魔法×科学の反逆者

伊達\\u3000虎浩

第1章 ワクドナリオ

 
 月明かりの下、ジャンヌと並んで駅まで歩く。
 他愛も無い会話をしながら目的地の近くに着くと、ジャンヌが話題を変えた。


「み、見ろレオン。ワクドナリオだ」


 ワクドナリオのシンボルマークであるWのロゴマークを指差しながら、興奮気味に喋りかけられたレオン。


「…よほど好きなんだな」


「あぁ。これを発明した人物は天才だ」


 クールなイメージの強いジャンヌが魅せる、子供っぽい態度に思わず頬が緩むレオン。


「好きな物を好きなだけ頼むといいさ」


 ワクドナリオのハンバーガーは、安くて早くて美味いで有名である。
 ハンバーガーを好きなだけ買ったとしても、2千円するかしないかだろう。


「何!?レ、レオン…お前…」


「気にするな。レイナの件のお礼だ」


 ぱぁーっと表情が明るくなるジャンヌ。
 見てるこっちが恥ずかしくなるほどであった。


「そうか…良かった。ふぅー。てっきり買う代わりに、変な事を要求してくるのかと思ったぞ」


「何か言ったか?」


「何を食べようかなっと言っただけだ」


 明るい表情をしたかと思えば、驚いた表情をし、何に驚いているのかと気にしていれば、いつものクールな表情に変わるジャンヌ。


 コロコロ変わる表情を見ながら、美人という生き物はどんな表情をしても美人なんだな…っと、レオンは思った。決して口にはしないが…


「レオンは何を食べるんだ?」


 入り口に貼ってあるメニュー表を見上げながら、ジャンヌに質問されるレオン。


「この、トリプルマウンテンセットかな」


 食べ盛りの男の子であるレオンは、ハンバーグにチキン、フィッシュが、パンにサンドされている商品、トリプルマウンテンバーガーセットを注文する事にした。セットは飲み物にポテトがついてくるのだが、飲み物をどうするかで悩むレオン。


「なぁ、レオン」「ん?決まったのか?」


 ジャンヌに話しかけられたレオンはドリンクメニューを見るのをやめ、ジャンヌに視線を向ける。
 ジャンヌは両腕を組みながら、とても真剣な表情をしていた。


 その為、レオンは何ごとかと姿勢を正した。


「トリプルマウンテンを頼むとした場合だ。トリプルマウンテンが680円するだろう?ならば、ハンバーガーにフィッシュバーガー、照り焼きチキンバーガーの3つを単品注文した、730円の方がお得ではないか?」


「…え?」


「ん?聞いてなかったのか?それともまさか、理解が出来なかったのか?」


 失笑するジャンヌ。
 仕方がないと言いながら、メニュー表を見ながら解説を始めた。


「…待て。理解はしているが、それだとポテトと飲み物がついてこないだろ」


「甘いなレオン。セットのポテトと飲み物で足りるのか?」


 プラス30円でサイズ変更ができるとはいえ、確かに飲み物は足りない。それに飲み物は自宅の冷蔵庫にある為、正直いらなかった。


「確かに…飲み物は自宅にあるしな」


「だろ?ポテトはDXサイズをシェアしようではないか」


 勝ち誇った顔を見て、若干イラッとするレオン


「…ジャンヌは決まったのか?」


「レオンと同じで、ハンバーガーにフィッシュバーガー、照り焼きチキンバーガーを1つずついただこう」


 そんなに食べれるのか?と、疑問に思うレオンであったが、太るぞっと聞こえてしまう可能性があった為、何も言わない事にした。
 好きな物を好きなだけと言ったのはレオンであり、スタイルの良すぎるジャンヌには無縁な事なのだろう。


 世の中には、食べても食べても太らない人がいる。ジャンヌはそういった人なのだろうと考えれば、特に気にならない。


 じゃぁ中に入るかとジャンヌに告げ、レオンとジャンヌは店内へと入って行くのであった。

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