。

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