魔法×科学の反逆者
第1章 レイの願い…⑦
レオン…覚えていますか?
『あぁ。俺がお前と出会った日だ』
前を歩く小さい少年と、バスタオルを羽織ったロボットを、レオンは後ろから眺めていた。
しばらく歩くと、少年が立ち止まる。
この時の私は、また叩かれるのだろうと考えていました。いつもそうだったから…しかし、貴方は違った。
「大丈夫か?疲れたのか?」
真っ直ぐ、とても綺麗な目をして、貴方は私にたずねました。
『この時はきっとまだ、ロボットと人間の違いを、あまり理解していなかったんだろう』
私は小さく首を左右に振ります。
「疲れたら言ってくれ。そうだ!?お前、名前は何て言うんだ?」
私は質問に答えます。
「…?お掃除型何だって?」
再び答えた私に、貴方は少し首をひねります。
「お掃除型ロボットシリアルナンバー3938575…ね。ま、まぁいいか。帰ったらレイナにつけてもらえ」
レイナ?
「あぁ。俺の妹だ。いいか?お前は妹の側に、出来るだけ居てやってくれ」
もしかして、この時からですか?
『あぁそうだ。この時にはすでに、死の宣告を受けた後だった…だから』
少しでも楽しい思い出を作って欲しいんだと、頭を下げる小さな少年。
昔と今とでは、側に居てやってほしいという理由は同じでも、願う理由が違う。
しかし、想いは同じであった。
変わらない想いがあると、私はいま知った。
しばらく歩くと、レオンの家に着いた。
着くと、貴方は人差し指を口にあて、サプライズをするから待っててくれ。
そう言って、部屋へと消えていきます。
指示されたように待っていると、部屋が開き、貴方は私の手を引っ張りました。リビングに通され、私と貴方を交互に見る人物に、貴方は声をかけます。
「レイナ!ハッピーバースデー」
そこには、ソファーに座る一人の少女の姿があった。白い肌に綺麗な目。ウェーブがかった金髪の少女。例えるのであれば、お人形さんのような、そんな、可愛らしい少女。
「お、お兄様…これは?」
あまりにも衝撃だったからなのか、可愛らしい少女は驚きながらも、ゆっくりと立ち上がる。
「名前はレイナがつけるんだぞ。10歳の誕生日…おめでとう」
「お兄様!!」
ダダダっと走り出した少女は、少年にガバッと抱きついてこう言った。
大好き!!と。
いつもと違う風景。
とても心地よい風景が、私は好きだった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
353
-
-
17
-
-
516
-
-
238
-
-
1512
-
-
4405
-
-
93
-
-
3395
-
-
70810
コメント