魔法×科学の反逆者

伊達\\u3000虎浩

第1章 激闘

 
 レオンは声を出せずにいた。


「ああ?聞こえなかったのかぁ魔法師…いゃ、まさかお前…科学師か?」


 鋭い目つきで見られるレオンは、この男はヤバいと直感する。


「返事ぐらいしろよな…ったくよぉ」


 頭をポリポリかく男。


「赤き雷鳴よ」


 好機とみるや、レオンが仕掛けた。


「おっと。いいね、いいね、いいねぇ!」


 軽々と攻撃をかわす男は、とても嬉しそうな表情を浮かべていた。まるで、無邪気な子供のような笑顔で男は、レオンに向かって真っ直ぐ右手を伸ばした。


「…クソ!?」


 魔法が飛んでくると判断したレオンは、その場を離れる為に走り出した。
 自分の近くには、ジャンヌやレイが倒れている。
 巻き添えにしない為にもと、とにかく走るレオン。


 しかし、魔法は飛んでこなかった。


「フフフハハハハハ!オイオイ、まさか魔法が来るとでも思ったのかぁ?」


 左手で顔を覆いながら、大声で笑う男。
 右手はずっと、クイ、クイっと動いている。


「なめやがって…」


 男は魔法を発動するのではなく、かかって来いと合図を送る為に、右手を伸ばしたのであった。
 その光景を見たレオンは、舌うちする。


「赤き雷鳴よ」


 ゆっくり立ち上がりながら、詠唱するレオン。


「黒き雷鳴と混じりて」


 舐めた事やジャンヌやレイにした事を後悔させてやる!という思いとともに、両手を重ねるレオン。


「敵を薙ぎ払え!雷雨らいう


 無数の電撃が、まるで雨のように降り注ぐ。
 右にも左にも逃げ道はない。
 そう、お前に残されたのは突き進む事だけ。


 右手は、レオンの胸元まであがっており、左手は、レオンのお腹の辺りに置いている。
 男が突進して来た所で、それを逆転させる。


「読んでいたぞ!雨雷サンダーレイン


 地面に突き刺さった電撃が、男の足元から突如浮上する。男がいた位置と、レオンがいた位置は一直線である。


 男は雷雨をかわす為に、真っ直ぐ向かってきた。
 男が居た位置に突き刺さした電撃を、自分の方へと地面から呼び寄せて、突如浮上させる魔法。


「おっと。危ない危ない…!?」


 しかし、男は直撃する寸前でかわす。
 海老反り状態となった男は、元々自分が居た場所から、今自分がいる場所へと電撃が向かってくるのが目に入る。


「やるじゃんか」


 右手を伸ばして電撃を迎えうつ男。


「うぉぉお!!!」


 それを黙って見ているレオンではない。
 男が攻撃をかわした瞬間、レオンは突進する。


「青き光よ、黄色き雷鳴と混じりて、敵を切る」


 レオンの右手に光の剣が形成される。


「スターライト!喰らえ」


 相手は後ろの電撃に気を取られている。
 上半身は後ろ向き、ならば下半身を切るんだ!と、レオンは男の両足を切断すべく、剣を横に振った。


「レオン!ダメです!」


 男に向かって走るレオンを見たレイは、声を張り上げた。


「残〜念〜よっと」


 男はレオンの攻撃をジャンプしてかわすと、両足でレオンの顔を挟み、そのまま後ろの方へと投げ飛ばす。


 投げとばされたレオンを待っていたのは、自分が仕掛けた電撃。


「…クソ!白き壁よ」


 左手を真っ直ぐ伸ばし、光の壁を形成するレオンであったが、光の壁によって電撃は防げたが、光の壁に自らぶつかってしまった。


「……ガッ」


 電撃を直撃するよりは良いのだが、無傷では済まされない。吐き出される空気。
 長時間の戦闘は不利だと思ったレオンは、短時間で終わらせようと判断する。
 その為にと、魔法を連続で発動しすぎてしまっていた。その所為で、息はあがり顔色も変わる。


「いい腕だ。その若さの割には良くやった方だが、まだ甘い」


「はぁ、はぁ。お前、何なんだよ」


 作戦は完璧だった。
 この男が、一瞬だけ驚いたのを見逃してなどいない。つまり、作戦が読まれていなかったという証拠である。


 しかし、結果はご覧の通りであった。


「俺か?を手に入れるさ」


 レオンの問いに、男は両手を広げて答えるのであった。

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