魔法×科学の反逆者
第1章 レイの願い
なんだ…これは。あれは…レイか?
「おい!ロボット。早くしろ」
頭を叩かれながら、私は手を引っ張られている。
「ったく。いつもいつも無表情で気味が悪いったらないよ…まぁでも、明日から新しいオモチャが来る事だし…おい!」
何故か急いで歩く男は、急に立ち止まったかと思うとまた、私を叩いた。
痛くはない。
男が優しく叩いたからではなく、私はロボットだからだ。手を引っ張られながら私と男は、とある店へと入って行く。
「すいませーん。コイツって、幾らになりますー?」
あぁ…そうか。私はまた、売られてしまうのか。
売られてしまう理由は分からない。
売られてしまう事を悲しむべきなのだろうか?
頭の中で処理をしようにも、この男の言動や行動は不可解な点が多く、処理しきれない。
処理している間に、私は起動をオフにされる。
起動すればまた、同じ事の繰り返しだった。
そんな事が何十回と続いていたある日の事。
いつも通りの質問に、この男は初めて違う答えを返した。
部下という言葉の意味を、頭の中で処理をする。
「まずは、コレを着ろ」
男はそう言うと、真っ黒なローブを放り投げてきた。ローブ以前に服を着るという行動は、私が起動してから初めての事であった。
「さて、俺の名はモリ・コウラン。この組織のボスである。お前名は?」
名前?私に名前などない。
「…女性型お掃除ロボット。シリアルナンバー3938575」
「あぁ?まぁ名前何かどうでもいいか。お前、何が出来る?」
テーブルの上にドンっと両足を乗せ、ソファーに座るこの男に、自分が出来る事を伝える。
「はぁー。掃除に洗濯に料理…挙句には奉仕だぁ?使えねぇなぁお前」
一通り自分が出来る事を伝えた私に向かって、この男は深いため息を吐いた。
お掃除ロボットとして生まれた私は、何故怒られるのかが理解出来なかった。
「仕方がねぇ。コッチへ来い」
気だるそうに立ち上がると、男は部屋を後にする。逆らう事など出来ない。
何故ならこの男は、私の所有者なのだから。
部屋を出た私は、地下の部屋へとやって来た。
とても広い部屋。
回りはたくさんの人が座れるようにと、椅子が置いてある。いや、あれは椅子と呼べるのだろうか?また部屋の中央は、丸い円で囲われていて、確か、動物を調教する施設だったはず。
「ここはなぁ。闘技場になっていてなぁ…毎週開催されるショータイムさ」
頭の中で処理する私に向かって、目を輝かせながらこの場所について男は語る。
「この施設で3ヶ月間生き延びて来い。そしたら、晴れて組織の一員になれる」
生き…延びる?
生きるとは何か?私はロボットだ。
〇〇が消滅しない限り…私は…死なない。
しかし、起動してから初めての事だらけだ。
「とりあえず、今日は俺が稽古をつけてやんよ」
生きるという言葉の意味を考えていた私は、背中を思いっきり蹴られ、闘技場の中央へと吹き飛ばされてしまう。
「まぁ。壊れてもらっちゃぁ困るからよ。手加減してやるさ」
両手を広げながら、男は高らかに笑っている。高らかに笑う男を見上げながら私は考えたが、答えは見つからなかった。分からないなら聞くしかないのではないだろうか?私はそう考え貴方にたずねます。
生きるって何ですか?
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