ニートは死んでも治らないっ!
~死後の世界~
「人は死んだらどうなるのだろう……」
この高校に入って1年が経つ。
僕は、4階から地面を眺めながら、そんな気持ちを弄んでいた。
見上げた真夏の青空は、僕のそんな疑問を溶かすかのように強い日差しを浴びせると同時に、
心の中に暖かな隙間を作っていく。
屋上という空間にはそんな作用がある。
教室だとそんなことは起こらない。
おそらく、人の手の届かない所にだけある、独特の現象なのだろう。
遠くでは、学生たちの楽しそうな声が、爽やかな風に乗ってくる。
今は絶賛昼休み中だ。
まるでプラズマ状態のように、エネルギーを発散させている。
どこにそんな元気があるのかと、嘲笑と憧憬の混じった目で彼らを眺める。
やはり気になるのは、死後の世界にも学校があるのかという点だ。
死んだ後の世界でも人が生きているなら、社会もあるだろう。
より良い霊になるための教育機関があってもおかしくない。
そこでは、輪廻転生の授業とか、虫の知らせとかを送る試験とかがあるに違いない。
学校があるなら、就職もあるだろう。
霊たちは、学校で学んだ知識を活かして、霊界を管理したり、人間界に干渉したりする。
まっとうに就職できない霊は悪霊となって、人間に悪さをするのだ。
どっちにもなれない霊なんてのはいないだろう。
そんなのは聞いたことがないし。
あるいは、小説家になろうで流行っている「異世界」に行く。
神様が、棺の中身から趣向を判断し、各人専用のパラレルワールドを作り出して死者を送り込むんだ。
ライトノベルをたくさん詰め込めば、美少女に囲まれて魔法や剣で大活躍するのも夢ではないだろう。
しかし、僕がそれらの死後を選びたいかと言うと、ノーだ。
確かにこういった世界は、今よりかは楽しいと思う。
でも、もし自分がそんな世界に行ったとしても、きっとまた別の世界を夢見てしまうだろう。
だから僕はむしろ、自分の人生を全て消し去ってしまうような、そんな世界を望んでいた。
――だが、僕はこの後、死後の世界がどの考えよりも救いのないことを、知ることになるのだった。
この高校に入って1年が経つ。
僕は、4階から地面を眺めながら、そんな気持ちを弄んでいた。
見上げた真夏の青空は、僕のそんな疑問を溶かすかのように強い日差しを浴びせると同時に、
心の中に暖かな隙間を作っていく。
屋上という空間にはそんな作用がある。
教室だとそんなことは起こらない。
おそらく、人の手の届かない所にだけある、独特の現象なのだろう。
遠くでは、学生たちの楽しそうな声が、爽やかな風に乗ってくる。
今は絶賛昼休み中だ。
まるでプラズマ状態のように、エネルギーを発散させている。
どこにそんな元気があるのかと、嘲笑と憧憬の混じった目で彼らを眺める。
やはり気になるのは、死後の世界にも学校があるのかという点だ。
死んだ後の世界でも人が生きているなら、社会もあるだろう。
より良い霊になるための教育機関があってもおかしくない。
そこでは、輪廻転生の授業とか、虫の知らせとかを送る試験とかがあるに違いない。
学校があるなら、就職もあるだろう。
霊たちは、学校で学んだ知識を活かして、霊界を管理したり、人間界に干渉したりする。
まっとうに就職できない霊は悪霊となって、人間に悪さをするのだ。
どっちにもなれない霊なんてのはいないだろう。
そんなのは聞いたことがないし。
あるいは、小説家になろうで流行っている「異世界」に行く。
神様が、棺の中身から趣向を判断し、各人専用のパラレルワールドを作り出して死者を送り込むんだ。
ライトノベルをたくさん詰め込めば、美少女に囲まれて魔法や剣で大活躍するのも夢ではないだろう。
しかし、僕がそれらの死後を選びたいかと言うと、ノーだ。
確かにこういった世界は、今よりかは楽しいと思う。
でも、もし自分がそんな世界に行ったとしても、きっとまた別の世界を夢見てしまうだろう。
だから僕はむしろ、自分の人生を全て消し去ってしまうような、そんな世界を望んでいた。
――だが、僕はこの後、死後の世界がどの考えよりも救いのないことを、知ることになるのだった。
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