魔法×科学の反逆者

伊達\\u3000虎浩

第1章 レイナ

 
 誰かが呼んでいる声がする。


「おはようございます。お兄様」


 レオンが目をあけると、妹であるレイナの姿が見えた。


 綺麗な金髪の髪をした双子の妹。


「…俺は…寝ていたのか」


「はい。とても気持ち良さそうに寝ておられましたよ」


 どうやら寝てしまっていたらしい。


「もしかして最近、あまり眠れていなかったのではないですか?」


「そんな事はないさ。昨日少し遅くまで起きていたから…その影響かな」


 昨日ではなく最近ずっとである。
 大切な妹が死の宣告を受けた日となれば、ぐっすり眠れるはずがなかった。


「すいません…お兄様」


「ん?何で謝るんだ」


「眠れなかったのは本日私が、手術を受けたのが原因ですよね」


「そんな訳がないだろう。レイナの病気は大したものではないと、医者も言っていたじゃないか。それとも、どこか悪い所があるのかい?」


「いえ、特には…。ふふふ、ありがとうございます。お兄様」


 自分が謝ると、絶対にお兄様は認めて下さらない。その為、いつも通りお礼を伝えるレイナ。
 レオンの言うように、どこかが痛いとか体調が悪いなど、自覚症状など全くない。


「直に退院できるさ」


 レオンはレイナに、死の宣告の事を伝えていない。そんな事を言えるだろうか?


 言わなくても大丈夫。


 大丈夫なようにすれば良いだけの話しである。


「お兄様。そろそろ面会時間が終わりになってしまいます」


「…あ、あぁ。もうそんな時間か」


 時計の針を確認し、レオンは病室を出ようとする。


「レイナ」「はい」


 病室の前で立ち止まったレオンは、優しい表情で、声で、レイナに告げる。


「入学おめでとう。退院したら一緒に学校に行こうな」


「は、はい!お兄様…」


「ん?何だい」


「明日は来ますか?」


「ああ。明後日の入学式の準備が出来次第になるけど、必ず来るよ」


 レオンがそう言うと、とても嬉しそうな顔をするレイナであった。

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